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映画「ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから」ネタバレあり感想解説と評価 昨日のさよならは、今日のおはようになる

 
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この記事では、「ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから」

 
 

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(C)2018 / ZAZI FILMS – MARS CINEMA – MARS FILMS – CHAPKA FILMS - FRANCE 3 CINEMA – C8 FILMS



 
「エール!」の制作陣が集合したと聞いて、思わずムビチケのサイトに指を動かした。
 
2015年のベスト映画として選定したフランス映画の「エール!」。正直、もう少し良いタイトルはないかと今でも思っているが、中身は唯一無二の素晴らしい作品。
 
今作でも、エールのような傑作に出会えることを信じてチケットを購入。

 

 

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毎度のこと、過度な期待をしないようにしているが、ワクワクが止まらないのが現状である。

 

それでは「ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・「あしたは最高のはじまり」のユーゴ・ジェラン監督が、最愛の女性が自分のことを知らない、もう1つの世界に迷い込んでしまった男性を描いたフランス発のファンタジックラブストーリー。高校時代に出会い、一目ぼれから結婚したラファエルとオリヴィア。人気SF作家として多忙な毎日を送るラファエルと、小さなピアノ教室を運営するオリヴィアの夫婦生活はすれ違いが続いていた。オリヴィアと大ゲンカをした翌朝、ラファエルは見覚えのない部屋で目を覚ます。そこは夫婦の立場が逆転した“もう1つの世界”で、ラファエルはしがない中学教師、そしてオリヴィアは人気ピアニストで、ラファエルのことを知らなかった。主人公ラファエルを「私の知らないわたしの素顔」のフランソワ・シビル、オリヴィアを「最後のマイ・ウェイ」のジョセフィーヌ・ジャピがそれぞれ演じる。

eiga.com

 

 

 
 
 
 
 

「ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから」のネタバレありの感想と解説(全体)

 
 

 
 
 
 
 
 

昨日のさよならは、今日のおはようになる

 
 「恋はデジャブ」や「アバウト・タイム」など、時間と恋を絡めた作品は多くある。

その多くが、時間という絶対的運命に抗い、自らの目的=恋人と結ばれるために奔走する展開となる。

 

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今作もご多分に漏れず、主人公は過去に自分がいた世界線で出会った恋人と再び恋をしようと画策する。

 

同じ恋人と再び恋をする行為は、過去のやり直しとも見て取れる。

 

「あの時、ああしていれば、こうしていれば」と過去に起こした失敗を反省し、トライアンドエラーで恋を掴む。その過程で主人公が成長していくことに観客はカタルシスを覚える。

 

が、今作はそういったセオリーがことごとく裏切られる。

 

過去に書いた小説がきっかけで、主人公のラファエルはオリヴィアに出会い、恋をする。

 

別の世界線に飛び小説のことをまるで知らないオリヴィアに対しても、過去の自分の存在証明である小説を武器に、最後の賭けに出る。過去に決めていた結末ではオリヴィアと別れることを暗喩していたが、今度は逆にラファエル自身が消える展開に書き換える。

 

過去とは相反する結末により今の世界線は消滅し、再び過去の世界線に戻れることを確信したラファエルであったが、その思惑とは裏腹に、予想だにしないラストを迎える。

(後は劇場で確かめてください)

 

映画にとってはラファエルが過去に書いた小説が「伏線」となるが、今作はその伏線を否定する。

 

映画の前半という過去を活かさずに、ロジック通りに物事を進めない。

 

映画のセオリーを外すこと自体が、リアルな人生でリアルな恋愛だから、と作り手たちは語っているように思える。

 

過去にばかり囚われずに、いまを生きる。

 

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恋愛も同じで、過去でなく今の恋人を見続け大切にすることが、永遠の恋につながるのだろう。

 

再び恋人と結ばれるには、「再び」を捨てることだった。

 

なんとダイナミックな作劇なんだろう。

 

ファンタジーな恋だからこそ、現実に根付いた恋を。

 

過去を何度もやり返すようなファンタジー恋愛映画とは一線を画す、新たな恋愛映画の歴史が刻まれた。

 

 

 

  

 

 

 

まるでラ・ラ・ランドのEDのようなOP

 

恋愛映画だと思っていた矢先、冒頭はなぜかサイバーパンク的なSFアクションが展開される。

 

こんな感触は久しぶりだ。「あ、劇場間違えたかな?」と本気で心配してしまった。

 

実はこのシーンはラファエルの小説の中を可視化したに過ぎないのだが、これを見せることによって「君たちが想像するような(恋愛)映画じゃないんだ」ということを宣言するようにも見て取れる。

 

事実、その後の展開は我々が思い描く展開にはなっていないのだから。

 

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そして、オリヴィアとラファエルが出会い結ばれるシーンは、まるでラ・ラ・ランドのエンディングのような映像がオープニングで流れる。

 

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 小説の感想をラファエルに伝えるオリヴィア。小説で起きたキスのことを語り合い、「こんなキスだよね?」「いや、違うこうだ」などとイチャコラ展開を繰り返した挙げ句、「こんなキスだよ!」とオリヴィアに飛び込みマジガチなKissを始めた途端、オープニングクレジットが流れる。

 

キスから始まるオープニングは初めてで驚いた。そして、ときめいた。

 

ラファエルは小説家で、オリヴィアはピアニスト。お互いに表現の道を進みながらも、同棲し結婚し、仲睦まじい様子がテンポ良く流れていく。

 

しかし、オープニングが終わった直後には二人は険悪になり、まるでオープニングが夢のように感じる。

 

別次元に移動することがメインの話であるだけに、元の世界線で描くべきところをオープニングにして手短に伝えるあたりが素晴らしい。なんという時間の濃縮だろう。

 

 

 

 

ラストの解釈は?

ラスト、オリヴィアとラファエルのあの展開について考えたい。

 

まるで「ノッティングヒルの恋人」のような後味を覚えたが、果たしてあれは夢だったのか幻だったのか、少し疑問を感じるところだ。

 

ノッティングヒルの恋人 (字幕版)

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 なぜなら、今作ではラファエルの妄想がそのまま可視化されることがあるからだ。

 

オリヴィアの自宅に行った時も、自転車に乗ろうと誘ったオリヴィアもラファエルの目では肉体関係を妄想してしまう性欲に正直なラファエル。 

 

そして一晩を共にした翌日の朝、フルーツ盛りだくさんで似顔絵が描いてあるパンケーキを目にするラファエルだが、現実には存在してなかっただろう。キッチンは夫が握っているという伏線がすでにあるためだ。

 

こうした妄想の可視化が繰り返されているため、ラストのあのシーンもラファエルの妄想だったのではないか、と疑問符をつけてしまう。

 

ラファエルとオリヴィアは本当に結ばれたのか。結ばれなかったのか。

 

映画を見た人であれば間違いなく前者を希望する。私ももちろん、前者の方だ。

 

個人的には、過去との決着を付けたラファエルに新たな恋がはじまった。その相手がまた、オリヴィアだった。ただそれだけのこと。

 

くれぐれも、ラファエルの作った妄想でないことを願うばかりだ。

 

 

 

 

まとめ

これまでのSF恋愛映画とは異なる、再び結ばれることを否定した作品。

 

過去にとらわれない、とは思いつつも過去を引きずってしまう全ての人にこの映画を贈りたい。

特に失恋した人には、是非とも勧めたい。

 

オリヴィアとラファエルの関係性ばかり書いてしまったが、ラファエルの親友であるフェリックスの一つも外さないギャグに大爆笑し、オリヴィアとは異なり次元が変わっても普遍的な友情を描いているのも◎で、ロマコメの「コメ」の部分も非常に優秀である。

 

 

ラ・ラ・ランドで切ない気持ちになった人も、今作を見ればスッキリ爽快間違いなし。

 

映画のある人生を、そして恋のある人生を!!

 

 

 

 

85点 / 100点 

 
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