- [はじめに]
- [あらすじ]
- 大泉さん
- 映画の感想
- 汚いところもきちんと見せる、リアルな障害者の姿を描いた素晴らしき作品
- ドキュメンタリータッチな会話劇が見事
- 大泉さんと実話・モデルになった鹿野さんの相性は抜群
- 無言で泣かせるベタなシーンが実に良かった
[はじめに]
今回公開する映画はこちら!
「こんな夜更けにバナナかよ」
それでは「こんな夜更けにバナナかよ」、感想・解説、ネタバレありでいってみよー!!!!
[あらすじ]
・筋ジストロフィーにかかりながらも自らの夢や欲に素直に生き、皆に愛され続けた実在の人物・鹿野靖明さんと、彼を支えながらともに生きたボランティアの人々や家族の姿を描いた人間ドラマ。大宅壮一ノンフィクション賞と講談社ノンフィクション賞をダブル受賞した書籍を原作に、「ブタがいた教室」の前田哲監督がメガホンをとり、大泉洋が主演を務めた。北海道の医学生・田中はボランティアとして、身体が不自由な鹿野と知り合う。筋肉が徐々に衰える難病・筋ジストロフィーを12歳の時に発症した鹿野は、いつも王様のようなワガママぶりで周囲を振り回してばかりいたが、どこか憎めない愛される存在だった。ある日、新人ボランティアの美咲に恋心を抱いた鹿野は、ラブレターの代筆を田中に依頼する。しかし、実は美咲は田中と付き合っていて……。医学生・田中を三浦春馬、彼の恋人・美咲を高畑充希がそれぞれ演じる。
大泉さん
あれ、もう4度くらい三浦春馬さんと会えるか会えないかどきどきする企画やってたけど、最後に出会えて良かったよねぇ、、、
そして、高畑充希さん
映画には引っ張りだこの人なんですが、あれ、、、最近の作品は全然見てないや。
調べてみたら、「アズミ・ハルコは行方不明」までしか見てない。ひるね姫、鎌倉物語、旅猫リポート、、どれも避けてきた作品ばかりですねw ごめんなさいww
以上、3人が集まる映画は珍しいわけです!本当に!
今回は実話ということで、あまりストーリーも変えることも難しいし、演技アンサンブルがとても大事だと思うんですよね。出演してる俳優もベテランさんなので、1から演出を教えるわけでもないし、俳優の器量がかなり作品の出来栄えに反映する映画だと思われます。
映画の感想
予想をはるかに超える面白さ!!
汚いところもきちんと見せる、リアルな障害者の姿を描いた素晴らしき作品
はい、舐めてました。
松竹という大きな配給で、しかも日テレがバックボーンについているということで、これまで「24時間テレビ」で多くの障害者番組を見ていた自分としては、どうせ綺麗に障害者を描くんでしょ? リアルじゃないんでしょ?
って思ってたんですけど、思った以上にリアルな障害者・・というか人間の姿を見せていて、驚きを隠せませんでした。
作品としては、セスローゲン、ジョセフゴードンレヴィット主演の「50/50」のようなイメージでした。この作品、僕かなり好きなんですけど、まさか邦画の障害者ものでここまでやってくれるとは思いませんでした。
鹿野さんは大泉洋さんがやってることもあって、おじさんに見えるんですけど、舞台となった1994年ではまだ30代前半。まだまだ性欲も有り余っているんでございます。
それを非常に意識して作られたのかどうかは分かりませんが、鹿野さんと高畑充希さんが初めて出会うシーンは、鹿野さんが真っ裸でたくさんの女性ボランティアに体をゴシゴシしてもらうボランティア・ソープから始めるというね。。。 エロすぎるわwww
もうこのシーンで私、心を掴まれておりました。
これに留まらず、高畑充希さんに「おっぱい触らして」とか、「うんこもれる」とか、やたらめったら下半身ネタを打ち込む鹿野さんに爆笑させてもらいました。
アホかww ここまで俺は期待してなかったよww 予告編では単に要求が激しくてワガママな鹿野さんというイメージしかなかったんですが、ここまで下ネタが多いとは思ってませんでしたw
ま、僕の大好物なので全然問題なかったんですけどねw
これでよく全年齢で行けましたね! ティッシュとか、エロビデオとか、結構ギリギリな気がしたけども。
・・このままだと下ネタ映画ブログになってしまうので、まとめるとですね、今作のように人間のあえて汚い部分を見せることで、その人間がリアルに見えてくる効果があるわけですよ。
しかも、それを障害者の方に適用することで、一般人がどうしても感じてしまう「障害者、かわいそう」みたいな偏見を取っ払ってくれるわけですね、映像で。
しかも鹿野さんの場合は筋ジストロフィーという大病を患い、本当に誰か手助けがないと生きていけない方。普通に撮ってるとどうしても可哀想な感情が湧き上がってくるんです。
似ている症状でALSという障害を扱ったエディ・レッドメインの「博士と彼女のセオリー」が影響
しかし、大泉洋さんの持ち前の明るさと、水曜どうでしょうで披露してくれていた「面白いから許せるけど、本当にうるさい文句・ヤジ」によって、良い意味で可哀想さが一切なくなるんですよw
あぁ、マジで鹿野うぜぇ・・・(褒めてます)
と心の中で思ったのでありましたw
こうした一連の鹿野ディス(褒めてます)を最初にやっておくことで、見ている人としては大泉洋さんから鹿野さんという実在の人物、障害者がスクリーンの中にいる、と信じ込ませてくれるんですよね。
割と中盤・後半はあまり笑いを狙ったシーンは少なっており、ウェットになっています。こうした順番で正解だったでしょう!
また、徐々に鹿野さんは弱まっていき、終盤では呼吸器をつけるため全く喋れなくなってしまうシーンもありましたが、もうそこでは可哀想とか、頑張れ!とかは思わないわけです。
そんな勝手なエールを障害者の人に送りたくない、と思うわけです。
病院から抜け出しても、寿命を縮めるようなことをしても、「鹿野さんの自由だからよくね?」って見守っている自分がいる。その見守る行為こそが映画を見ることなんですよ。映画は、ただ見ることしかできない、人生の選択は、主人公に委ねることしかできない。
鹿野さんの行動には賛否あるかと思いますが、主人公の選択に違和感を感じず最後まで飽きずに見守ることができたのが、良作の証拠だと思います。
ドキュメンタリータッチな会話劇が見事
今作は三浦春馬くん、大泉洋さん、高畑充希ちゃんのような大ベテランで演劇もやるような俳優さんがいらっしゃるのに、ドキュメンタリータッチで会話劇をしていたのが実に良かったですね。
特に高畑充希ちゃんの演技には驚きました。これ、台本あんの?と本気で思ってしまうような極めてナチュラルな話し方、常にタメ口で返事に間があったり、明らかに他の俳優とは違う印象を受けました。
三浦春馬くんは劇団☆新感線出身ということもあり、どうしても仰々しい演技になってしまうのですが、今作ではできるだけ自然に演技しようと声を抑えているのが好感持てましたね。
そして大泉洋さん、、かなりアドリブが入ってたかもしれないんですが、本当に役に入っていて、台本の存在を感じさせない演技でした。
いや、あれはほとんど素なんじゃないのか? と思うほどでした。
なんか、マジでイラッとくるんですよw 特に三浦春馬くんに対するボヤキが本当にいらいらするww
高畑充希ちゃんが怒るのも納得ですw
あと、カットが非常に長回しで、ほとんどカットしてないのも印象的でしたね。三浦春馬くんと高畑充希ちゃんが二人でイチャイチャするシーンが異様に長かったりするしw
あれ、あんなに長くとる必要あったのかな? 高畑充希ちゃん、凄くドギマギしてるけど大丈夫かな? と心配するほどのカメラワークでした。なんだったんだろう、、、あれ。
大泉さんと実話・モデルになった鹿野さんの相性は抜群
他の俳優さんを褒めつつも、やはり今作の肝は大泉洋さんなのであります。
正直、大泉洋さんがいないと代役務まらないですよね、これ。
うざい演技をする人はいくらでもいるでしょう。でも、うざくても愛くるしい役者はそうそういない。
愛され力がハンパない大泉洋さんじゃないと、多分イライラして飽きちゃうと思います。
原作の渡辺さんのお話では、実際の鹿野さんもああいううざい人だったみたいですw
障害者だとか、そんなの抜きにして凄く高圧的で偉そうww
そりゃ助けが必要かもしれないけどさ、もう少し謙虚にしたほうがいいじゃない?って思っちゃうんだけど、鹿野さんはそんな気遣いを1ミリも見せないw
そんな横暴な鹿野さんだけど、見ていてどこか可愛げのある、助けてあげたくなるようなキャラクターじゃないと、映画が破綻すると思います。なぜなら、我々観客は映画を見ることしか出来ないからボランティアのように実際に鹿野さんと触れ合うことが一切許されないのだから。
あくまでキャラクターとして鹿野さんを見ると、大泉洋さんのように愛嬌を感じるような人じゃないと難しいんですよ。
大泉さん以外、似合う人はいないよ!!
無言で泣かせるベタなシーンが実に良かった
ドキュメンタリータッチで基本進んでいくんですが、たまぁに映画的な演出が入るシーンがあって、非常にクレバーでスマートな演出も入っていたので良かったんですよね!
例えば鹿野さんが倒れた拍子に砂時計がサァーと流れ始めて、鹿野さんの生命存続の危険性をセリフじゃなく砂時計で表してくれるのが良かったんですよね。
あと、すっごいベタなんですけど綾戸智恵さん演じる鹿野母と鹿野が和解するシーン。
喋れなくて何も言えない鹿野さんなんだけど、何か口をパクパクしてる。よく口を見れば母に感謝を告げている。。今まで恥ずかしくて感謝を伝えられず、というか暴言ばかり吐いていた鹿野さんでしたが、ここでようやく母に感謝を。。
そして無言で頷くお母さんと鹿野。。
すごくウェットでベタなシーンなんですけど、もう泣けて泣けて仕方ありませんでした。ビックリするくらい泣きました。前半がすごくコメディリリーフ多めだったせいもあって、その反動で泣いてしまったのかもしれません。
俺、まだベタなシーンでも泣けるんだなぁと改めることもできましたw うん、まだ俺普通の感覚持ってるw
・・・はい、以上となります。
日テレがバックボーンで障害者ものを扱うと、どうしても嫌な予感がしてならなかったんですが、予想を裏切る超良作で本当に良かったです!
感動ポルノと呼ばれ非難される「24時間テレビ」ですが、今作のようにリアルに障害者を描いてくれると本当に良い番組になると思うんだよなぁ、、
難病を伝えることができるってのは、良いんですけどねぇ、、、
さぁて来年の24時間テレビは今作によってどれくらい変わってくれるのか、、、まぁ変わんないと思うけどw
大変大好きな作品でした! 年末に良いもの観れたぞっ!!!