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映画「この茫漠たる荒野で」ネタバレあり感想解説と評価 社会性とエンタメ性を兼ね備えた現代ロードムービーのトレンド

 
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この記事では、「この茫漠たる荒野で」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「この茫漠たる荒野で」

 
 

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Netflix映画「この茫漠たる荒野で」2月10日(水)より独占配信開始



アカデミー作品賞にノミネートされる可能性が高いということで、鑑賞して参りました。
トム・ハンクス主演は久しぶりに見ますけど、まぁ優しいような怖いような、本当に複雑な表情するのが本当に得意な人ですわ。
 
それに娘なのかな? トムハンクスの横にいる女の子も、一体どこを見つめてるんでしょうか。芸達者な雰囲気がビンビンに伝わってきています。

 

期待値が上がって仕方ありません!配信ですが、出来るだけ良い環境で鑑賞して参ります。 

 

それでは「この茫漠たる荒野で」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
「キャプテン・フィリップス」のポール・グリーングラス監督とトム・ハンクスが再びタッグを組み、南北戦争後のアメリカを舞台に、各地を旅する退役軍人の男が、孤独な少女との旅路を通じて心を通わせていく姿を描いた人間ドラマ。南北戦争が終結して5年。退役軍人のジェファソン・カイル・キッドは、各地を転々としながら世界のさまざまなニュースを読み伝える仕事をしていた。そんな旅の途中、キッドはジョハンナという10歳の少女と出会う。6年前にネイティブアメリカンに連れ去られ、そこで育てられたジョハンナは、英語もわからず見知らぬ外の世界に困惑していた。見かねたキッドは、彼女を親族のもとへ送り届ける役目を引き受ける。2人は厳しい自然や人間たちによってもたらされる試練に直面しながらも、荒野を進んでいく。主人公キッド役をハンクスが務め、ジョハンナをドイツ出身の新星ヘレナ・ゼンゲルが演じる。原作は、全米図書賞の最終候補に選出されたポーレット・ジルズのベストセラー小説。脚本に「LION ライオン 25年目のただいま」でアカデミー脚色賞にノミネートされたルーク・デイビス。Netflixで2021年2月10日から配信。

 

eiga.com

 

 

 
 
 
 
 
 

「この茫漠たる荒野で」のネタバレありの感想と解説(短評)

 
 

 
 
 

西部劇のようで、西部劇でない。まさしく現代ロードムービー。

 
時代は南北戦争終結後から5年後の1870年。舞台はテキサスで南軍の大尉だったトム・ハンクスがジョハンナという少女と出会い、旅をしていく一種のロードムービーでございました。
 
ただ、トム・ハンクス演じるキッドは退役軍人で今は新聞を市井の人々に読み聞かせる仕事をしていて、ジョハンナちゃんは見た目は白人でも、カイオワ族というアメリカのインディアンに育てられたため英語が全く喋れない。
 
冒頭にも述べた通り、一見親子に見える関係が全くそうではなくて、二人とも一癖も二癖もある。
 
「キッドとジョハンナの友好の深化」や「目的地はカストロヴィル(テキサスの南部)」など、映画の目的と目的地は明確になっているものの、それぞれのキャラクターの事情や過去の背景はあまり語られないため、キャラクターのパーソナリティを深堀りすることに興味の視点が移った映画でございました。
 
また一見すると今作は西部劇というジャンルに分類されますが、テキサスが舞台で赤い河という言葉が出てくるものの、カウボーイがいるわけでもなく勧善懲悪の復讐劇でもない。とてもじゃないが西部劇というジャンルに収まらない作品なんです。
 
そもそもなぜ、キッドはジョハンナを助けようとしたのか。ジョハンナを助けようとする人間がなぜ周りにいないのか、なぜ人々は各自で新聞を読まないのか。
あまり詳しい説明がなく、時代背景を読み解くのも大変です。
 
こうした今作にとって必要な情報の全てが省略化され、二人の関係性に多くの時間を割いている。私としてはやはり、ロードムービーという位置づけが正しいのかなと思いました。
 
なので、ああいったラストを迎えるのは自動的に涙が出てくるし、イイハナシダナァと思わず頭を垂れてしまう。表面上は誰もが感動する王道のヒューマンドラマであり、細かい点に目を配れば南北戦争というアメリカ最大の分断を、今見ることに価値があるなど映画の外側の世界も意識せずにはいられない作品でした。
 
トランプ大統領が負け、アメリカの分断が起こっている今だからこそ観るべき、と誰もが容易に想像できる現代社会との関連性が高い作品を今配信するのも、素晴らしいタイミングだと思います。
 
ただ、私としてはやはり、映画的な観点から今作を語りたい。
 
昔からあるような設定の西部劇ではなく、今そこに起きている社会問題と西部劇を絡めた現代劇のようにも見える作品で、非常に複合的な要素を持った作品である事に違いないです。
 
こうした一種のジャンル映画に留まらない点や、今作な複合的な要素を体現するトム・ハンクスの複雑な表情もたまりません。一秒間に何十回演技入れてんだ、この人。。
 
そして何より、ジョハンナちゃん演じるヘレナ・ゼンゲルのココロ、ココニアラズな空虚で荒んだ状態そのものが、荒野という舞台に完全にシンクロしており、映画という作り物であるにもかかわらず、そこに実在したかのようなリアリティを醸し出していました。
 
一昔前のアメリカ南部を舞台に、最初は水と油の関係だった白人・黒人の二人が旅で交流を深めていく、「グリーンブック」という作品が、1昨年前にアカデミー作品賞を獲得しました。

 

www.machinaka-movie-review.com

 

そして今作と同じくアカデミー作品賞が有力視されている「ノマドランド」は、荒野にさすらう白人労働者のロードムービー。

 

現代のロードムービーは、社会問題とロードムービー本来の要素を重ね合わせた作品が、トレンドであるように感じます。

 

ロードムービーで人間を描くことは当たり前。それプラス映画の外側の世界≒社会問題に触れようとする試みが、今多いように感じます。

 

出発点から目的地に着くまでがロードムービーの宿命的にシンプルなゴールなのですが、シンプルだからこそキャラクターの一挙手一投足に注目できるし、社会的メッセージを入れる余白も出来る。

 

いま、ロードムービーが非常に注目されていると感じるし、ロードムービーの可能性を改めて実感できた良作でございました!!

 
 
 

 

時代背景を知れるおススメ作品

特に前提知識がなくても、二人の交友を見届けるだけで満足できる作品です。

ただ、南北戦争のあと南部はどうなったのかなど、時代背景を知っておくと、深みが増します。

 

そもそも今作で、南北戦争はどっちが勝ったのか、説明してましたっけ?

 

そうした諸々の前提知識が必要なので、サブテキストとなるような映画をご紹介します!

 

 

●「風と共に去りぬ」1939、アメリカ

 

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言わずもがなの超有名作。映画ファンなら誰しも見たことあるでしょ? あれ、見てませんか?

3時間という非常に長尺な映画ではありますが、南北戦争を取り扱った映画を見る前に、是非とも今作を見て史実を知って頂きたい。

 

もちろん、細かい点を挙げればすべてが史実ではないですが、①南北戦争が起きる前、②南北戦争中、③南北戦争後の3時代の南部が良く理解できるのが今作の最大の特徴。

 

①の時代は、奴隷制度が当たり前で、誰も異論を唱えず。国家が存在せず富豪が占領していた、一種中世ヨーロッパ的にも見える南部がたっぷりと描かれます。

 

そして②の時代、余裕と思われた南北戦争は北軍の圧勝に次ぐ圧勝。

 

ついに③の時代、戦争に負けた南部は、富という富が奪われ、農業をするしか道がない貧困者の地域となってしまったのです。

 

今作で富豪らしい富豪がおらず、着ている服装もみずほらしい人が多いのは、戦争に負け全てを奪われたからなんですよね。

 

そのため、いくらジョハンナのような孤児がいたとしても、養う余裕が全くない。今作で登場したジョハンナの義理の夫婦が荒んでいるのは、そうした時代背景があるのです。

 

キッド大尉が夫婦を過度に責めないのも、納得できるのです。

  

 

●「赤い河」1948、アメリカ

 

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劇中に「赤い河」という言葉が出てきますね。赤い河とはカウボーイと牛が行きかった、西部開拓時代のシルクロード的な河道なんです。

 

赤色土のため赤く見える川が特徴的で、大量の牛が赤い河を渡るシーンがとても印象的です。だって、CGがない時代にCGよりすげぇことやってるんだもの!!

 

 

 

●「ダンスウィズウルブス」1990、アメリカ

 

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今作を見て真っ先に思い出した映画が、こちら。

 

南北戦争中、突如僻地に行きたいと申し入れした中尉がインディアン居留地で監視という名目の1人暮らしを始めるケビンコスナー。インディアンと交流していくうちに、子供の頃に家族が皆殺しにされ、その後はインディアンに育てられた白人の女性とケビンコスナーが交流を深めていく話なんです。

 

非常に今作との共通点が多く、どこかしら意識をしてるなじゃないかと思ってしまいました。

 

ちなみに、この作品に登場するのはスー族というインディアンで、今作のカイオワ族はスー族によって端へ端へと追いやられてしまいます。

 

ちなみに、スー族もその後衰退の一途を辿るのですが、そのカギとなるのが今作にも登場したオックスフォードの大群です。

南軍の男たちがオックスフォードを捕まえては殺戮する描写が出てきますが、スー族にとってオックスフォードは食料であると同時に皮を服や住まいにも使用するほど、重宝している動物。スー族にとって衣食住であるオックスフォードを壊滅させることで、インディアンの勢力を失わせたのです。

 

今作と非常に関連する作品のように思えるので、是非ご覧ください。

 

 

 

 

まとめ

アカデミー作品賞ノミネートに値する、非常に複合的な要素を持ったロードムービー。どれをとっても一級品で、まるで隙が無い作品でございました。

 

ただ、隙がなく完璧すぎて、愛着のようなものが湧かなかったというのも正直なところ。

 

上手すぎる作品っていうのも、困ったものですね笑

 

個人的にはやはり、「ダンスウィズウルブス」のようにちょっと隙のあるインディアンものが好みですかね。

 

とはいってもアカデミー賞に食い込むこと間違いなしの作品ですし、アカデミー賞の時期を考えると間違いなく賞レースに懸けている作品であります。

 

是非ともご覧あれ!おススメです。

 

92点 / 100点 

 
関連画像

 

 
 
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