- はじめに
- あらすじ
- 映画の感想
- ジャンルの枠を超えた、ハイクオリティB級映画
- 冒頭の上陸シーンからグイグイ引き込まれ、もう後には戻れない没入感を提供してくれる
- テーマは人間賛歌!勝つために命のバトンを繋ぐ兵士に涙しろ!
- エンドゲーム公開中の今だからこそ、ウェポンX計画の失敗例を見ろ!
- 唯一の欠点
- 映画を見てる時に思い出した映画
はじめに
今回公開する映画はこちら!
「オーヴァーロード」
それでは「オーヴァーロード」、感想・解説、ネタバレありでいってみよー!!!!
あらすじ
・「スター・ウォーズ」「ミッション:インポッシブル」シリーズなど数々の話題作を手がけるヒットメイカーのJ・J・エイブラムスがプロデューサーを務めたサバイバルアクション。第2次世界大戦時、ナチス占領下のフランスの小さな村を舞台に、思わぬ敵と戦うはめになった米軍兵士の姿を描いた。第2次世界大戦下の1944年6月。ノルマンディー上陸作戦が開始された直後、ナチス占領下のフランスに、侵攻作戦の成功を担う重要な使命を帯びた米軍の落下傘部隊が送り込まれる。激戦を潜り抜けて経て生き残った兵士たちは、ナチスの要塞となった教会の塔に潜り込むが、地下にある謎めいた研究所でこれまで誰も見たことのない敵と遭遇する。監督は「ガンズ&ゴールド」のジュリアス・エイバリ
映画の感想
戦争×ゾンビ×モンスター×ヒューマンドラマ×恋愛×ホラー!!!!
花金の20時なのに
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2019年5月10日
toho日比谷なのに
面白い映画いっぱいあるのに pic.twitter.com/nZ07P2LPds
ジャンルの枠を超えた、ハイクオリティB級映画
最初はこの映画、見る気すらなかったんですよ。
ただ、映画ドットコムで調べてら、5月10日に公開される映画で大きなものって、今作くらいしかなくて。
戦闘とゾンビ? えぇ、 つまんなそぉ。
いかにもB級映画っぽい映像、宣伝に、見る気を削がれるのは当たり前。
ただ、そんな期待値低い映画だからこそ、面白かったときは最高に楽しめるんですよね!!!
もう、本当にB級映画最高だぞ!!
B級すぎてもはやS級だぞ!!!
制作のJ.Jありがとう! スターウォーズ9が楽しみになってきたよ!!
心から、賛辞を送りたいです。
私が何に対して感動してるかというと、単に戦争とゾンビを組み合わせてくれた事に対してじゃない。
ヒューマンドラマ的な要素を入れてくれたことでもない。
この映画、戦争映画をベースにしながらもありとあらゆるジャンルが盛り込まれてるんですけど、そのどれもクオリティが高いんです!!!
こんなことありますかね!?
正直、俳優もあまり知られてない人ばかりを使って、上映時間短いのに、映画の面白い要素がさりげなく散りばめられていて、、、
ただ、そんなバラエティ豊かな作風であってもちゃんと人間を描いていてるのが素晴らしいし、俺たちが体験したことのない戦場が舞台でもゾンビに襲われたりしても、なぜか他人事とは思えない圧倒的説得力があるんですよ!!
「人間をよく描けている戦争映画は傑作」だって個人的に思ってることなんですけど、今作は本当に人間がよく描けています。よかった、本当によかった。
新兵の黒人兵士である主人公、ボイス。人はもちろんのことハエさえ殺したことなさそうな優しい心の持ち主が、第二次世界大戦中の激戦のフランスで戦う話ではあるんですけど、彼は戦争に心が侵されることなく、最後までま人間であり続ける。
彼の正義感はブレることなく、ありのままの自分を貫くんです。
真っ当な良心を持つ主人公と、強化人間化(ゾンビ化)に魂を売ってしまう悪人たちとの対比が、より主人公の正しさを際立たせる。
フランス人の美女クロエへの恋心をチラつかせるのも、少年と兵士との触れ合いを入れるのも、全てはボイスを代表としたアメリカ人兵士たちの心理描写を描くため。
戦争やゾンビやホラーや恋愛要素は、あくまでキャラクターを描くための手段であって目的化されてない点が、単なるB級映画になってない証左でもあると思うんですよね!
裏を返せば、個々のジャンルを描くことが目的化されてる映画こそがB級映画でありジャンル映画なんですよね。
冒頭の上陸シーンからグイグイ引き込まれ、もう後には戻れない没入感を提供してくれる
今作はありえない設定ではあるんですけども、冒頭から映画の世界に入り込ませるための要素がビンビンで。
ノルマンディー上陸作戦の作戦名から取った「オーヴァーロード」というタイトルにふさわしく(教えてくれたモンキさん、どうもありがとう)、ノルマンディー上陸作戦のようにゲリラ的に上陸する兵士たち。
ノルマンディー上陸作戦が「海」からなら、今作は「空」から敵地に乗り込むんですよね。
飛行艇で上陸は今かと待機してる兵士たちですが、敵地ということでガンガン銃弾が飛んできて上陸前から絶滅寸前。
普通の映画館で見たんですけど、この時の銃声や爆発音の音量がまぁ良くって!!使っている音源のクオリティがすごく高いんですよね、特に乾いた音が最高で。
この映画の規模的にIMAXはやってくれないんでしょうけど、是非ともIMAXの爆音で聞きたかった!と願うばかりです。
そんな臨場感あふれる音声に加えて、できるだけ飛行艇の地獄絵図からボイスが飛び降りて海に着水しフランスに上陸するところまでを極力カットを割らずに見せることで、臨場感と没入感を観客に与えるこの作り、、
どれも今の日本映画じゃ絶対に見れないクオリティに、最初からテンションがガン上がりでした。
そしてフランスに上陸した後は、いつどこでナチスが襲ってくるかもしれないという恐怖心にドキドキしながら、映画を見ることができるんですよね。
新兵のボイスの視点で描いてくれるから、観客も同じ視点になってドキドキを味わうことができる、うまいもんですよ。
とドキドキしてるのもつかの間、飛行艇が攻撃されてるのに全く動じなかった隊長が、ナチスに殺されてしまう。
開始10分足らずでこの絶望感!! もうボイスが頼るべきものは何もない、という状況をご都合主義なく見せてくれるんですよね!
その後もゾンビが出てきたり、ナチス将校が出てきたり、ボイスを取り囲む状況はさらに過酷に! 敵地に少数で乗り込むという恐ろしさをこれでもかと味わうことができるんです。
最初の絶望的状況を上手く描いたからこそ、観客は映画に没入するし、ありえないゾンビという設定にも違和感がなくなる作りになってるんですよ。
そして、最後にはゾンビ化されたナチス将校とガチバトルしても対等に戦うボイスに勇猛さっぷりにも、ツッコミ所を与えずに「頑張れ!ボイス!!」と応援してしまうんですよね。
冷静に考えると、アホですよこの設定ww
でもねぇ、映画を見てる時はアホになってもいいんです!常人の何倍もの力を蓄えたゾンビ将校の物理攻撃を食らっても、立ってられるアメリカ兵士を見ても、何も変に思わなくなっている。
でもこれでいいんですよ!!
映画ってありえないものを楽しむ娯楽じゃないですか!!!!
テーマは人間賛歌!勝つために命のバトンを繋ぐ兵士に涙しろ!
今作のテーマは、「人間賛歌」だと思っております。
え?戦闘とゾンビ映画なのに? と思う方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、今作のストーリーラインと端々に出てくるセリフを集めれば、この結論にたどり着くと思います。
主人公のボイスをはじめとするアメリカ兵士達は、ゾンビ化に頼ることなく、最後まで人間の状態でナチスに挑むんですよ。
ただ、そんなんじゃいくら強い武器を持っていても、屈強なトレーニングをしても負けてしまう。
人間を捨てゾンビ化してしまったナチスと対抗するためにアメリカ兵士が取った行動は、あくまでも「人間の力を信じて勝つ」ということ。
多くの犠牲を払いながらも、最後の最後まで諦めずミッションを成功する。命のバトンを繋ぎながら、アメリカ軍は戦争に勝っていくんです。
後半のセリフで、フランス上陸中に仲良くなった少年チベットを引き合いに出して、「いつかナチスにチベットをぶつけてやる」とボイスが話すんですよ。
これ、よくよく考えたら違和感しかないんです。
戦争映画において、子供は「将来への希望」というメタファーになることが多いんですよね。この子だけには戦争をして欲しくない、という願いを込めて。
しかし今作においては、そんな子供でさえも戦争に参加することを厭わない発言を最後にボイスがしてしまう。
普通に考えたら「なんて残酷なことを!」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、これこそ「命をバトンを繋ぐ」ことの究極形なのかもしれません。そして、どんな小さい子供であっても、勇敢に戦地に突っ込む子供の度量を信じて、子供ではなく「人間」としての強度を高く買ったボイスの発言だったのかなぁと思います。
今回は偶然にも生き残ったボイスですが、彼もいつか戦死してしまう可能性もある。実はボイスの生存は、多くの仲間達の犠牲の上に成り立ってるんですよね。
ボイスは自分が「生かされている」ことを否が応でも実感してるんです。
そんなボイスだからこそ、チベットに自分の命を繋いでもらうために、ああいう発言をしたのでしょう。
ボイスとは対照的に、人間の力を信じず、即興的な増強に頼ってゾンビ化してしまったナチス達。ナチスは人間を信じなかったんです。その結果、負けてしまったんです。
命のバトンを繋ぎ、大きな目標を達成する。人間舐めんな!!ですよ本当に!!
エンドゲーム公開中の今だからこそ、ウェポンX計画の失敗例を見ろ!
今作でゾンビ化してしまったナチス兵達を見て、どうしてもマーヴェルの「ウェポンX計画(あるいはウェポン・プラス計画)」を思い出してしまいました。
ウェポンX計画とは、アメリカとカナダの共同プロジェクトで行われた「超人兵士計画」のことを指します。
ウェポンX計画において最初に強化された人間こそ、スティーブ・ロジャーズ。つまりキャプテン・アメリカなんですよね。彼の超人計画こそ、「ウェポンI」だったんですよ。
ちなみに、ウェポンX(10回目の超人化)で誕生したのはウルヴァリン、ウェポンXの派生プロジェクトで誕生したのはデッドプール。
マーヴェルのヒーローは、このウェポンX計画でユニバースされてるんですよねぇ。。
話に戻りますけども、キャップは血清の力によって、超人に目覚め、戦争に利用されていく。普通の人間にはできない、超人的な力を手に入れる。
・・・これって、今作のナチスが考えてることと同じですよね? しかも血清という点でも同じ。
今作では血清がアメリカで使われないように、ボイスが事実を隠蔽するくだりがあるんですけども。
超人化することの恐ろしさを、今作で改めて教わりましたよね、本当に。
今作で血清を打った人間というのは、ことごとく失敗して、醜いゾンビと化してしまうんですよ。ボイスが研究室に行った時、血清の失敗例をホラー的な描写で描くことによって、さらに恐ろしさが倍増するんですけども。
だからこの映画を見た人は、「血清、ダメ、絶対!」と改めて実感するんです。
超人化なんかよりも、人間の力を信じて勝ち抜く様がカッコイイって、思ってしまう。
今エンドゲームで盛り上がっている中、水を差すようで悪いんですけども。。
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キャップが血清によって今作のようなゾンビになってしまう可能性だって、往々にしてあるってことなんですよね。
キャップファンには大変申し訳ないんですけども、今作を見たらどうしても不安に感じてしまうんですよ、このキャップの脆さに。
アベンジャーズって、超人達が多く活躍する映画ですけども、冷静に考えると超人化したヒーローの誕生は非常に危険を伴うものだったなぁと。
こういう視点で見ると、キャップが人体実験に挑戦する度胸の凄さが、ひしひしと感じられるんですよね。
アベンジャーズが盛り上がって、ファンも大興奮して、超人になることは肯定的になってる世の中ですけども、今作はそんな超人ヒーローに対して警鐘を鳴らすようなメッセージも含まれると思いました。
唯一の欠点
ちょっと真面目なことを語りすぎたので、ここで閑話休題。
今作は非常に素晴らしい映画だったんですけども、一つだけ脚本に欠点があると思います。
それは、、、
WARNING!
ここから最低の下ネタありで映画を批評します。ご注意を!!
今作における唯一の欠点、それは・・・
ナチス将校が早漏だったら、全てが台無しになっていたじゃねぇか!!!
はい、突然意味わかんないですよね、すいません。説明しますからね。
今作において、ナチス将校を拘束することは非常に大きな意味を持ちますよね。
ボイスが大好きなクロエにセクハラする将校、事に及びそうになる時に、ボイスが立ち上がって阻止する。
クロエとのイチャコラに夢中になり、隙を見せた将校。
この隙をついて、将校を拘束して時間稼ぎ&情報を聞き出そうとするんですよね。
兵士達は将校の腰の昇降が終わるまで、外で待機してるわけですよね。
にしても、兵士達の待機時間長すぎませんか!?
これがですよ?
将校がハイパー早漏ですぐ済ませるタイプだった場合、兵士達は「今日の将校はおかしい!何かあったのか!?」って気づくはずですよね。
しかも「今日は時間がない」って将校が言っていたから、「今日の将校はいつもに増して早漏なのか、じゃあ早く迎えに行かなきゃ!」って気を張るはずですよね!?
以上を踏まえると、
普段の将校がハイパー早漏で兵士達にも知られていた場合、アメリカ軍は全滅なわけですよ!?
対照的に、将校がハイパー遅漏かどうかは確認できませんでしたが、仮に早漏だった場合を考えると、今作の脚本はすごく脆いなぁと。
映画を見てる時に思い出した映画
「カメラを止めるな」
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「イングロリアスバスターズ」
「シェイプオブウォーター」
・単にナチス将校がマイケル・シャノンっぽい演技をしてたから
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「イントゥーザストーム」
・どう考えてもB級映画に見えて、実は超クオリティの高いお得感満載の映画だという点
「ローグワン」
・ラストのダースベイダー襲撃シーンにおいて、一般人達が命のバトンをつないで設計図を渡すところが、今作における「命のバトンをつなぐ」に通底していたなぁと。