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映画「ダム・マネー ウォール街を狙え!」ネタバレあり感想解説と評価 夢と希望が詰まった全投資家感涙の傑作

 
こんにちは! 
 
Machinakaです!! 
 
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この記事では、「ダム・マネー ウォール街を狙え!」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「ダム・マネー ウォール街を狙え!」

 

(C)2023, BBP Antisocial, LLC. All rights reserved.

投資家としては外せないこの映画!!

 

それでは「ダム・マネー ウォール街を狙え!」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
SNSを通じて団結した個人投資家たちが金融マーケットを席巻し社会現象を巻き起こした「ゲームストップ株騒動」の実話を映画化。ベン・メズリックのノンフィクション書籍を基に「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」のクレイグ・ギレスピーが監督を務め、前代未聞の事件の内幕をユーモアたっぷりに描く。

コロナ禍の2020年、マサチューセッツ州の会社員キース・ギルは、全財産5万ドルをゲームストップ社の株に注ぎ込んでいた。アメリカ各地の実店舗でゲームソフトを販売する同社は時代遅れで倒産間近と囁かれていたが、キースは赤いハチマキにネコのTシャツ姿の「ローリング・キティ」という名で動画を配信し、同社の株が過小評価されているとネット掲示板で訴える。すると彼の主張に共感した大勢の個人投資家がゲームストップ株を買い始め、21年初頭に株価は大暴騰。同社を空売りして一儲けを狙っていた大富豪たちは大きな損失を被った。この事件は連日メディアを賑わせ、キースは一躍時の人となるが……。

「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」のポール・ダノが主演を務め、ピート・デビッドソン、ビンセント・ドノフリオ、アメリカ・フェレーラ、セス・ローゲンが共演。

ダム・マネー ウォール街を狙え! : 作品情報 - 映画.com

 

 
 

「ダム・マネー ウォール街を狙え!」のネタバレありの感想と解説(全体)

 

 
 

 

金融映画に革命が起きた!!

いやぁ。。。

これはたまげました。。

こんなことって起きて良いんでしょうか。。

 

ゲームストップというゲーム・電子機器を販売する実店舗が主体の企業。

コロナ禍では誰がどう見ても客足が鈍るのは自明の理。

当然ながら株価は下がり続けるのですが、とある「違和感」に気づいた個人投資家をきっかけに湧き上がる謎のゲームストップムーブメント。

 

SNS時代が巻き起こした現代投資劇の傑作だし、資金力がものを言う投資の世界に下剋上を行い、誰もがスカッとするサクセスストーリーに仕上がっておりました!!

 

近い映画といえば2016年に公開された「マネー・ショート」ですが、こちらは(端折って言うと)株価が下がる方に賭けた男たちの映画でしたね。

投資した側は全員何かしら投資に関わる人で、特にクリスチャン・ベールは投資のプロ中のプロ。サブプライムローンの違和感にいち早く気づき、世界経済が堕ちる方に賭けて大成功を納めたんですよね。

 

www.machinaka-movie-review.com

 

一方で今作は、株価が上がる方に賭けたポール・ダノを起点とした投資家たちはズブの

素人。序盤に看護師がスマホでゲームストップ株を買ってるシーンが印象的でしたよね。

マネーショートのクリスチャン・ベールみたいに3画面のモニターで投資判断してる訳じゃないんですよww

みんなスマホで買ってるんですよw

 

スマホさえあれば誰でも参加できる投資劇。株が上がるという情報もキースの配信を見れば誰でもアクセスできる。

 

要は「開かれた投資」なんですよね。マネーショートはクリスチャン・ベールの投資判断なんて誰にもアクセスできないし、偶然トイレで話を聞いていたライアン・ゴズリングぐらいしか分からないわけでw

加えてクリスチャン・ベール達が大儲けした「CDS」という投資商品なんて今作ではセス・ローゲンなどのファンド集団しか知らない訳ですよw

 

*CDS:企業が倒産した時の保険金(マネーショートではリーマンブラザーズに対してCDSを賭けていた)

 

株が上がったら儲かる

  

これだけ知っていれば全く問題ありません。

金融知識が絡むと映画としては複雑になりがちですが、単純明快な図式を設定したことで誰もが理解できるエンタメ映画になったんですよね。

 

そして、単純明快な図式でリスナーに問いかけるポール・ダノも素晴らしい。

素晴らしいほど、、、ダム(愚か)ですww

 

彼によって株価が押しあがったわけですが、仮に株価が下がり続けたらどうでしょう。

「詐欺」と罵倒されても仕方ない行為ですよね。

彼に限らず、投資している人間として発言する場合は「絶対に上がる」なんてことは無責任すぎて言っちゃいけないんですよ!そんなの明日になってみないと分からないから。

 

にも関わらず彼は煽りまくってみんなに株を買うように薦める。そりゃ下院議員で問い詰められますよねw

しかし、彼の熱意に動かされた不特定多数の人たちは購入を決意。

特に根拠も分からないまま株を買い、上がる一方のゲームストップ株。

もうこれは、、投資家としてはテンションが上がって仕方ありませんでしたw

 

上がる方に賭けたキャラクター、下がる方に賭けたキャラクターでは描き方に徹底的な違いがあるのも面白かったですよね。

 

上がる方はポール・ダノの配信という媒体はあるけども、相互につながってはいない。

最後までつながることもない。キャラクター同士の関係値がめちゃくちゃ薄いんですよね。つながらないから、必然的に群像劇になる。

 

一方で下がる方に賭けたファンド集団は序盤から携帯電話で綿密に連絡を取り合い株価の動向について議論しあう。

ファンド、証券会社達の悪巧みと駆け引き。正直、こっち側を見てた方が映画を見てる感じがするんですよねw

 

非常に間接的な協力関係にある個人投資家が勝ち、綿密に連絡を取り合い全力で協力し合うファンドが負けるというのは何とも皮肉な内容にもなってるんですよね。

必死に努力した方が負けて、スマホでワンタップした方が勝つっていうw

 

爽快なマネーゲームとして本当に面白かったです!!

 

 

 

株を通して民主主義を描く

さらに、今作は単に実録マネー・ゲームを描いた映画じゃないんですよ。

最も評価すべき点はゲームストップ株の騒動を通じて「アメリカの民主主義」を描いた点にあります。これは意外と誰も言ってない、はず。。

 

私も個人投資家の端くれとして、何度も痛感させられることがあります。

 

個人は絶対に流れを変えることができない。

ルールは機関投資家が作り、個人投資家はルールに従うしかない。

 

機関投資家とは、圧倒的な資金力を持った投資家のことを言います。圧倒的な資金力、とだけ言われてもピンとこないでしょうからもっと具体的に言いますと、、

 

・GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)

・日本銀行

・日本政府

・メガバンク

 

などなど。

特にGPIFが分かりやすいでしょう。

 

GPIFは国民から集めた年金を投資運用する団体で、2001年から2023年までの運用で132兆円もの含み益を出している最強の常勝軍団。

 

分かりますよね。皆さんが毎月払っている年金を集めて、投資に使ってるわけですよ。

日本の総年金と個人投資家が勝負できるんですかって話ですwww

結果は見えてますよねw

 

 

このような機関投資家たちが大量に株を買えば上がるし、売れば猛烈に下がる。

彼らが投資の流れを作ってるんです。仕組み上そうなんです。

 

今作のファンドはGPIFのような巨大な資金力はないものの、冒頭のセス・ローゲン初登場シーンに描かれたようにファンドの資産は一般人とは桁違いなんですよ。

ファンド達が協力し合い、強烈な空売りを繰り出すことで一般人はどれだけ株を買っても下がってしまう。売りの強さには勝てないわけです。

 

また、金は権力の象徴とも言えます。金持ちがルールを作り、権力を持ち、ピラミッドの頂点に君臨し続ける。

株価が高い時に空売りを行い、そこから下落する一方のゲームストップ株。株価は自然と三角形を形取っていく。

まさにファンド達はピラミッドの頂点にいて、そこから空売りを仕掛けたわけですよ。

 

個人はどうすることもできない圧倒的資金力、圧倒的権力。

資本主義といえば聞こえが良いですが、これは独裁とも言える。

投資の世界では「民主主義」なんて通用しないわけです。

 

しかし、今作では奇跡が起きたのです。

劇中でポール・ダノは「株の民主主義化だ!」と叫びます。

そして民衆に協力を仰ぎます。

 

もちろん、自分の利益が上がることが第1の目標だったに違いないですが、同時に誰もが平等になる世界を目指していたのではないでしょうか。

そして、アメリカで最も重要な概念である「民主主義」を問う。

 

今作は普遍的かつ王道のアメリカ映画なんですよ。

 

エンタメ満載の内容に見えて、ちゃんと民主主義に向き合っている映画なんです。

 

 

夢と希望が詰まった全投資家感涙の傑作

はい、そしてここからは投資家目線で今作を語りたいと思います!!

 

まず、当時のゲームストップ株はどのようなチャートだったのか、、、

はい!!!

 

 

こんなの誰が買うんだよ!!!!

 

ある意味奇跡的ですよね。

てかおかしいですよね。

株というのは上がったり下がったりを繰り返して波のような形状をすることが多いんです。

しかし、ゲームストップ株はコロナ禍直前から下がる一方です。これは

 

チャートの画像に三本の線があり、左上に「MA」とありますが、これは株価の移動平均線。

5は5日間、20は20日間、60は60日間の平均値をそれぞれプロットして線を引いたものなんですよ。つまりこの線の位置関係で株価のトレンドが分かる。

株価がずっと60MA>20MA>5MAになっているでしょう。

これは典型的な「下げトレンド」です。

 

株は「下がった時に買うのが鉄則」なんて言いますが、そんな簡単なものじゃないんです。厳密には「上げトレンド」に転じた時に買うんです。

 

ただし、これはあくまでも「テクニカル」的な見方なんですよね。

 

株を買う時の戦略は大きく分けて二つあります。

一つはチャートの動きを見て判断する「テクニカル」と、企業の財務情報や市場分析、新商品の見込みなどを見て判断する「ファンダメンタル」。

どちらも確かな根拠があって投資判断をしているわけです。

 

ポール・ダノはファンダメンタル寄りの投資判断だったと思います。「空売り比率100%」というセリフも出てきましたが、どう考えてもあり得ない市場に違和感を覚えたわけです。

 

こんなにずっと下がってる株なんてあり得ないと。それはファンドが絡んでいると。

一方のファンド側もファンダメンタル的な側面で空売りを仕掛けています。誰もが分かることでしょう、コロナ禍で実店舗の需要が減る。売り上げが下がる。株価も下がる。

それに加えてファンドの資金力で空売りを増やせば確実に儲かる。

こんなに簡単な話はないです。

 

どちらも根拠がありそうですが、ポール・ダノの投資判断はかなり危険な、ギャンブルとも言える判断だったとしか言いようがない。。

まずゲームストップ株以前に、彼のポートフォリオ(資産の内訳)です。

資産の半分以上を株式投資に使っており、しかも全てゲームストップ株。

こんな愚かなことはありません。

 

なぜなら誰もが分かる通り、、、企業は「倒産する」恐れがあるわけです。

日本ではJALが破産申請を申し出た時、株は紙屑同然になりました。

ポール・ダノは資産の半分がゼロになる可能性だってあったわけです。

 

確かに空売り比率が高いのは投資判断としては良い。なぜなら、空売りというのは最終的には買いに繋がるからです。最初に売った株は、最後は(持ち主に返すために)買わなければいけません。

 

売りは将来の買いに繋がり、買いは将来の売りに繋がる。

そうした判断としてはポール・ダノは評価できますが、倒産のリスクを背負ってまでやることかと思うわけですwww

 

 

・・・しかし、彼はなぜゲームストップ株を手放さなかったのでしょうか。

親に散々言われても、弟に言われても絶対に手放さなかった株。

そして、ポール・ダノだけでなく看護師や多くの個人投資家がなぜ持ち続けたのか。

 

それは株式保有者にしか分からないある心理があるからです。

 

「もっと上がるかもしれない」

 

という全く根拠のない希望的観測を、投資した側は誰しも持ってしまうのです。

そして、個人投資家のほとんどがこの希望的観測に陶酔して損をします。

 

株価がいつ上がって下がるか分からない。だからもっと持っていれば上がるかもしれない。

・・・後半になってもなかなか利益確定できないのは、こうした理由があるんですよね。

 

ポール・ダノが含み益を見て笑っているのではなく、ため息まじりで悩んでいるのもこうした心理が働いているわけです。

 

今日利益を確定させて、それなりの稼ぎを得る。

しかし、明日もし株価がもっと上がったら・・・

 

今日売るのは「失敗」ではないのか。。。

 

と苛まれるのです。

株価が上がり利益が出ると「良いことしかない」と思う人もいるでしょうが、単純な話ではないのです。

 

株を買うのは簡単です。映画でも描かれたでしょう。みんなスマホでワンタップで「取引成立!」と画面が出て、そのあとはみんな仕事に遊びに戻って見知らぬ顔をする。

 

しかし、利益確定するときはみんな苦しそうでしたよね。そう、、、あれ本当に分かります。。

 

株を買うのは簡単、売るのは地獄なんです。

だからポール・ダノの精神状況は、含み益が出た時の方が深刻だったと思います。

 

利益確定の瞬間は「利益出たから良いじゃーーん」て目線で見れないわけですよ。

私からしたら「よく決断した!!!お疲れ様!!!!!」

と言いたんです!!!

「辛かったね!!」とさえ言いくなるww

 

それほど利益確定は苦しい作業なのです。

 

 

私の「ダムマネー」体験

 

ちなみに、私にもポール・ダノのような経験がありまして。。。

 

2年前の東映アニメーション株売買の話をさせてください。

 

当時、東映アニメーション株は「絶対に上がる」と信じていました。

なぜなら圧倒的な「ファンダメンタル」要素があったからです。

 

2022年の東映アニメーション映画は興行的に神がかってました。

「ONE PIECE FILM RED」「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」の特大ヒットにより、どう考えても売り上げが大幅増加する見込みでした。

あくまで「個人的な」観測です。

 

安い時に東映アニメーション株を仕入れたものの、東証スタンダード市場(昔でいう東証2部)という売買量が少ない市場の中で上がる見込みはなく揉まれ続ける日々。

 

序盤のポール・ダノの心境がよく分かります。

根拠はある!しかし、株価は上がらない。。

カフェで友達と話してる時に、友達だけでなく店員からもバカにされるわけです。

なんでそんな株買ってるのって。

私も同じ心境でした。

 

しかし、私の予測が見事に当たる時がやってきたのです。

東映の決算は予想を遥かに超える大幅増益。

もちろん株価は上昇。

 

今だから言えますが、一番高かった含み益は500万以上ありました。

確か、好決算後の数日間がそうだったと記憶してます。

 

・・・が、私は含み益500万の時に「売らない選択」を下しました。

 

それは何故でしょう?

なぜ一番儲かってる時に売らなかったのでしょう?

 

ここで、先ほどお伝えした投資家心理が働くのです。

「明日も上がるかもしれない」

 

当然、根拠はありました。

年末に公開予定だった「THE FIRST SLAM DUNK」に期待してたからです。

スラムダンクはドラゴンボールやワンピースのレベルじゃないだろうと。

もっともっと儲かるだろうと。

 

確実だと思ってました。

しかし、その直後に大事故が起きます。

 

スラムダンクの予告映像が流れた日でした。

Twitter上では賛否両論の嵐、いや否定意見の方が多かった。

山王戦であること、そして見慣れない絵のタッチ。。

不安だと感じた方も多かったでしょう。

 

そして、ダムマネーでも描かれた通り「不安」は株価に直結します。

予告が公開された翌日、株価は下がっていきました。

茫然自失でした。

1日、また1日と含み益が減っていく。

 

辛かったです。

 

悩み続け、耐えきれなくなり、ついに私は300万の利益確定を決断します。

 

 

Twitter上では喜んでますが、複雑な心境でした。

500万の利益が300万に。私としては200万の損失なのです。

 

ポール・ダノも株価が下がった時はさぞ苦しんだでしょう。

苦悶の表情をする心理がとても共感できました。

 

まとめ

いやぁ、こんなに長文になるのも久しぶりですねww

 

映画はもちろんのこと、個人的な投資経験談が・・笑

 

ともかく、投資家としてはポール・ダノの心理に共感すること間違いないですし、投資家でない人もこのブログを見て再度ご鑑賞いただけたら、、

 

改めて言っておきます!

 

利確は他人から見たら天国!本人は地獄!!!

 

 

99点 / 100点 

 

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 以上です! ご覧いただきありがとうございました!
 
 
 
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