こんにちは! Machinakaです!!
今回批評する映画はこちら
「ダゲレオタイプの女」
はい、黒沢清の最新作で、なんとフランスの俳優・スタッフと作り上げた映画となっております。
本当に「世界の黒沢」と呼ばれるような人になりましたね。凄いなぁ。。
早速ですが皆さん、この写真を観て何を感じますか?
https://realsound.jp/movie/assets_c/2016/07/20160726-dagereo-thumb-950x585-32569.jpg
イケメンと美女がラブラブ、、、微笑ましい光景、いや羨ましいなぁ、、、、
、、、と想像してる皆さん! 大間違いです!!!!!!!
上の写真は「ダゲレオタイプの女」の一コマなんですけど、、、
映画を観た私にとっては「恐怖」しか感じない、、、
何故なら、この写真の中に「幽霊」が写り込んでいるからです。写真をよーーーく凝らして見て下さい。
もうねー、この写真正視できないよ、怖くて笑
https://realsound.jp/movie/assets_c/2016/07/20160726-dagereo-thumb-950x585-32569.jpg
最初に言っておきますけど、これはラブストーリーでもヒューマンドラマでもアート映画でもなくて、、、、、
純粋なホラー映画です!!!!
はい、というわけで、黒沢清最新作いってみましょー!!
1.あらすじ
「岸辺の旅」で2015年・第65回カンヌ国際映画祭ある視点部門監督賞を受賞した黒沢清監督が、オール外国人キャスト、全編フランス語で撮りあげた初の海外作品。世界最古の写真撮影方法「ダゲレオタイプ」が引き寄せる愛と死を描いたホラーラブストーリー。職を探していたジャンは、写真家ステファンの弟子として働き始めることになったが、ステファンは娘のマリーを長時間にわたって拘束器具に固定し、ダゲレオタイプの写真の被写体にしていた。ステファンの屋敷では、かつて首を吊って自殺した妻のドゥニーズも、娘と同じようにダゲレオタイプ写真の被写体となっていた過去があり、ステファンはドゥニーズの亡霊におびえていた。マリーに思いを寄せるジャンは、彼女が母親の二の舞になることを心配し、屋敷の外に連れ出そうとする。主人公ジャン役をタハール・ラヒム、マリー役をコンスタンス・ルソー、ステファン役をオリビエ・グルメがそれぞれ演じる。
はい、映画ドット・コムでは「ホラーラブストーリー」との触れ込みがあります。でもねー、これ恋愛の要素あるのかなぁ、、、笑 詳しくは映画の感想で触れたいと思います笑
とにかく、黒沢清の最新作とあれば気にならない映画ファンはいないでしょう。
2.劇場鑑賞情報
ヒューマントラストシネマ有楽町で鑑賞して参りました!!
はい、こちらが看板でっす!
見て下さい! この人! 人!! 人!!!!
この映画はミニシアター系で公開してるので、映画館に来る人はおそらく映画好きの人、、、
この会場にいる人全員が映画好きなんて、なんか心躍りますよね\(^o^)/
トイレに行ったら、蓮實重彦さんが「必見!」とのコメントが!!!
すげぇ、、蓮見先生が褒めるなんて、、、
ほら、数ヶ月前に話題になった人ですよ! まぁ、色々と演技してたみたいですけど笑
蓮見先生、さすがです!!!
ちなみに、「ぴあ 映画生活」の調査員たちも数人いました笑
いつも避けてたんですが、今回は捕まってしまいまして、、、
インタビューと顔写真を撮影されてしまいましたww
おいおい、何に使うんだ?笑
3. 監督とキャスト
監督は黒沢清さん
https://images.ciatr.jp/2016/04/07204753/da3a9c37845957fb43130061b04ed773.png
立教大学のご出身で、なんと同期は映画監督の森達也さんww
Machinakaの日記では「FAKE」を評論しましたね!
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ちなみに、黒沢さんは当時立教大学で教鞭をとっていた蓮實重彦先生の授業に強い影響を受けて、映画監督を志したそうな、、、
つまり、蓮見先生にとっては黒沢清は教え子なんですね笑 その教え子が作った映画を「必見!」というのですから、蓮見先生にも愛情があるのか、、、笑
いや、もちろん内容がいいんでしょうけどw
今じゃあ「世界のクロサワ」と呼ばれ、世界で最も注目される日本人監督になりましたが、、、
私の印象が正しければ、黒沢清さんはホラー映画畑の人ですww しかも、とびっきり怖くて不気味で気持ち悪い感じのホラー映画w
だから、正直言って万人向けではありません! ホラー映画って苦手な人多いじゃん笑
最近批評した映画だと「クリーピー」ですね。 これはまだ、西島秀俊がいて怖い感じはしなかったのですが、、、
いや、普通に怖かったですけど笑
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でも、過去には「回路」や「CURE」など、おぞましいホラー作品をとってます。特にJホラー全盛期の90年代後半ー2000年前半は怖かった、、、怖いです。
特に僕が覚えてるのは、「回路」ですかねぇ、、
もうね、予告見るのも嫌なんですよ、怖くて、、、笑
すべてのシーンが脳裏に焼き付いてて、ガチで嫌なんですよね(褒めてます)
そんなホラー映画が得意な黒沢清監督の最新作です。怖いに違いありません。。
主人公を演じるのは、タハール・ラヒムさん
この人の映画はまだ見たことないです。どことなく、キアヌ・リーブスに似てねぇか?笑
そして、出番は少ないですが、マチュー・アマルリックさん! フランスを代表する俳優! 個人的に、フランス人で一番好きな俳優、、いや、フランスで一番好きな男ですね。 本当にカッコイイ! いいよマチュー!
惚れるわぁぁ
https://image.eiga.k-img.com/images/person/69369/300x.jpg?1315206744
彼を最初に認識したのは、スピルバーグのミュンヘンですね。
4.ダゲレオタイプとは?
今回の映画で一番重要なキーとなるガジェットは、この「ダゲレオタイプ」です。名前がいいですよね。興味が惹かれるカタカナ文字ですな笑
全然作風は違いますけど、「リップヴァンウィンクルの花嫁」となんだか似てる気がしませんか?
「よく分からないカタカナ語+の女(花嫁)」
個人的には、すごく良い戦法ですよね。絶対に調べたくなっちゃうw
で、ダゲレオタイプは何なのかと言いますと、、、
ウィキさんから引用します
ダゲレオタイプ(フランス語:daguerréotype)とは、ルイ・ジャック・マンデ・ダゲールにより発明され、1839年8月19日にフランス学士院で発表された世界初の実用的写真撮影法であり、湿板写真技法が確立するまでの間、最も普及した写真技法。銀メッキをした銅板などを感光材料として使うため、日本語では銀板写真とも呼ばれる。転じて、その技法を採用した世界最初の写真用カメラ「ジルー・ダゲレオタイプ」もダゲレオタイプと呼ばれる。
世界最古の写真撮影方法及びカメラってことですかね。
写真は以下です。
https://artazamino.jp/wp-content/uploads/2011/03/4Richebourg4.jpg
監督はこのダゲレオタイプをアイデアに本作を撮ったみたいです。
そんな「ダゲレオタイプ」から、監督はどうやって本作の着想を得たのか?
しかもこれ、ホラー映画ですからね笑 写真でどうやってホラー映画にするのか? 全く見当がつきませんw
はい、それでは映画の感想に参ります!!!!
5.映画の感想
何だこれ?
ホラー映画だよね? でも、全然怖いシーンないしビックリさせるシーンもないじゃん、、、
上映開始から中盤まで、私はずっとブーブー言ってました笑 おい、俺はホラー映画を見に来たんだぞって笑
しかし、中盤以降のあるシーンで、、、、
え? え?
お前、自分が何してんのか分かってんの!?
おい! おい!!
お前、、、狂ってる、、、笑
怖い、怖すぎ、、、、
ホラー映画って、ホラー映画ならではのお決まりのシーンがあって、どんなホラー映画も驚かせて血をビシャビシャ出して、、、
どこかB級感が漂ってると思うんですよ。
でも、この映画はそんなホラー映画のお決まりシーンを逸脱して、ある種「アート」と思えるような映像表現、演出にこだわった、まさに「黒沢映画らしいホラー映画だった」と思いました。
例えばですね、、、
・大きな音響で観客で驚かせることをしない
・その代わり、素朴ながらも不気味な映像や演出で観客をぞわぞわさせる。まさに悪い想像をさせる恐怖表現
・ホラー映画なら本来見せ場であるはずの「人間と霊の対峙」を、何故かロングショットで写している。
・真っ赤な血を見せたりいわゆる「切り株」シーンを見せずに、黒沢監督独特の「黒い背景」を使って恐怖を煽る。
ですかね、とにかく並みのホラー映画とは違うんですよ。だから、全くB級映画とは思わないw
そして、前作の「クリーピー」と基本的な構造は同じで、クリーピーの主人公(西島英俊)と、今回の主人公(タハール・ラヒム)は凄く似てます笑
もはや、同一人物かと思うくらい笑
数奇な運命で、狂ってしまった男の人生。そして、それに巻き込まれる女の悲劇を描いているのかなぁと思いました。
簡単に映画のあらすじをご紹介します。
前述した通り、世界最古のカメラ、ダゲレオタイプが主役になる映画です。
世界最古のカメラを、何故か現代になっても使い続けるフランス人写真家(ステファン)の元に助手として入ってきた主人公のジャン。有名な写真家なので、助手の倍率は高いのかなぁと思っていたら、、何故か面接会場は主人公一人だけ。
しかもステファンは主人公に対して「写真を撮れるか? 実務経験は?」など質問せずに、「じゃあ今から働いてくれ」とほぼ無条件で採用されるw
この時点で、主人公のジャンは数奇な運命に巡り合ってるんですよね笑
あまりにもスムースに描くので、観客は見ている間、疑問を抱けない。上手い作りだなぁと思いました笑
こんな簡単に内定もらえるなんて、、、拓人(佐藤健)に教えてやりたいっすよ!!
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お察しの通り、ステファンは気難しい写真家です笑
だって、今の時代にダゲレオタイプを使って写真を撮ってるんですからw
https://www.jackandbetty.net/upload/information/dagereotaipu_03.jpg
主人公は最初はダゲレオタイプに興味など示さなかったのですが、次第に仕事にハマっていくうちに、気難しいステファンとも仲良くなり、、ステファンの娘(マリー)と恋に落ちます。
https://cdn2.natalie.mu/media/eiga/1606/0629/extra/news_header_dagereo_20160628_05.jpg
で、父親のステファンはダゲレオタイプで何を被写体にしているかというと、娘のマリーなんですねー。
実は、ステファンは妻がいたのですが、妻もダゲレオタイプで撮影しまくってたんです。妻は他界したので、代わりに娘を、、、と思ってやってるのでしょうか。
このオヤジ、ダゲレオタイプ狂いです笑
で、父親と娘、そして助手の主人公の三人がかりでダゲレオタイプの撮影をしていくんですが、、、、
そこから、奇妙なことが起こるんですねーーーー。
そして、主人公がどんどん狂って、狂いまくって、、、
最後にああなっちゃう。 言いたい!でも言えない笑
説明が長くなりましたが、これは完全に「クリーピー」の西島秀俊と一緒ですよね笑
偶然出会った隣人をきっかけに、西島はどんどん狂っていくのですから。
この映画も、主人公ジャンの暴走が見ものとなってます。
ただ、、「クリーピー」の西島とは比べ物にならないくらい、狂いに狂いまくるんですけどね笑
ダゲレオタイプをきっかけに、主人公はどのように狂って、常軌を逸してくのか、、スクリーンで是非ご確認ください!!
6.映画の解説(ネタバレあり)
これからは映画を見た人限定の、ネタバレあり解説です。ご注意ください!!!
では行きますよ?
映画を見た人なら、誰でも思うはずです。
「ダゲレオタイプで写真を撮ったら、人間が永久に保存できるとステファンとジャンが考えた理由」
ステファンがダゲレオタイプにこだわる理由、それは愛する人を写真で永久に保存できる、と信じていたから。
そう思っていたステファンは、妻がまだいると思っている。もちろん、劇中に出てるのは幽霊ですけど。
で、ジャンもステファンのイズムが乗り移って、マリーが死んでないと思っている。
なぜ、ダゲレオタイプで写真を撮ったら、人間が永久に保存できると思ったんでしょう?
ここで重要なことはですね、この「ダゲレオタイプ」というカメラは当時は非常に珍しい産物なんですね。もちろん、現代みたいに多くの人が写真を撮る・撮られるということは少なかったのです。
で、日本人なら有名な迷信なんですけど、、、
昔の人って「写真を撮られると魂を抜かれる」って言うじゃないですか笑
つまり、写真を撮られると人が写真へ乗り移ってしまう、ということですね。
日本人である黒沢監督は、この日本独特の「迷信」をヒントに映画を作ったのではないでしょうか? あくまでも私の考察ですけど笑
real-hot-space-entertainment.com
はい、そんなこんなで、普段ホラー映画を見ない人も安心の映画だと思います。ただ、精神が不安定な人や感受性が高い人が見ると、、、やばいですコレ笑
映倫はPG12指定にしましたが、、、本当はもっとやばいぜ、この映画w
というわけで、非常にオススメでっす!!!