こんばんは! Machinakaです。
今回批評するのはコチラ
「アーロと少年 / The good dainosaur 」
https://livedoor.blogimg.jp/beyond_cinema/imgs/6/9/6974815b.png
はい、2016年度アカデミー賞を取った「インサイドヘッド」のピクサーの最新作でございます。
www.machinaka-movie-review.com
1.あらすじ
巨大隕石の墜落による恐竜絶滅が起こらなかったらという仮説に基づき、恐竜が地上で唯一言葉を話す種族として存在している世界を舞台に、弱虫の恐竜アーロが、孤独な人間の少年スポットとの冒険を通して成長していく姿を描いたピクサー・アニメーション。兄や姉に比べて体も小さく、甘えん坊の末っ子アーロは、何をするにも父親がいてくれないと始まらない。そんなある日、アーロは川に落ちて激流に飲み込まれ、家族から遠く離れた見知らぬ土地へと流されてしまう。ひとりぼっちの寂しさと不安にさいなまれるアーロは、そこで自分と同じ孤独な少年スポットと出会い、一緒にアーロの故郷を目指す冒険に出る。
映画.com https://eiga.com/movie/77788/
youtubeの予告編もどうぞ!
2. 監督
監督はピーター・ソーンさん
https://img.cinematoday.jp/a/N0067479/_size_240x/_v_1414019700/main.jpg
ファインディング・ニモ(2003)、Mr.インクレディブル(2004)の脚本を手掛け、古くからピクサーのストーリーテリングを支えてきた人です。
ちなみに、両親は韓国人の移民とのこと。
3.王道のストーリー
今回のストーリーって、本当に王道のストーリーだと思います。
父親を亡くした子供が、旅に出てたくましくなる。
いわゆるロードムービーの大定番です。今回はスポットと名付けられた人間の友達と一緒に、旅をします。
https://i.ytimg.com/vi/QjHLWof9ENo/maxresdefault.jpg
色んなハプニングに遭いながらも、親友と乗り越えていくところは、一種のバディ・ムービーとも言えます。
ロードムービーであり、バディ・ムービーでもある。ピクサーでも似たような映画はいっぱいありますよね。
バディといえば、「トイ・ストーリー」でのウッディとバズ
https://sdl-stickershop.line.naver.jp/products/0/0/5/1126/LINEStorePC/main.png?__=20150924
「ファインディング・ニモ」のニモとドリー
https://img.cinematoday.jp/res/T0/00/16/v1063826785/T0001683.jpg
「モンスターズ・インク」のマイクとサリー
https://pbs.twimg.com/profile_images/442609731299844096/HKNtpUt-.png
「Wall-E」のウォーリーとイブ
https://bariq.jp/wp-content/uploads/2015/03/DI-Walle-1-DI-to-L10.jpg
実はピクサーって、バディ・ムービーが多いんですよね。DVDのパッケージ見るとよく分かるんですけど。
キャラクターを立たせるために、見た目も性格も正反対のキャラを配置しているのも特徴ですよね。そうすることにより、キャラクターとストーリーにコントラストが生まれる。上手い映画の作り方だと思います。
つまり、ピクサー的にはバディ・ムービーは王道の物語なのです。
4. 衝撃的な映像美
今回映画の舞台となったのは、アメリカのグランド・ティトン国立公園です。
https://i.huffpost.com/gen/2741264/images/n-GRAND-TETON-NATIONAL-PARK-628x314.jpg
パンフレットに書いてあったのですが、なんとCGモデリングチームが現地調査に赴き、実際に川下りもしたそうです。アニメなのにここまでしますか!? とても驚いた情報でした。
そりゃあこれだけ詳細な自然が描けるわけですわ。
そして最も驚いたのが水と緑の表現。
https://i1.wp.com/bitcast-a-sm.bitgravity.com/slashfilm/wp/wp-content/images/ZZ24B28F10.jpg
もうこれ、実写って言っていいよね?笑
葉っぱが水に濡れている感じ、川の激流に飲まれている様子など、とてもアニメとは思えない質感。
こればっかりは感動させられました。映画を見に来ていたお子様たちは、このリアリティの追求に気づいたかな?
おじさんは興奮しっぱなしでしたよ。
またピクサーがアニメの歴史を塗り替えてしまったぞ、と。
監督のピーター・ソーンさんは元々この国立公園がお気に入りだったみたいで、徹底して調査をしたそうです。
また、私が個人的にすごいと思ったのが、地形の表現について。
これは、日本ではおそらく私しか話してないと思うのですが、、、
地形の表現については、プロの研究者が使うような詳細な地形データを使用しています!!!!
実は私、研究業務の関係で地形図を作ることもあるのですが、、私がお世話になっているアメリカの地形データを使っていることが判明しました!
今回ピクサーが使用したのは、アメリカの地質調査所ーUSGSという政府の研究所が提供している地形データを使用しています。日本でいう国土地理院のようなものですね。
例えば以下の画像が、USGSから引っ張ってこれるデータと思ってください。
https://www.gelib.com/wp-content/uploads/2011/topographic-map-bundles2a.jpg
地形データと言っても色々あるのですが、簡単に言えば地形に関する画像です。画像って普通は一画素ごとにRGB情報が入っていて、色の情報が入っているのがデジタル画像だと思います。
標高の画像では、一画素ごとに標高(メートルとかで)の情報が入ってるんですね。その情報を使って、3Dモデルで立ち上げたと。
もちろんエフェクトは入れてるんでしょうけど、ベースに使った地形データが、私みたいな研究者が使っているデータと同じものを使っているとは。。。
ピクサーって、アニメの域を超えてるなぁとつくづく感じる次第です。
ちなみに、私が作った標高の画像はこちらにあるのでよかったら是非
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5.映画の感想は、、、
今まで褒めきましたけど、、、これが「映画」として面白かったかどうか、、、
ハッキリ言って、、、、
つまらなかったです。
具体的に言えば、ストーリーが、ですけど。
一番ダメだったのが、脚本。
脚本だけで数十人が関わると言われている、ピクサーの磨きに磨かれた脚本にケチつけるのも何なんですが、、、主な理由は以下の通り。
・王道のストーリーを書きすぎてストーリーに新鮮味がなかった
・バディ・ムービーにしている割には、二人のキャラが立っていなかった
・ギャグがつまらない
・「泣くシーンですよー」と感動的なBGMを掛けてきて、萎えてしまう。
もちろんストーリーはツッコミどころがないんですよ、今まで大ヒットした映画のプロットラインだから。けど、ツッコミどころがないがゆえに、新鮮味がない。もっと言えば、可愛げのないストーリーなんですよ、本当に。
「子供が成長する話ってみんな感動するよね?」
「父親を亡くして、友達と一緒に旅をさせれば感動するでしょ」
と、マーケティングが先行してストーリーを作ったような気がしちゃうんですよ。
そして、キャラクターが全く立っていない。恐竜のアーロは置いといて、人間のスポットくんがダメダメ。。。
喋れないのはしょうがないですよ、恐竜が生きていた時代ってまだ言語なんてなかったし、ヒエログリフなんてまだまだの時代ですしね。
せっかく「人間」を使っているのに、人間と恐竜のギャップみたいなものも描かずに、淡々と話を進めていました。つまり、この映画では「アーロと少年」じゃなくてもいいわけです。原作では「The good dainosaur」とあるように、人間を表すタイトルは含まれていないですしね。
しかし、映画を見ているのは恐竜じゃなくて人間なわけです。唯一の人間のキャラを立たせてくれないと、感情移入できないんですよ。。
あと、極めつけはギャグがことごとくつまらない。。。 日本語吹き替え版だからでしょうかね? 本当につまらないギャグの連発で、苦痛でした。私は無理して笑ってましたけど、他の観客は笑ってなかったですね。
5.日本はこの映画を見限った?
ピクサー・ディズニー作品は、日本でも公開時期が他国と比べても早いことで有名です。作品によってズレはあるものの、概ねピクサーの作品は、アメリカ公開から1ヶ月ほどで日本に上陸します。
この間に、吹き替え作業やイベントをやるわけですね。
しかし、この映画は毎回の傾向と比べて、段違いに公開時期が遅い!
なんと、世界で一番公開時期が遅いのです!!
アメリカが11月25日なのに対して、日本が3月12日ですよ。
こちらはimdbのサイトの情報で、上映日を上から下に並べたものから公開日が遅い国をまとめた写真ですけど、日本が一番下に来てるのがわかります。
これだけ遅い公開なんだから、さぞかしイベントも盛大にやったんだろうなぁと思ったのですが、テレビとかネットニュースで大きく取り上げられたこと、あります?? この映画自体知らない人がいっぱいいると思います。私の感覚なんですけど、マネーショートの方がよっぽどテレビCM入れてましたよね。
そして、ピクサーらしからぬ声優の抜擢。
プロの声優は多く使っているものの、なんたって主人公アーロの声優が、石川樹くんなのです。
・・・誰?笑
2003年の現在12歳ですけど、すみません。私存じ上げなかったです。
テレビドラマにはちょいちょい出てるのかな。
この石川くんの演技がねー、酷かったなぁ。
いや、12歳にしては上手いと思うんですよ。上手い。
でも、ピクサーの主役を張る声優ってことを考えると、まだ力不足だったんじゃないのかと、思ってしまうんですよ。
声を聴き比べてください。きっと違いがわかるはずです。
まぁ、ピクサーといえば、「トイストーリーでの大事件」もありましたし、芸能事務所からのプッシュもあるんでしょう。と思いきや「モンスターズ・インク」での田中裕二&石塚英彦の大発明もあったわけで、大ハズレと大当たりがあるピクサーの声優起用なわけですが、、今回は大外れでしたね。
以上です!
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