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映画「海辺の映画館 キネマの玉手箱」ネタバレあり感想解説と評価 誰よりも映画を「壊し」、誰よりも映画を「愛した」大林監督の遺作

 
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この記事では、「海辺の映画館 キネマの玉手箱」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「海辺の映画館 キネマの玉手箱」

 
 

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(C)2020「海辺の映画館 キネマの玉手箱」製作委員会/PSC

 

今年の4月にお亡くなりになった大林宣彦監督の遺作となった作品となります。

 

反戦をテーマにした映画ということで、個人的に、これまで見てきた大林宣彦作品とは一線を画す内容だと思っています。

 

無声映画のパートとミュージカルの部分もあるということで、、、一体どんな映画になってしまうんでしょうか。本当に自由ですよねぇ、こんなの大林宣彦監督にしかできないんじゃないのか? しかも上映時間が約180分!! 

 

え、どれだけ盛り込んでるの? 2本の映画に分けたほうがいいんじゃないの? 

一本の映画でこれだけのボリュームって、しかも邦画で3時間って、なかなかないですよ。

 

私、ファーストデーで観るため1200円で鑑賞させていただきます。90分の映画を1900円で観るよりも、遥かにオトク感があるような。。ありがとうございます!

 

大林監督作品を映画館で観るのは初めてで、しかも遺作。

是非とも集中して、鑑賞させていただきます!! 3時間、、うん、頑張ろう!!

 

 

それでは「海辺の映画館 キネマの玉手箱」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・名匠・大林宣彦監督が20年ぶりに故郷・尾道で撮影し、無声映画、トーキー、アクション、ミュージカルと様々な映画表現で戦争の歴史をたどったドラマ。尾道の海辺にある映画館「瀬戸内キネマ」が閉館を迎えた。最終日のオールナイト興行「日本の戦争映画大特集」を見ていた3人の若者は、突如として劇場を襲った稲妻の閃光に包まれ、スクリーンの世界にタイムリープする。戊辰戦争、日中戦争、沖縄戦、そして原爆投下前夜の広島にたどり着いた彼らは、そこで出会った移動劇団「桜隊」の人々を救うため、運命を変えるべく奔走するが……。主人公の3人の若者役に「転校生 さよならあなた」の厚木拓郎、「GO」の細山田隆人、「武蔵 むさし」の細田善彦。2019年の東京国際映画祭で上映されたが、劇場公開を前に大林監督は20年4月10日に他界。本作が遺作となった。

eiga.com

 

 

 


大林宣彦監督『海辺の映画館-キネマの玉手箱』予告編

 
 
 
 

「海辺の映画館 キネマの玉手箱」のネタバレありの感想と解説(短評)

 
 

 
 
 
 

 

誰よりも映画を「壊し」、誰よりも映画を「愛した」大林宣彦監督の遺作

 

はい、只今鑑賞を終えたMachinakaです。

 

圧倒的な情報量と熱量。どれを切り取っても長文になる自身があるのですが・・

 

正直、ただただ茫然自失するばかりで、一筆も書けません!!!

 

なんでしょう、久しぶりに映画を喰らった感覚が私の心に押し寄せてきています。

 

巷では「お腹いっぱいになる満漢全席の映画」だとか、「度肝を抜かれる」だとか、どれほどショックが大きいかを伝える口コミで溢れていますが、私も同じ意見です。

 

これは褒めですが・・・

 

無茶苦茶だよ!!!この映画!!!

(褒めてます)

 

大林作品といえば、「転校生」や「時をかける少女」など、アイドルを主演とした商業映画においても、強烈な色彩や非現実感の強い合成画を使いクセのある映像が最大の特徴。

 

今作も多分にもれず、大林監督の作家性が存分に発揮された映画である事は間違いないんです。

 

ただ、一つだけ疑問があるんです。

 

これを映画と言って良いのだろうか? 

 

これが映画であるならば、他の映画は映画なのだろうか?

 

同じ「映画」という括りに、この作品を入れて良いのだろうか? 

とさえ思ってしまう作品でした。

 

後ほど詳しく書きますが、この映画はこれまでの既存映画を徹底的に「破壊」してるんですよ。

 

ナレーションや文字テロップ、加えて役者のセリフといった過剰な説明描写、もはや「違和感」とも言えるほどの合成につぐ合成、支離滅裂にも見える場面転換、頻繁に挿入される回想シーン、、例を挙げたらキリがありませんが、とにかく今作は徹底的に「壊れた」映画であると思っております。

 

普通の映画ならですね、こういう演出があったら「ダメな映画だなぁ」とか、言い方悪いですが「クソ映画」だなんて言われるかもしれません。

 

しかし、一つ一つのシーンに膨大な情報量と熱意がこめられていて、何より映画に対する愛情で溢れていて、映画好きとしては決して無碍に出来ない作品だなぁと思うのです。

 

その証拠かどうか分かりませんが、映画に対する愛情が溢れんばかりの内容に、自然と涙を流している自分がいました。どのような演出であっても、正直違和感のある映像であっても、愛が込められている作品は感情が動いてしまうのです。

 

今作には反戦や半自伝的な内容が合わさっていますが、個人的には「映画愛」の詰まった作品に思えてしょうがないのです。

 

作品に登場する小津安二郎、フランク・キャプラ、ジョン・フォード。そして「無法松の一生」。戦中に被害にあった名作を悼みながら、自分の作品として重ね合わせていく。

 

これほど映画の固有名詞が出ていく作品も珍しいし、劇中にも関わらず、他人である映画監督のフィルモグラフィーを解説するやり方は、本当に観たことがありません。

 

そもそもこの映画、一言で言ってしまえば

 

「単に映画館で映画を観る」だけの映画ですよ?

 

ストーリーは、厚木拓郎、細山田隆人、織田善彦の三人の観客が反戦映画オールナイトを観る、というだけの話なんですよ。

 

主人公は映画観客で、往年の名作についてアレコレ語らう映画愛に溢れた作品というのが、今作の趣旨ではないでしょうか?

 

この一本軸さえ掴めれば、今作で監督が何をしたかったのか、分かると思います。

そして、映画好きであれば、自然と涙を流すはずです。

 

主人公が映画に没入するあまり映画の中に入り冒険を繰り広げ、もはや何が主題なのか分からなくなってしまう映画ではありますが、全て「映画愛」という一本の線に繋がっているような気がするのです。

 

 

 

大林宣彦は映画界のピカソだ!

 

今作はどんな映画にも似ても似つかぬ唯一無二の作品であることは間違いありません。

しかし、この圧倒的な「重ね合わせ」の作風はどこかで観た記憶があって、あれこれ考えて、一つの結論に至りました。

 

 

絵画に例えると、大林監督の作品は「ピカソ」の絵を観たような感覚に近いかもしれません。

 

すごく下手に描いてるように見えて、実は非常に工夫をこらし計算された作品であることが、観たすぐには分からなくても後でジワジワ伝わってくるというか。

 

多角的な視点、膨大な情報量を一つの作品(映画)にまとめる手法は、まるでピカソがやったキュビズムのような気がしてならないのです。

 

「反戦」という一貫したテーマがありながらも、監督の出身地である尾道を舞台にした半自伝的なストーリーも入り混じり、一つの映画にしては詰め込み過ぎな内容に思える作風も、キュビズム的な手法であると思うと少し納得出来るのではないでしょうか?

 

そう考えると、非常に違和感のある合成画も、派手な色使いも、とにかく「重ね合わせ」を多用する演出は、どこかキュビズムを感じさせるものがあります。

 

冒頭、オープニングクレジットで「映像純文学への試み」という文章が書いてある通り、今作は非常に実験的であり、どこかアートを感じさせるのは間違いありません。

 

 

 

 

時代横断的な「反戦」描写

あと驚いたのは今作が描いた「反戦」の時代横断的なこと。

 

映画を観る前は、大林宣彦監督の幼少期を踏まえて、第二次世界大戦のことを中心に描くのかなぁと思っていたのですが、今作ではなんと室町時代(宮本武蔵)、幕末(坂本龍馬)、第二次世界大戦といったように、一時代にこだわらずに「反戦」を描いたところが素晴らしい。。

というか、よくやったなぁ。。。と、今思い出しても「夢」かと思うような情報量でした笑

 

非常に長いスケールで、戦争描写の数々を見せてくれたんですよね。

 

終着点はやはり第二次世界大戦で、大林宣彦監督の出身である尾道、そして尾道に近い広島の原爆投下に話は向かっていくのですが、そこに至るまでの戦争描写がまぁ〜〜〜〜長い!!!

 

そもそも第二次世界大戦はなぜ起こったのか? なぜ日本が戦争の道に進んでしまったのか? を、戊辰戦争も交えて紹介する映画って、、他にありますかね?

 

戊辰戦争の後、長州藩によって新たな日本政府が生まれ、彼らがロシア、中国に戦争を仕掛けていく様子を緻密に緻密に描いていくことで、日本戦争史も伝えようとする監督の意欲的な試みに、ただただ呆然とするばかりでした。

 

ただ、単に真面目な歴史解説かと思うとそうでもなくて。

 

今作は非常に豪華なキャストが集結してるんですけど、坂本龍馬役をなんと武田鉄矢が演じているんですよねww

 

すいません、思わず「w」を使ってしまいましたけども、他の配役と比べても非常に浮いて見えて仕方ないんですよww

 

自信満々に演じている武田鉄矢ですけど、どう考えても坂本龍馬のスラッとした姿形にはどうしても似つかわしくなくてw

 

あと、幕末の時代なのに、武田鉄矢の坂本龍馬がペロペロキャンディーを舐めているんですよね!! しかも「ペロペロ」というセリフ付きでww

 

反戦映画にも関わらず、こういった面白要素を加えるあたり、このバランス感覚、、大林宣彦監督は、一体何者なんでしょうかね笑

 

劇中で一番笑ったシーンでございました笑

 

 

 

 

 

今作を観て思い出した作品

 

瀬戸内シネマのスクリーンが燃えるところと、映画の力で歴史を変えようとした作風に「イングロリアス・バスターズ」を思い出してしまいました。

 

イングロリアス・バスターズ(字幕版)

イングロリアス・バスターズ(字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

広島を舞台に、原爆投下へのカウントダウンが流れながら物語が進んでいく描写は「この世界の片隅に」のようでした。

 

www.machinaka-movie-review.com

 

 

劇中で映画用語が飛び交い、映画愛に溢れた作品なのは「パプリカ」と通じるものが会ったし

 

パプリカ

パプリカ

  • 発売日: 2015/09/15
  • メディア: Prime Video
 

 

 

長州藩が日本全体を巻き込む戦争にどのような影響を与えたかを説明する描写を見て、「二百三高地」を思い出しました。

 

二百三高地

二百三高地

  • 発売日: 2015/08/01
  • メディア: Prime Video
 

 

 

 

まとめ

 

この記事のために約5000文字を書きましたけれども、これでもまだ今作の数%程度しか説明出来てないと感じております。

 

それくらい膨大な情報量と映画愛に溢れた作品で、どれだけ言葉を連ねても足りないほど。100回観ても、全てを理解することは難しいと思えるほどです。

 

これまで「転校生」や「時をかける少女」しか観てこなかった私。これだけでも十分「大林監督って癖があるなぁ」と思っていたのですが、今作は他の大林監督作品とも一線を画す内容でございました。

 

これが監督の遺作となってしまったわけですが、これから過去をさかのぼって大林監督作品を観たいと、心から思える作品でございました。

 

心からお悔やみ申し上げます。映画愛に溢れた作品を、ありがとうございました。

 

 

80点 / 100点 

 
関連画像

 

 

 
 
 以上です! ご覧いただきありがとうございました!
 
 
 

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