- まえがき
- あらすじ
- 「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」のネタバレありの感想と解説(全体)
- 本当にひどいのか?今年ワーストと評される理由とは
- ゴーストランドの正体とは、今作のメッセージとは?
- 爆笑できる点は最も評価したい
- まとめ
まえがき
今回批評する映画はこちら
「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」
前評判は非常に低い。一体、何がどうして低評価なのだろう。
気になって仕方がない。
それでは「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。
あらすじ
・鬼才・園子温監督がニコラス・ケイジを主演に迎えて描いたハリウッドデビュー作。悪名高き銀行強盗ヒーローは、裏社会を牛耳るガバナーのもとを逃げ出した女バーニスを連れ戻すよう命じられる。特殊なボディスーツに身を包んだヒーローは、東洋と西洋が混ざり合った美しくも暴力的な世界「ゴーストランド」にたどり着く。混沌に包まれた町で、定められた時間内にバーニスを探し出すべく奔走するヒーローだったが……。共演に「キングスマン」のソフィア・ブテラ、「悪魔のいけにえ2」のビル・モーズリー、「きみに読む物語」などの監督として知られるニック・カサベテス。日本からは「RE:BORN リボーン」のTAK∴(坂口拓)、「愛なき森で叫べ」の中屋柚香らが参加。
プリズナーズ・オブ・ゴーストランド : 作品情報 - 映画.com
「プリズナーズ・オブ・ゴーストランド」のネタバレありの感想と解説(全体)
#プリズナーズ・オブ・ゴーストランド 鑑賞
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2021年10月8日
喜怒哀楽の感情が浮かんではすぐ消える。
ハードなアクションはなく会話劇がメイン。
マッドマックスからマッドを差し引いた感じ。
園子温という作家性を表すために映画が犠牲になっていく。
爆音で喚く街宣車の主張を劇場で観させられてる感。何だこりゃ。 pic.twitter.com/siq8PoLQSC
本当にひどいのか?今年ワーストと評される理由とは
ゴーストランドの正体とは、今作のメッセージとは?
爆笑できる点は最も評価したい
散々こき下ろしてしまったが、今作が大嫌いかと言えば、そうでもない。
ニコラスケイジがゴーストランドへと旅に出かけてすぐに、車を使わずになぜかママチャリを選択し、必死にペダルを漕ぐ。
ニコラスケイジとママチャリという相性不抜群な組み合わせも面白いのだが、必死に漕ぐあまり、ママチャリにしては妙に速度が早いのだ。。しかも、立ち漕ぎをせずに座って漕いで、妙に早い。絶妙なシュールさを醸し出している。
この妙な速さがギャップとなり、爆笑を生み出す。
「デッド・ドント・ダイ」でアダム・ドライバーが乗るエコカーが素早く駐車するシーンを思い出した。乗り物の見た目と速度のギャップは、コメディ描写では鉄板だ。
映画「デッド・ドント・ダイ」ネタバレあり感想解説と評価 唯一無二の愛ロニカル・ゾンビ・コメディ! / 小ネタも徹底解説! - Machinakaの日記
そのほか、実にしょうもない下半身ネタが炸裂するのも園子温映画の特徴だろう。
ニコラスケイジに付いた爆弾付き拘束具は、実はゴールデンボール×2のあたりにも備えられており、映画中盤で片方の拘束具が爆発してしまう。もちろん片玉は全壊。
そのまま気絶してしまうのだが、抑えた爆発音と一歩引いたカメラワークによって、爆笑の渦に巻き込まれる。
また、ラストの坂口拓との対決でも、剣vs剣の勝負のはずが、なぜか途中から金的攻撃の応酬が挟まれている。
坂口拓の金的攻撃を食らい、ニコラスケイジからついに放たれる「Fxxx!」という言葉で、我々の腹筋は崩壊する。
「TOKYO TRIBE」のラストでも描かれたように、園子温監督は本当に下半身のネタが大好きで大好きで仕方がないようだ。
何度も笑わせてもらった以上、今年ワーストとは言えない。
むしろ、ありがとう。
まとめ
ザ・園子温映画であることは間違いない。主張もよく伝わってくる。
だが、あまりにも映画の完成度として低い、低すぎる。
江戸時代と西部劇が入り混じった世界にも関わらず、なぜかスマホや車そしてママチャリが混在する謎の舞台設定は、それだけで見る者を困惑させる。
万人に勧める映画ではないが、園子温監督が本当に好きな人は見るべきだろう。
園子温監督の真骨頂は、良くも悪くも「自分の主張を喧伝する」こと。
おそらく、いや間違いなく寺山修司に憧れて、彼と同様に東京を舞台にゲリラ活動をする「東京ガガガ」を敢行していたに違いない。
個の力は弱い。普通に言っても主張が通らない。
だからこそ集団の力で、声高らかに、声だけでなく体全体を使って、全身全霊を持って表現するのが彼のスタイルなのだろう。
これは映画というより、映画の皮を被った一種のパフォーマンスだ。
そう考えると、幾分か映画の評価が変わりはしないだろうか?
今年ワーストと言うのは簡単だ。だが、それだけでは表層的とも思える。
この記事が、今作を理解するための補助線となれば幸いだ。
40点 / 100点