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映画「ドント・ブリーズ2」ネタバレあり感想解説と評価 息もつかせぬ面白さ!前作の絶妙な継承による2の理想形!スポイト変態老人の汚名返上!

 
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この記事では、「ドント・ブリーズ2」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「ドント・ブリーズ2」

 

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(C)ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

 

少女を誘拐し、自身の精液を冷蔵庫に保管する鬼畜老人の続編が、公開されてしまう。

 

前作では、途中までは強盗に入られる老人のことを可哀想に思っていたが、精液をスポイトで器に入れる瞬間を見てから、もうどうでもよくなった。

 

今回、どんな暴れ方をしようが、私の知ったことではない。ただ楽しませてくれれば、それでいい。

 

それでは「ドント・ブリーズ2」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・孤独な盲目の老人の家に押し入った若者たちが思いがけない恐怖を味わうさまを描いて全米スマッシュヒットを記録し、日本でもSNSを中心に口コミで評判が広がりロングランヒットとなったホラー「ドント・ブリーズ」の続編。あれから8年。盲目の老人は、惨劇の起こった屋敷でひとりの少女を大切に育てていた。少女と2人だけの生活を誰にも邪魔されないよう、静かに暮らしている老人だったが、少女に向ける表情には言いようのない不気味さが漂っていた。そんな2人の前にある時、謎の武装集団が現れる。彼らが少女を狙って屋敷に踏み入ってきたことから、老人の狂気が再び目を覚ます。前作でフェデ・アルバレス監督とともに脚本を手がけたロド・サヤゲスがメガホンをとり、前作のアルバレス監督も製作・共同脚本として参加。プロデューサーのサム・ライミも続投し、盲目の老人をスティーブン・ラングが再び演じている。

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「ドント・ブリーズ2」のネタバレありの感想と解説(全体)

 

 
 
 
 

文句なしの面白さ!スポイト変態老人の汚名返上!

 
純粋に、ただただ面白かった。
 
鑑賞直後は、それしか思いつかなかった。
最初から最後まで、面白いが止まらなかった。
 
細かい部分を褒めるよりも、まずは全体を褒めるべきだ。
もう一度言う。本当に面白かった。
 
前作と同じ設定の数々で既視感はありつつも、それらを見事に継承し全く新しい映画として生まれ変わらせて見せた稀有な作品としか言いようがない。
 
アクションも、ドラマパートも、撮影や編集も、前作での表現を上回っている。
 
これは、2の理想形だ。
 
アクションでは、今回は得体の知れない不気味な存在では無くなった老人を、まるで座頭市のような盲目の武士として描き、相応の相手として攻めてくる敵が元軍人。
前作の半グレ集団とは比べ物にならないほどパワーアップしている。
 
また、ドラマパートでは、ホラースリラーのテイストは変わらず、少女フェニックスのドラマも加わり、どんぶりで言えば重ねカツ丼のような、一度で二度味わえるボリューム満点の内容。前作では弱かった犯行理由も、今回はフェニックスに絡めた内容になっており、老人を襲うべき理由がきちんと提示されていた。
 
前作ではスポイト変態老人と揶揄された汚名も、今作では少女を守る最強の老紳士として大活躍。
 
もちろん、老人の行った行為は正義とは言い難い。しかし、悪でもない。
今作の倫理観について色々言いたいことはあるが、私の目には必死に少女を守る老人に映った。そして、気づけば涙を流していた。
 
ラストの切れ味も絶妙で、決して正義ではない老人の行いが肯定された瞬間を切り取った内容になっており、老人の行動に共感していた私は、小さくガッツポーズした。
 
終の棲家で起きる老兵士のラストバトルという点で、「ランボーラスト・ブラッド」を思い出した。こっちはネイビーシールズではなく、グリーンベレーだが。
 

 

 

 

 

前作の絶妙な継承による2の理想形!

 

最も感銘を受けたのは、設定自体は前作と変わりないものの、確実に映画のクオリティがバージョンアップされている点。

 

前作と同じ設定なのは、主に以下の通り。

 

・老人の家から起こる惨劇

・少女を軟禁している

・老人を襲う家は3人組である

・犬に襲われる

・同じ屋根窓から落下する

 

今作でも同じ設定を用いながらも、何故か既視感がない。

むしろ、意図的に前作の引用をしているようにも見える。

 

前作の悪かったポイントを改善することを主目的として作っているようにも見える。

作り手の本心は分からないが、前作を越えようと奮闘する意欲がビンビンに伝わってくる。その気概が、素晴らしいのだ。

 

単なる量的な増加ではなく、質的な増加に成功した続編は、そこまで多くない。

フォーマットが同じなのが、褒めるべきポイントなのだ。

 

では、具体的にどのようにバージョンアップが出来たのか、具体的に挙げていきたい。

 

 

 

 

長回しを活用した絶妙なかくれんぼ!

 

 

前作では、盲目の老人という設定を活かして、まるでかくれんぼのような密室劇が繰り広げられた。

老人がひとり鬼、その他3人が隠れ役の1対3のかくれんぼだった。

 

しかし今作では、元軍人の3人が鬼、少女ひとりが隠れ役の3対1のかくれんぼ。

 

前作の設定とは異なり、鬼と子の数が逆転している。

 

そして、かくれんぼの見せ方が今作では格段に上手くなっている。

 

2階にいる少女のもとへ歩を進める3人の鬼。1階から2階へとカットを割らずに侵入していき、臨場感をアップさせる。

少女の部屋に入ったあとも、まだカットを割らない。ベッドの下に逃げ、押入れに移動し、八方塞がりになって部屋を出て、1階の入り口へ進むまで、ワンカット長回しで見せる。

 

この長回しによって、ホラー映画では定石となっているパン(カメラを横回転させる)した時の恐怖が増長しているのだ。

パンした先に幽霊や犯人が立って「どおおおおん!」と大きい音が流れるシーンは、何個もある。パンしている瞬間は次に何が起きるのか分からず、緊張と不安を同時に提供する。

 

今作のようにカットを割らないことで、緊張と不安の時間が持続する。

 

ホラー映画ではよく使われる手法だからこそ、今作では工夫に工夫を凝らしてパンの見せ方を工夫しているのだ。

前作では、盲目の老人ひとりが鬼のため、確実に隙が生じる。今回は、胃がキリキリするほどハードモードなかくれんぼに仕上がっている。

 

 

 

まさかの盲導犬、絶妙な犬の使い方

 

前作では番犬として活躍した老人の愛犬。

ちなみに、名前はシャドー。今作で初めて明らかになった。

 

今作でも犯人から家を守るために大活躍すると思ったが、意外にもあっけなく殺されてしまう。

 

対象的に、犯人側の犬に襲われる状況に陥ってしまう。

 

犬を番犬として使いすぎた報いなのだろか。

 

犯人側の犬を殺そうと銃を取るが、悩みぬいた結果、見逃すことにした。

すると獰猛だった犬が急におとなしくなり、飼い犬のようになついてしまった。

 

いっこうに離れない犬。家に帰れと煙をまくが、言うことを聞かない。

 

その瞬間、何かを思い立った老人。

 

犬を使って犯人の居場所を追えると思った老人は、車内にあるものを寄せ集めて、即興のリードを作成。

 

そして再び、「家へ帰れ」と同じセリフ。素晴らしい。なんて心地よい瞬間なんだ。

家へ帰れは、伏線だったのだ。

 

何ということだ。前作で番犬として使われた犬を、今回は盲導犬として活用しているのだ。

 

正直、前作でも同じような使い方をしていたら良かったのに、と口に出したくなるかもしれない。

 

しかし、そこはドント・ブリーズ。言わぬが花の場合もあるのだ。

 

 

 

 

 

まとめ

 

もう一度見たい。円盤も欲しい。

 

前作のような不気味な要素はなくなったが、これはこれで面白い。

 

設定が同じなのにジャンルを変更させ、既視感を与えない作りになっているのは、本当に素晴らしい。

 

こんな2の作り方もあるんだと感心した。完全に好みの作品だった。

 

しかし、色々感心できない点があるのも事実だ。

 

犯人が少女を狙った動機は、いくら悪人だからとはいえ非人道的すぎる。

 

血の繋がっている親vs血の繋がってない老人という構図に見合うようバランスを取ったのかも知れないが、正直言って今回は倫理的にアウトだろう。

 

しかし、それを上回るほどの映画的な面白さが散りばめられ、私としては高評価。

今年ベスト10に入れても良いくらいの作品だ。

 

本当に面白かった!!

 

98点 / 100点 

 

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 以上です! ご覧いただきありがとうございました!
 
 
 
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