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映画「NOPE ノープ」ネタバレあり感想解説と評価 NOPEの意味とは!?上から襲うアイツの正体とは!?

 
こんにちは! 
 
Machinakaです!! 
 
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この記事では、「NOPE ノープ」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

今回批評する映画はこちら

 

「NOPE ノープ」

 

(C)2021 UNIVERSAL STUDIOS
 
いやーーー、久しぶりのジョーダン・ピール監督作!!
 
予告から超楽しみにしておりました。
 
コメディ俳優として活躍してきたジョーダン・ピール。映画製作では打って変わってホラー・スリラー映画を撮るように。
 
「ゲット・アウト」も「Us」も大好き。
きっと今作もホームラン飛ばしてくれるのではないでしょうか!!
 
「上を見るな!」と言えば、アダム・マッケイの「ドントルックアップ」が記憶に新しいのですが、何を見たらダメなんでしょうねぇ・・・
 
 
 

あらすじ

  
「ゲット・アウト」「アス」で高い評価を受けるジョーダン・ピールの長編監督第3作。広大な田舎町の空に突如現れた不気味な飛行物体をめぐり、謎の解明のため動画撮影を試みる兄妹がたどる運命を描いた。

田舎町で広大な敷地の牧場を経営し、生計を立てているヘイウッド家。ある日、長男OJが家業をサボって町に繰り出す妹エメラルドにうんざりしていたところ、突然空から異物が降り注いでくる。その謎の現象が止んだかと思うと、直前まで会話していた父親が息絶えていた。長男は、父親の不可解な死の直前に、雲に覆われた巨大な飛行物体のようなものを目撃したことを妹に明かす。兄妹はその飛行物体の存在を収めた動画を撮影すればネットでバズるはずだと、飛行物体の撮影に挑むが、そんな彼らに想像を絶する事態が待ち受けていた。

「ゲット・アウト」でもピール監督とタッグを組んだダニエル・カルーヤが兄OJ、「ハスラーズ」のキキ・パーマーが妹エメラルドを演じるほか、「ミナリ」のスティーブン・ユァンが共演。

NOPE ノープ : 作品情報 - 映画.com

 

 

「NOPE ノープ」のネタバレありの感想と解説(全体)

 
 

 

ホラースリラーよりも監督のメッセージ性が勝る

いんやぁ、想像してたものと違ってました。

 

上を見てはいけない、何かが上から襲ってくる。

 

最初は、監督お得意のホラースリラー展開で進むのかなぁと思ってました。

「Us」では地下から、そして今作では空から降ってくる。ちょうど良い対比なのかなぁと。。

まぁ、全然予想外れたんですけどw

 

今作は今までの監督作品のようなパニック要素は抑えめで、監督のメッセージ性のために演出された場面が多いように感じました。

分かりやすいエンターテイメント性というよりも、メタ的に伝えたいことが優先されてしまって、少しとっつきづらい印象もあります。

 

主人公のOJは、映画の撮影に用いられる馬を提供するハリウッド御用達の調教士を家業としています。その界隈では有名だった父親が突如亡くなり、自分の実力が全く認められず、次の仕事を妹と共に探している設定なんですよね。

 

ただ、そうした込み入った設定もどこ吹く風で、ハリウッドから家に帰ると上から謎の物体が襲ってきてスリラー展開が待ち構えています。上を見ると攻撃される設定、正体が全くわからずひたすら逃げるばかり。

 

ただ単に空から逃げるパニック設定ならまだしも、主人公の複雑な設定もあり謎が謎をよぶ展開になっているのですが、特に説明もありません。

そしてラスト、、、なんと西部劇展開になって終わりますww

 

ざっくり言えば、ありとあらゆる要素を詰め込んだのは良いものの、それらが散文的でバラバラになっているように見えてしまうんですよね。

実際には、すごく繋がってるんですけども。

 

ジャンプスケアも来るかな、来るかな、、とビビっていたのですが、思ったよりもびっくりするシーンが少なくて少し肩透かしでしたね笑

まぁ、その分いつ来るか不安で仕方なかったんですけどもw

 

映画好きとしては、すごく考察のしがいがある良作でございました!!

 

ただ、分かりやすいホラースリラーを望んでた人にとってはモヤモヤが残ると思います。そもそも敵の正体が全く分かりませんからね・・・

 

これから徹底的に解説していきます!!

 

 

ジョーダン・ピール版「未知との遭遇」とでも言うのだろうか?

まず誰が見ても分かる通り、今作はスピルバーグが手がけた作品のオマージュが強いです。

 

一番分かりやすいのは、コメディドラマの現場で暴れたチンパンジーと、若き日のスティーブン・ユアンがグータッチをしようとするシーン。

あれ完全に「E.T」ですよね? ただし宇宙人の代わりにチンパンジーと意思疎通しようとするっていう。

いろんな解釈ができますけど、私はアジア人=猿という関係を真っ先に思いついてしまいました。「猿の惑星」は原作者が日本兵に捕虜にされた過去があって描かれたものですし、イエローモンキーというスラングもアジア人に向けられたものです。

 

よく考えれば、あの猿もすごく可哀想な存在ですよね。勝手に連れれこられて、笑いものにされて。アジア人とチンパンジー。マイノリティ同士、繋がるものがあったのですかね。

 

次に、牧場を襲う竜巻は「ツイスター」ですよね。スピルバーグ制作総指揮の映画のオマージュです。

そして何よりも「未知との遭遇」ですよ。だだっ広い土地に未確認飛行物体が飛んできて、人間と交流を図ろうとする。。まぁ今作は殺そうとしてますがw

 

なぜここまでスピルバーグのオマージュがあったのでしょうか。

それは、上から襲ってくるアイツの正体を知れば自ずと分かるでしょう。

 

 

上から襲うアイツの正体とは!?

最初から最後まで意味不明だった、上から攻めてくるアイツ。

 

最初は飛行船のような姿で、途中からモロにUFOのような姿で襲ってくる。

 

一体何を目的にしているんでしょうか。奴らの正体はなんでしょうか?

 

結論から言いますが、奴らの正体はハリウッドのスタジオにいた輩のような、世間から向けられた侮蔑のまなざしであると思っています。

 

あのUFOの色味や形を見れば理解していただけると思うんですけども、中心が黒で周りが白の円形・・・これは眼の色と同じですよね?

白い部分に少し線が入ってて、毛細血管のようにも見えましたね。

 

なぜ眼が襲ってくるのでしょうか? 

それは、OJの家系をはじめとした黒人の映画人たちは不当な評価をされ続けていた歴史があり、今作はそのメタファーとしてUFOが機能していたのではないかと思うのです。

 

OJの妹がハリウッドスタジオでさりげなく大事なことを言ってるのですが、冒頭に映る馬に乗る黒人の映像について、「あの映像が世界で初めての映画であることは知られている。でもその馬に乗っている黒人の名前は誰も知らない」と言っています。

 

その後、明らかな冷遇を受けてOJたちはスタジオを後にするわけですが、彼らが対峙しているのはUFOだけではなく、ハリウッドが自分たちに向ける侮蔑のまなざしです。

 

ピール監督が創る仮想敵は、常に現実の社会とリンクしています。

「ゲットアウト」は白人について、「Us」はアメリカという国そのものに対して。

そして今作はハリウッド映画人に向けて映画を作っているのです。

 

冒頭で亡くなった父親は、侮蔑のまなざしを向けられながらも必死に働いて名を残した映画人のメタファーだと思います。「夜の大捜査線」のシドニー・ポワチエのような存在を重ねたのかも知れません。

 

黒人主演の映画なんて、昔では考えられませんでした。

上を目指そうものなら叩かれる、干される。上からの圧力で消されてしまう。

だから上を見てはいけない。

そういった映画界の酷い歴史を今作は描きたかったのではないでしょうか。

 

また、冒頭の聖書の引用も象徴的だと思います。

 

ナホム書3章6節の引用です。

 

見よ。わたしはあなたに立ち向かう。わたしはあなたに汚物をかけ、あなたをはずかしめ、あなたを見せものとする

ナホム書3章 - 人生が100倍楽しくなる、パスターまことの聖書通読一日一生5(旧約聖書 新約聖書 聖書通読ブログ)

 

あなたは聖書ではアッシリア帝国に対するもので、わたしは神様です。

当時はアッシリアが近隣諸国を攻め、奪略と陵辱のかぎりを尽くしていました。

それに怒った神はアッシリアの人間に対して対峙するスタンスを取ったわけですね。

酷いこと言ってますけど、個人的に旧約聖書の神はかなり残酷なので驚きませんw

 

これを今作のメタファーに当てはめるとですよ。

 

あなた=アッシリア帝国=ハリウッドを牛耳ってきた映画人たち。

わたし=神=OJをはじめとした黒人・アジア人のマイノリティ

 

という図式が浮かび上がります。

スティーブン・ユアンのシーンも決して散文的ではなく、ちゃんと意味があったわけですね。

 

チンパンジーが白人を攻撃したのも、あれは神の怒りであると思うのですよね。

チンパンジー=アジア人というメタファーが成立するならば。

 

 

NOPEの本当の意味とは...

NOPE:いいえの俗称。咄嗟に怯んだり、逃げ腰になる意味も持ち合わせる。

 

何に対してNOPEだったのか。上から来るアイツから逃げられない訳なので、どう足掻いても殺されちゃうよって意味なのでしょうか。

 

確かに無理ゲーな相手ですが、物理的にNOPEと言いたい訳じゃないと思うんですよね。

 

先ほどもお伝えした通り、空から来るアイツの正体はハリウッドを牛耳ってきた映画人たちだと思うんですよ。

 

したがって、映画の主人公であるOJは、俺が映画の主役だなんて無理ゲーだよ。

NOPEだよ。。。って言っているように聞こえます。

 

今までずっと上を見てこなかったOJですが、最後には上を見てハリウッドの映画人と対峙しました。その結果、西部劇のようなハッピーエンドを迎えられたわけです。

ちなみに、西部劇といえば白人が活躍する映画の代表格。その風船を食わせて爆発させるっていうのは、なんともオツな終わり方だったのではないでしょうか。

 

これまで映画の主役だったり、制作・監督を務めることが極めて難しかった映画業界。

NOPEだと思わずに、戦って戦って今作のような映画を撮れたことを褒め称えるべきです。

まさにNOPEな道だったと思います。黒人やアジア人が主役になる映画なんて、本当にここ最近増えてきたので。。。

 

NOPEな道を、OPENに!!!

これが今作のキャッチコピーですかね!!

 

監督、使っていいよwww

 

 

 

 

地上⇄空のカメラワーク多数!IMAXフルサイズ推奨!!

今作はIMAXで観ることをお勧めします!

しかもフルサイズのIMAXで!!

 

観れば分かるのですが、明らかにフルサイズのIMAXで撮られていることを想定した構図になっています。

 

例えば、チンパンジーや馬の顔がドアップになるショットがあるのですが、フルサイズの一番下まで顔が映るんですよね。これビスタサイズのIMAXであれば、顔が見切れてしまうと思うんですよね。

顔が見切れる=正体不明のような意味にも捉えられますので、意味合いが変わってきます。

 

そして何より、今作は地上⇄空を行き来する縦型のカメラワークが多用されます。

なるべく縦のサイズが大きい方が圧倒的に映えます!!

  

 

都内だと限られるし混雑すると思いますので、是非とも川崎がお勧めです!!

 

まとめ

エンタメ性という点ではあまりだったのですが、謎解きがすごく楽しくて個人的には満足でした!!

 

皆さんの考察が聞きたいです!!

 

あ、、、あと、すごいしょーもない小ネタを最後に入れて良いでしょうか?

 

 

キリン一番搾りがハリウッドデビューしたんですよ!!!!

 

皆さんも確認してみてくださいね!!!

 

94点 / 100点 

 

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 以上です! ご覧いただきありがとうございました!
 
 
 
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