はじめに
今回公開する映画はこちら!
「レプリカズ」
それでは「レプリカズ」、感想・解説、ネタバレありでいってみよー!!!!
あらすじ
・キアヌ・リーブスが愛する家族のために倫理に反した暴走を加速させる科学者を演じるSFアクション。人間の意識をコンピュータに移す実験成功を目前にした神経科学者ウィリアム・フォスターは、突然の事故により最愛の家族4人を一度に亡くしてしまう。失意の中でフォスターはタブーを犯し、家族の身体をクローン化させ、意識を移し変えることで完璧なレプリカとしてよみがえらせることに成功する。家族との幸せな日々を再開しようとするウィリアムの前に、研究サンプルとして家族を奪おうとする政府組織が襲い掛かる。リーブスが主人公フォスターを演じるほか、「スター・トレック イントゥ・ダークネス」のアリス・イブ、 「キングコング 髑髏島の巨神」のジョン・オーティスらが脇を固める。監督は「デイ・アフター・トゥモロー」で脚本を担当したジェフリー・ナックマノフ。
キアヌの実人生が反映されている?
映画の感想
週末無駄にした感満載の、近年稀に見る駄作!!!
近年稀に見る、アレな作品
キアヌ・リーブス扮する生物の研究者は、脳内の神経をコピーしデータ化することで、人間の記憶を取得する装置を作った。
コピーした記憶をロボットに移すことで、人格は別の体に引き継がれていく。しかし、ロボットにコピーしてもすぐに人格が崩壊し、使い物にならない。
研究に行き詰まりながらも幸せな家庭を持っていたキアヌは、旅行中に家族を交通事故で失ってしまう。
これまでの研究を活かしてどうにか家族を甦らせたいキアヌ。
知り合いの人体精製の研究者と連携し、クローン人間に家族の記憶にコピーして家族を取り戻すという暴挙に出るのだった・・・
というのが大筋のお話。
これだけでツッコミどころは3000個くらい出てくるんですけど、まぁそれは置いといて。
人間を人工的に作るという狂気の科学者の物語でありましたが、これが本当にノレない。全くと言っていいほど。
アクションシーンも少ないので、ヒューマンドラマ的な要素で映画を楽しまなければいけないのですが、この映画は実に人間を描くのが下手。
人間は精製できてもキャラクターの人格は全く作れておらず、もう勝手にやってろよって匙を投げたくなるウンコポピー映画でした。
今作の山場としては三つ。
・どうやって家族を再生させることができるのか?
・再生した後、元の家族に戻れるのか?
・世界初の人間精製に成功したキアヌ家族を研究所が追いかけるが、どうやって追い払うのか?
上記三つのいずれも、何もカタルシスがない。
人間を科学の力を持って作るというのは、緻密な調査と練りに練った脚本でないと真実味を帯びない。でもこの映画にはそれができていない。
仮に真実味は置いといて、狂気の科学者を深堀りした作品という観点で見ても、人間が描けてないから楽しめない。
この作品に、何の愛情も注げない。
科学と人間と映画を軽んじた、ダメな作品だったとしか言いようがありません。
人は生き返っても、人格は死んだまんま
人間を生き返らせるロジックは話しても何の面白みもないので、端的にまとめると
「今まではロボットに人格をコピーして失敗してきたが、それはロボットと人間の構造の違いに人格が驚いて、拒否反応を起こしてしまう。だから白紙状態のクローン人間に人格をコピーすれば、完璧なクローンが作れるんじゃないか?」
という仮説に基づいて今作の物語は進みます。もう、この論理をぶつけられても俺たち観客は何もビンビンしないんですよ。こんなの中学生でも書ける脚本ですよ。
上に書いた以上の科学的ロジックは何も示されず、非常に都合良い話運びでキアヌの家族は再生していきます。こんなんで簡単に再生していいのかよ。
ただ、再生した後が問題です。交通事故で死亡してから17日が経過してからの家族の再生。しかも、施設の関係で3人の子供のうち、二人しか生き返っていない。次女のゾーイをキアヌは救えなかったんです。
普通なら、死んでしまった子供の存在に妻や子供は気づいてしまうはず。
そこでどうやってキアヌは切り抜けるのか?というのが映画の見どころになるかと思うんですが、今作では何と
「死んだ子供の記憶を排除し、記憶を改竄させる」という暴挙に出てしまいます。
このおかげで、死んだ子供について全く気にしなくなった家族たち。
これで一件落着!!! ってそんなわけないですよね。
家族は隔離されることなく普通の生活に戻るわけですから、「あら、ゾーイは一緒じゃないの?」って死んだままの子供について聞かれるに決まってるじゃないですか。そこで「ゾーイって誰?」って家族に問い詰められるに決まってるじゃないですか?
案の定、家族はゾーイの記憶を消されても、ゾーイの存在を知ってしまうことになります。
そこでキアヌは妻に「ゾーイを救えなかった」と白状します。と同時に、「研究所から逃げないと俺たちは殺されてしまう、逃げよう」と妻にダブル告白を敢行します。
こんなこと言われたら、うろたえて身動きが取れずにいるのが人間なはずなんですが、妻はうろたえることなく家族に「早く荷物をまとめて!」と颯爽と家を出てしまいます。。。
はぁ!? 何これ!?
ゾーイの記憶はなくなって愛着もなくなってるのは分かるけども、自分の子供が死んだという事実をなぜ2秒で受け入れることができるのか?
僕の頭では、到底理解できませんでした。
ご都合主義な映画ってのは重々承知していますが、あまりにも稚拙な脚本に呆れてしまいました。
何なんだろうなぁ、何でこうなったのかなぁ?
決定的に、倫理観が欠落してるんですよ。
キアヌ博士の技術力の低さゆえ、このような非人道的な人格が生まれてしまったのか、と思ったのですが、映画ではそのような指摘も全く見られず。
映画では人格が完璧にコピーされたという話運びになってるんです。
だとしたら、妻はもともと家族の命に無頓着な人ってことですよね?
もうそんなの、絶望的すぎるよ。
キアヌ様よ、こんな出来栄えでいいのか?
家族の再生がメインに描かれる話でしたが、これをプロデューサー兼主演のキアヌ・リーブスが担当するということに、非常に落胆してしまいました。
映画を観る前は、キアヌの実人生が反映された作品だって期待してたんですけど、全く魅力を感じられませんでした。
キアヌよ、これでいいのか?
こんなにも命を粗末にする作品を作っていいのか?
悲しくなりました。
鑑賞中に思い出した作品
・「エクスマキナ」
ロボットと人工技術機能を合わせて、人工的に人間を作るという設定が、少し似てるなぁと。
・「人魚の眠る家」
堤幸彦監督作。死んだ人間の体を無理やり動かし、あたかも生きているように見せかけた点が、共通してると思いました。
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