Machinakaの日記

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映画「アメリカン・アニマルズ」ネタバレあり感想解説と評価 なぜスペンサーは本を盗み、鳥を描くのか?/芸術は良心と両親に向かえ!

 
こんにちは! 
 
Machinakaです!! 
 
この記事では、「アメリカン・アニマルズ」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 
 目次
 

はじめに

 
こんにちは! 
 
Machinakaです!! 
 
Twitterもやってます!
 
 

 

今回公開する映画はこちら!

 

「アメリカン・アニマルズ」

 
 

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(C)AI Film LLC/Channel Four Television Corporation/American Animal Pictures Limited 2018
 
 
 
正直、あまり知名度のないこの映画。
 
 
都内で上映館を調べてみると、新宿では武蔵野館、有楽町では角川シネマ有楽町、渋谷だとヒューマントラストシネマ渋谷。。。
 
 
映画館のメッカである新宿・有楽町・渋谷でこの公開規模、大丈夫か?
 
最近はメジャーな映画ばかり批評してきたので、いわゆるミニシアターみたいな今作を見るのは久しぶりです。
 
4人の男がスーツを着込んで、まるでレザボアドッグスのような出で立ちで歩いてるような様子を見るだけで、ワクワクしてしまいます。
 
 
 
 

それでは「アメリカン・アニマルズ」、感想・解説、ネタバレありでいってみよー!!!!  

 

 

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・2004年に4人の大学生が時価1200万ドル(約12億円相当)のビンテージ本強奪を狙った窃盗事件を映画化。ケンタッキー州で退屈な大学生活を送るウォーレンとスペンサーは、くだらない日常に風穴を開け、特別な人間になりたいと焦がれていた。ある日、2人は大学図書館に保管されている時価1200万ドルを超える画集を盗み出す計画を思いつく。2人の友人で、FBIを目指す秀才エリック、すでに実業家として成功を収めていたチャズに声をかけ、4人は「レザボア・ドッグス」などの犯罪映画を参考に作戦を練る。作戦決行日、特殊メイクで老人の姿に変装した4人は図書館へと足を踏み入れ……。エバン・ピーターズ、バリー・コーガン、ブレイク・ジェナー、ジャレッド・アブラハムソンの4人が犯人の大学生役で出演。監督は、ドキュメンタリー映画「The Imposter」で英国アカデミー賞最優秀デビュー賞を受賞したバート・レイトン。

eiga.com



 


犯罪映画を参考に作戦を練った大学生、まさかの実話/映画『アメリカン・アニマルズ』予告編

 
 
 
 
 

 

 

前評判が非常に高い映画

 
普通ならミニシアター系の作品ってなかなか見ないんですけども、今作は前評判が非常に高いため興味をそそられました。
 
僕の映画情報の半分は、ラジオ番組で占められてます。
 
いつも聞いている番組「アフターシックスジャンクション」にて今作が取り上げられてました。
 

togetter.com

 

ゲスト出演したのは映画監督・スクリプトドクターの三宅隆太さん、そして僕より10000倍有名かつ実力の持ち主の映画ブロガー三角絞めさん。

 

ameblo.jp

 
この二人が太鼓判を押したのが今作「アメリカン・アニマルズ」なのです。
 
番組宛に配給会社から依頼があり、よかったら見てください、と言われて鑑賞した三角締めさんと三宅隆太監督。
 
最初は過度な期待なく鑑賞した二人でしたが、鑑賞後にはテンションが最高潮。
三宅隆太監督に至っては、「暫定今年ベスト」と言わしめるほどでした。
 
僕の尊敬する二人が、ここまで評価している映画も珍しい。
 
今作は一見すると「学生の茶目っ気たっぷりな青春冒険モノ」のように思えるのですが、お二人揃って「きちんと人間を描けている」という触れ込みが。
 
そして、主人公たちが犯罪に至る動機については、芸術学校という特殊な環境において、「自分は普通の人と同じなのか?そんな状態で自分が芸術を全うすることができるのか」という葛藤に悩む主人公を設定することで、単なるケイパーものとは一線を画す内容だったともお話しされてました。
 
このお話を聞いて、真っ先に思い浮かんだのは「シングストリート」というアイルランドの映画。

 

www.machinaka-movie-review.com

 

主人公がクソダメの不良学校の中で、なんとか己を表現するためにロックバンドを結成。音楽を通して少年たちの成長、恋愛、大人への一歩を踏み出していく傑作音楽物語でした。

 

アメリカン・アニマルズのように犯罪を犯すことはないですが、「若者が自身の現状にコンプレックスを感じ、表現を通して自己成長を確立させていく」という点では同じなのかなぁと。

 

つまりですね、これは私の大好物です笑

 

もう見るっきゃないぜ!!!!!

 
 
 
それでは映画の感想でっす!!!
 
 
 
 
*WARNING!
 
ここからは作品に関わる重大なネタバレが含まれます。
 
今作の特性上、初鑑賞を控えている方は絶対にネタバレは見ないようにお願いします。
 
 
 
 
 
 

映画の感想

間違いなく、今年を代表する一本!!! 
 
今まで見たことのない、ドキュメンタリーと劇映画の見事な融合に、新たな映画の可能性を感じた!! 
 
芸術家としての自己の資質に悩む少年が一線を「飛び越えた」驚異の実話エンターテイメントに、「芸術とは何か」について徹底的に考えさせられた作品でございました!!!  
 
本当に本当に、映画の力を感じた!!!
 
スペンサーがなぜ芸術家になれたのか? 
なぜ鳥を描き続けるのか?
 
解説します!!

 

 

 

 

改めて映画の力を感じた

 

映画の感想をいう前に、非常にプライベートな話から入ってよろしいでしょうか?

  

今作を鑑賞するにあたって、私の体調は最低を極めておりました。

 

完全なる私情ではありますが、鑑賞前日から一泊二日の旅行に行っておりまして、どんちゃん騒ぎをしたせいで前日はほぼノー睡眠 。帰路についたのもつかのま映画館に直行し、鑑賞したのは午後22時のレイトショー。。

 

映画を見て物書きをする人間としては、最低の体調だったわけです。

これまで「体調」という曖昧な言葉を使いましたが、白状しますよ。

 

 

眠かったんです。

 

 

そんな体調もあって、せっかく「アフター6ジャンクション」で予習した「実話モノ」という前情報が完全に欠落してしまい、「ピカピカの大学1年生たちが高い本盗むケイパーもの」としての認識のみで鑑賞に臨んでしまったのです。

 

最低、俺。

 

もう、「ギルティー」の二の舞になるのかと思ってました。

*下記の記事は読まなくていいです。

 

www.machinaka-movie-review.com

 

 

・・・そんな状態で鑑賞したわけですが、中盤で奇跡が起こりました。

 

今まで眠かった状態だった俺が、オーディポンの「アメリカの鳥類」を盗むために展示場に乗り込むシーンにおいて、主人公たちが一線を超えてしまう場面で完全に目が冴え、最後まで興奮状態で鑑賞することができました。

 

ちなみに私、コーヒーなどカフェインの入ってる飲み物を飲んだわけでもありません。

展示場の潜入シーンがあまりにも面白く、ワクワクできたおかげで、脳内麻薬がドバドバ出て完全に覚醒状態に入れたんですよね。

 

疲れてて眠い状態から、いきなり最高潮のテンションまで自分を変えてくれたんです。

 

改めて映画の力を再確認するとともに、新作映画を映画館で見る理由、面白さを実感できた作品です。

 

最低に最低な状態で鑑賞したわけですが、結果的には最高に映画を楽しめたんです。

 

いやぁ、本当に良い出会いしたなぁ。。

 

 

実話と劇映画が入り混じる、新感覚の映像体験!!!

 

今作を語るにおいて欠かせないのが、「実話である」という点。

 

実話モノのお決まりパターンとして、冒頭に「Based on a true story」=「今作は実話に基づく」というメッセージが流れるんですけども、今作は「Based」を除外し「true story」のみが強調されています。

 

つまり「今作は真実の物語である」というメッセージを我々に投げかけるんですよね。もう冒頭から、衝撃を受けますよ。なんだこのメッセージって、こんなの見たことないぞって。

 

その後はしばらく俳優さんによる「実話の劇映画化」シーンが続くんですけど、途中で「実際に本を強奪した本人たち」のインタビューが始まるんですよね。

 

実話モノで関係者が出てくるのって、普通最後の最後じゃないですか?

だって、そうしないと劇映画とドキュメンタリー的要素とのバランスが完全に崩れてしまいますよね? 

 

でも、今作ではインタビューと劇映画を交互に流しながら物語が進んでいくという、個人的には全く新しい体験でした。

 

 

 

強奪シーンはある意味ど迫力!

監督はドキュメンタリー出身ということもあって、撮り方が劇映画っぽくないんですよね。ドキュメンタリーの撮り方でプロの俳優の演技を見ているような感じなんです。

 

主人公たちが展示場に入り本を強奪するシーンではカメラがブレまくり俳優たちのテンパり具合もリアルで、もはやフィクションとノンフィクションの境が分からなくなるんですよね。

 

もちろん強盗は未経験の彼らですから、想定外の事態にアタフタ。

とにかく「Fxxx!」を連発する俳優たち。あまりものFxxxの多用に、思わず笑ってしまいました笑

 

映画だとケイパーものって、基本的には綿密に練った作戦が成功するじゃないですか?

そうじゃないと、これまで準備・計画したものが台無しになっちゃうから。

 

ミッションインポッシブルしかり、オーシャンズ11シリーズしかり、ケイパーものはミッションを達成してこそカタルシスがある。

 

ただ今作はその逆をいく作劇になっていて、モロに「レザボアドッグス」を参照して「ならず者たちが『自分なりに』頑張って準備した作戦が全て失敗し、最悪の展開を招く」ことがカタルシスになってるんですよ。

ミッションが成功しない代わりに、グダグダなならず者たちのヘナチョコポッシブルを堪能できるんです。

もうここまでダメダメなら、可愛くなっちゃうよねw あいつら、いいよ!可愛いよw

 

あとは音響の大小が本当に素晴らしくて。映画はテレビに比べて音響の大小差が激しいんですけど、今作では本を見張っているおばちゃん(BJさん)に攻撃を加える時の打撃音が爆発音レベルで大きく設定されていて、ホラー映画じゃないのに心臓がドキッとしたんですよね。完全に不意をつかれた感じです。

 

 

なぜスペンサーは本を盗んだのか?鳥を描き続けるのか?

なぜ本を盗んだのか?

さて、ここからは解説に移ります。

 

スペンサーが大学入学後、なぜ本を盗もうと思ったのか?

ウォーレンの悪ノリが過ぎたってのが直接の正解かもしれませんが、ただこれだけじゃ説明がつかないシーンがたくさんあるんです。

 

まず冒頭のシーンですよね。スペンサーが変装するために大人にメイクするシーンが流れ、随所にオーデュポンの「アメリカの鳥類」に描かれている鳥のイラストが散りばめられている。

 

これは、明らかにスペンサーと「アメリカの鳥類」=鳥が関係付けられているシーンです。

 

スペンサーがメイクで変化した結果は、大人の姿でした。

しかし、鳥のイラストが移ることによって、スペンサーが「鳥になりたい」という成長願望があるかのように見えるんですよね。

 

このシーンだけで、スペンサーが将来芸術家として「羽ばたく」ために、鳥を取り入れる必要があった、というメタファーになってるのではないでしょうか?

 

さらに、鳥のイラストはなぜか鳥が鳥を攻撃するモノがメインになっていますよね。

これは、スペンサーが最終的に犯罪を犯す=一線を「飛び」越えてしまうメタファーになもなっていると思います。

「一線」を越えるというのは、「人に危害を加えるかどうか」という点にあるかと。

 

最後に、鳥の目を中心に写し、スペンサーの目の中に入っていく様子は、スペンサーがこの「アメリカの鳥類」を奪う=吸収するシーンを想起させるメタファーようなシーンであったと思います。

 

以上まとめると、スペンサーはアメリカの最高芸術であるオーデュポンの「アメリカの鳥類」を自身に取り入れることで、成長したいと思ったのでしょう。

 

彼が授業中に「アメリカの鳥類」がアメリカの最高芸術であることを知った時、彼の中では「ナンバーワンを目指せば自分という存在が肯定される」と考えたのでしょうか?

 

非常に短絡的ではありますが、これまで熾烈な受験戦争に身を投じてきたスペンサーにとっては、合理的な目標だったのかもしれません。

 

 

 

なぜ鳥を描き続けてるのか?

スペンサーは刑務所を出た後、芸術家として鳥の絵を専門に描いていることが明らかになります。

 

彼にとってはトラウマ級な鳥の絵を、まだ描き続けるのでしょうか? 絵を描くにしても色んな題材はあるというのに。

 

彼は犯罪を起こしたにも関わらず、鳥の絵に対して以上な執着心を持っているんですよね。

 

それはなぜか?

 

おそらく彼は、仲間たちと本を強奪した時代が、自分にとって最も輝かしかったと思っているのではないでしょうか?

 

スペンサーの喜怒哀楽を見ていると、彼は犯罪を犯している時にしか笑顔になってないんですよ。それ以外はいつもふてくされていて、悩んでいるように見える。

 

でも仲間といる時はあんなに楽しそうにしてるんです。

 

彼にとっては、この思い出こそ芸術を意識するようになった出発点であり、汚点でもあるわけです。

 

彼は非常に複雑な感情を持ちながらも、鳥の絵を描き続けてるんだと思います。

 

 

そして、ウォーレン、スペンサー、チャールズ、エリックの中で、なぜスペンサーだけが芸術家になりえたのか? 

 

理由は単純。

 

彼は芸術に生活に対する異様な熱量、犯罪を犯したことの後悔・トラウマを、全て自身の芸術活動にぶつけたからです。

 

警察に連行されるシーンで、

 

・ウォーレンは暗闇の部屋でテレビを見て、最後はスーパーでわざと万引きして捕まる

 ・チャールズはバーで飲みあくれ、些細な揉め事で喧嘩を売ってしまう。

・エリックは筋トレをしている。

 

シーンが描かれますよね? 彼らは芸術とは一切無関係の過ごし方をしてるんです。

 

しかしスペンサーが逮捕直前まで没頭していたのは何だったか? 

 →ピカソのような独特な自画像を描いて終わってるんですよ。

 

つまり 、スペンサーは心に溜まったものを芸術にぶつけてると思うんですよね。

 

 

 

芸術は良心と両親に向かえ!

某大学のフレーズに「科学は良心に向かう」という言葉があるんです。

これを交えて、「芸術は良心と両親に向かえ」という言葉を、今作への感想として挙げられます。

 

芸術だからと言って、何でもしていいわけじゃない。

 

人類の進歩には犠牲がつきもの、とは限らない。

 

過激な行動がアート、とは決まってない。

 

冒頭でスペンサーたちの親が出るシーンがありますが、ひどく悲しんでます。

 

芸術は両親と良心に従うべきだよ。

人に危害を加えるくらいなら、芸術家は良心に従うべきです、そして両親を泣かせるべきじゃない。

 

 

 

 

鑑賞中に思い出した作品

 
・「15時17分パリ行き」
 
 
・「レザボア・ドッグス」
 
 
・「タクシー・ドライバー」
 
 
 
 

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