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映画「WAVES ウェイブス」ネタバレあり感想解説と評価 鮮やかな青と赤とは対照的な物語。単にオシャレで片付けられない映画。

 
こんにちは! 
 
Machinakaです!! 
 
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この記事では、「WAVES ウェイブス」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「WAVES ウェイブス」

 
 

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(C)2019 A24 Distribution, LLC. All rights reserved.
 
はい、もうこの一枚絵で泣けてきそうです。
 
現実には絶対にありえないピンクの空、極端にかつ局所的にピンクを反射する海。そして中央には男女が今にもキスしそうな。。
 
「青春」というタイトルで美術館に飾れば、絵画としても十分に成り立ちそうなクオリティですよね。
 
最近、意図的に色をコントロールして美しい画を作ろうとする動きが多いような気がするんですけど、今作も非常に鮮やかなカラーが目立ちます。
 
かぁ、、もうこの画だけでいいですね。プラス本編も見せてくれるなんて、、 ありがたいことですねぇ笑

 

それでは「WAVES ウェイブス」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・「イット・カムズ・アット・ナイト」のトレイ・エドワード・シュルツが監督・脚本を手がけた青春ドラマ。ある夜を境に幸せな日常を失った兄妹の姿を通し、青春の挫折、恋愛、親子問題、家族の絆といった普遍的なテーマを描く。フロリダで暮らす高校生タイラーは、成績優秀でレスリング部のスター選手、さらに美しい恋人もいる。厳格な父との間に距離を感じながらも、何不自由のない毎日を送っていた。しかし肩の負傷により大切な試合への出場を禁じられ、そこへ追い打ちをかけるように恋人の妊娠が判明。人生の歯車が狂い始めた彼は自分を見失い、やがて決定的な悲劇が起こる。1年後、心を閉ざした妹エミリーの前に、すべての事情を知りながらも彼女に好意を寄せるルークが現れる。主人公タイラーを「イット・カムズ・アット・ナイト」のケルビン・ハリソン・Jr.、ルークを「マンチェスター・バイ・ザ・シー」のルーカス・ヘッジズがそれぞれ演じる。

eiga.com


 

 
 
 
 
 

「WAVES ウェイブス」のネタバレありの感想と解説(全体)

 
Twitterの短評から!
 

 

 

 

 

まず眼を見張るのは

 
 
 

単に「オシャレ」で片付けていい映画なのか?

 

はい、鮮やかな色とオシャレな音楽、目まぐるしく動くカメラワーク、音楽が流れている時には省略されるセリフ。

 

まるでミュージックビデオのような印象さえ感じる、極めてアーティスティックな作風。

 

誰しも感じたことでしょう、面食らいますよね、これ笑

 

Twitterの短評ではあたかも褒めてるように書きましたが、まだ一言も面白いと言ってませんからね、私。

 

まずは簡単なあらすじを。

 

序盤は恋に部活に忙しい主人公タイを、オシャレな音楽や色使いで彩っていく作りになっていくものの、次第に主人公の人生は悪化の一途をたどっていく。

 

しかし、色・音楽の使い方はそのままで、鮮やかでオシャレな雰囲気が続く。主人公の転落人生とは裏腹に。はい、まぁなんてアンビバレントな映画なんでしょうか。。

 

そして、タイはとある一線を越えた行動をしてしまい、刑務所に入ってしまう。

あー、これでタイの刑務所生活が始まっていくのかぁ。と思いきや、タイはこれでお役御免。タイの妹を主人公として第2章が始まっていくんですねぇ。。

 

正直言って、この展開で「はぁ、何これ?」と思う人もいるかもしれません。無論、私もそうでした笑

 

でも結局はタイの人生と繋がるんでしょ?主人公はタイだから、最後はタイがメインに映るんでしょ? と思ったら、決してタイが返り咲くことなく、妹をメインに移したまま映画が終わっていく。。。

 

なんじゃい、これ!!!!

 

かなり飲み込みづらいですよね?

 

一応物語の骨子は「生と死の循環」という普遍的なテーマになっていると思います。

 

タイのアマレスとしての選手生命が絶たれ、これをキッカケに彼女との関係が悪化。妊娠していた彼女を暴行して腹の中の子供も同時に死なせてしまう。

そして物語は第二部へ。妹に彼氏が出来て、愛し合ってまた新たな生命が授かりそうな予感さえする。

ラストは妹が自転車に乗り太陽を浴びて終わる。人生に希望を見出した瞬間でもある。

 

まとめてみると分かったんですが、物語がかなり抽象的で、ソフトストーリーな印象が拭えません。

 

作品のテーマは匂わせつつも、キャラに感情移入させないような作りになっておらず、キャラ萌えができない。

 

キャラに酔うのではなく、テーマに酔えと。そして音楽と色に酔えという、作りて達の声が聞こえてきそうな気がします。

 

巷では、インスタ映えムービーとか色々言われてますが、言いたいことはよくわかります。これ、わけわからなくて当然ですよね。

 

もちろん、パッと見オシャレですよ? 

最先端のデザインや音楽を取り入れて凄くファッショナブルですよ?

 

でも、単にオシャレで片付けていいんですかね?この映画。

 

おかしいですよね。単にミュージックビデオ風に撮ってみましたー的な映画だったら、ここまで物語を悲壮的に描くのでしょうか?

単にオシャレな映画を作りたいなら、もっと楽な話にしませんか?

 

オシャレの向こう側に、作り手の意思があるんじゃないですか?

 

ということで、今作で何を目指そうとしたのか? 何をやりたかったのか? を考察したいと思います。

 

 

 

この曲から全てが始まったのか?

 

非常に気になったのはエンドロール後に流れるこの曲。

 

劇中ではカニエ・ウェストといったギャングスタラップが流れる中、最後の最後でこの曲を流す。

 

Sound & Color

Sound & Color

  • Alabama Shakes
  • オルタナティブ
  • ¥255
  • provided courtesy of iTunes

 

ヴォーカルは付いているものの、トラックは非常にアンビエントな空気が漂っており、まさに「オシャレ」と呼ぶにふさわしい曲だと思うのですが。。

 

ここで注目いただきたいのは、タイトルの「Sound&Color」

 

 


Alabama Shakes - Sound & Color (Official Video)

 

 

直訳すると音楽と色。普通の曲のタイトルには愛とか夢とか人の感情が詰まったものになるのに、すごく抽象的なタイトルと言うか。

 

この音楽と色を抽出した歌が、今作に大きな影響を与えてると思うのです。

 

だって、この映画を見た時に何が一番印象に残るって、、音楽と色でしょ?

 

物語があまりないんですよ、この映画。人の感情はあまり介入しないで、セリフも少なくて、音楽と色で伝えようとしているのが今作の特徴なはず。

 

ちなみに、この曲がリリースされたのは2015年。企画から映画の完成まで4〜5年。。もしかしてこの曲が今作の誕生に端を発したのかなぁと、考えてしまうのです。

 

この仮説を元にすると、今作は音楽と色で構成されていると思うんですよね。

 

 

  

 

色めがね映画評論:「鮮やかな青と赤とは対照的な物語はニューシネマの表れか?」

 

はい、音楽の考察は上にあげたので、次は色の考察を。

 

Twitterでも書きましたが、今作の色使いや物語から察するに、ニューシネマを目指したのではないかと強く感じております。

 

 

青と赤って色んな映画で用いられて、主に対比や対立構造を描く時に使われるんですけど、今作の物語展開を味わって、ニューシネマ的な匂いがしてきたのです。

 

もともとはヌーベルバーグを代表するゴダールの「気狂いピエロ」で、青と赤に染まった主人公が反抗と逃避の世界に入っていく話でした。

 

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  • メディア: Blu-ray
 

 

 あと、ニュー・ジャーマン・シネマというドイツ映画の新たな風潮を切り開いたヴィム・ヴェンダース監督の「パリ、テキサス」も、青々とした美しい空と赤い帽子が目立つ主人公が際立つ映画でありました。

 

パリ、テキサス デジタルニューマスター版 [DVD]
 

 

ニューシネマは、鮮やかな青と赤が使われるのに物語は暗い方向に入っていくのが特徴だと思っていて。

 

今作も鮮やかな青と赤が特徴にも関わらず、主人公タイが彼女を殺してしまうという、本当に陰鬱な展開があるのがニューシネマ的な印象を感じたのです。

映画に詳しい方、ツッコミどころはあると思いますが、どうかご容赦ください笑

 

同じ青と赤、フロリダが舞台、悲しい話といえば「フロリダ・プロジェクト」が似てるんですけども、少し違うんですよ。今作ってマイアミにいるのにほとんど太陽が出てこないんですよ。だからちょっと違うかなぁと。。

 

www.machinaka-movie-review.com

 

 

 

 

色めがね映画評論:「波のようで波でない、極端な配色と演出が際立つ」

 

配色で印象的だった青と赤、そしてタイトルの「WAVES=波」と絡めた考察をしたいと思います。

 

タイトルは「波」ってなってるんですけど、皆さん、違和感ありませんでした?

 

この映画、、全然波っぽくなかったですよね?

 

はい、意味が分かりませんね笑 

 

これに関して、Twitterでまとめたのでコチラをご覧ください。そして、今波に乗りまくっている、映画ブロガー界の波乗り男であるモンキーさんのコメントもご覧ください。

 

 

そもそもですね、青と赤の配色って極端なんですよ。これ、波長の性質的にも極端なんです。

光の中で、さらに可視光線に絞って波長を見てみると、青と赤ってのはかなり距離があるんです。

 

で、あまり気づかなかったと思うんですが、青と赤の間の色である緑や黄色が今作ではほとんど使われていないんですよね。緑色が使われたシーンって、ほとんどなかったんじゃないかなぁ?

 

青と赤の波長的な極端さに加えて、間を抜くことで極端さが際立つんですよ。

 

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波長の画像:http://www.my-craft.jp/html/aboutled/led_hachou.html

映画の画像:https://twitter.com/oneperfectshot/status/1224225251095085057

 

 

波ってのは必ず波長を持っていて、一定のリズムで同じ振幅を繰り返すのです。山があり谷がありながらも、途中でぶつ切りになっておらず、山と谷をつなぐ部分は確実に存在する。

 

これが波の性質で、普遍的な原理です。

 

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http://galaxy.cc.osaka-kyoiku.ac.jp/mano/gas/denri/ramuda.htm

 

この波の性質を今作と重ね合わせると、今作は「山」と「谷」の部分しかなくて、間を抜くんですよ。

 

いわゆる「山」の部分っていうのは序盤のイケイケな高校生タイのスタイリッシュでオシャレな生活のパートで。

一方「谷」の部分っていうのはタイが彼女を殺してしまうシーンだったり、夫婦喧嘩してるシーンだったり、すごく陰鬱なパートで。

 

山と谷しか見せずに、間のシーンを見せないことで極端に感じるんですよね。

 

まとめると、

 

・青と赤という波長的に距離のある色のみを抽出して、間を抜くことで極端な印象を与える

・波の性質と今作を重ね合わせると、山と谷のみを抽出したような展開で、間のドラマを見せないことで極端な印象を与える

 

ことになり、タイトルに「波」と付けていながらも、波の性質に反した映画作りをしているんですよ。

 

 

こうした反骨心があるあたりも、凄くニューシネマ的だったりするんだよなぁ。。

 

あまり文章がまとまっていないんですが、色とタイトルから今作がやろうとしたことを物語ってみました!

 

 

 

 

まとめ

考察していくとなんだかんだ楽しかったんですが、映画を観ている時はあまりアガらなかった自分がいて。

 

凄く実験的で新しい試みをしていると思うし、そこは評価したい。

 

でも、映画館にいる時にトキめかなかったのは自分の正直な感想だと思うんです。

 

まぁ、、10年後くらいには楽しめる映画なのかもしれませんね笑

 

79点 / 100点 

 
関連画像
 
 
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