ネタバレありで感想と解説を始めます
今回公開する映画はこちら!
「惡の華」
今になって、なぜ実写化を?
漫画でもアニメでも有名だった悪の華。満を持して実写映画に登場です。
悪の華のアニメを撮った時に、プレビズとして一度実際の役者に演じて動きやセリフを付けて撮ってるんですよ。だから実写化は厳密には二回目。。
漫画もアニメも見ている自分としては、実写化でどうなるんだろうと不安になっていました。
しかし、たまむすびの町山さん情報によると、これまで実写映画化の話があったにも関わらず、原作者が断り続け、撮って欲しかった監督とようやく話がまとまったとのこと。
原作者が満足する出来栄えになったのでしょうか。
漫画もアニメも見た自分ですが、別に原作の世界観や設定が守られなくても良いと思ってます。
クオリティは別として、ラストの展開のみを抽出してくれるのであれば、ユアストーリーみたいになってもいいです。
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・・・・撤回。やっぱ無理です。
クオリティを保ちつつも、映画で新しい世界を切り開いてくれれば良いと思ってます。全く新しい悪の華もアリかもしれません。悪の華がユアストーリーじゃなく、あなたにとって良い作品になれば良いと思います!!!
それでは「惡の華」、感想・解説、ネタバレありでいってみよー!!!!
あらすじ
・累計発行部数300万部を記録し、テレビアニメ化もされた押見修造の同名コミックを、伊藤健太郎と玉城ティナの共演で実写映画化。山に囲まれた地方都市。中学2年生の春日高男は、ボードレールの詩集「惡の華」を心の拠り所に、息苦しい日常をやり過ごしていた。ある日、憧れのクラスメイト・佐伯奈々子の体操着を衝動的に盗んだところをクラスの問題児・仲村佐和に目撃されてしまった彼は、秘密にする代わりに仲村からある“契約”を持ちかけられる。この日から仲村に支配されるようになった春日は、彼女の変態的な要求に翻弄されるうちに絶望を知り、自らのアイデンティティを崩壊させていく。やがて「惡の華」への憧れにも似た魅力を仲村に感じ始めた頃、2人は夏祭りの夜に大事件を起こしてしまう。「片腕マシンガール」の井口昇監督がメガホンをとり、アニメ「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」の岡田麿里が脚本を担当。
押見修造さんを、推す理由
何より、この作品を見て押見修造さんの作品を応援しようと思いました。
志乃ちゃんは自分の名前が言えない、実写映画化もされてますけども。
なぜこんなに押見修造さんの作品を応援したいかというと、押見さんは吃音者であり、私自身も吃音持ちだからです。
別に同じ障害持ちだから興味を持ったわけじゃないんです。
確か「志乃ちゃんは僕の名前が言えない」の巻末の著者による解説で、「吃音がなければ、自分は何でもできると思っていた」って自分の反省を振り返ってる文章があったんですけど、それがすごく自分の心に刺さって。
吃音者なら同じ気持ちを持ってる人が多いと思うんですけど、この言葉を明文化する人を初めて見たんです。
吃音に関する本や映像作品はこれまで多く見てるんですけどね、こんなこと言ってくれる人は今までいなかった。
よくぞ言ってくれた!そうだよ!俺もそんな気持ち抱えて毎日生きてるよ!吃音がなかったら俺無敵じゃん!って思い続けてたんです。
俺はもっとやれるはずなんだ!!何かできるはずなんだ!普通のやつらに負けたくねぇ!!!って気持ちを持ってる人が、やっと見つかったような気持ちになったんですよね。
同じ吃音者でも、負けん気を吐き出してくれた押見さんの文章はすごく力があって。今に至ってます。
悪の華は吃音が関係ないように見えて、内に秘める苦しみや憎しみ。現状からどうにか抜け出したい気持ちが込められている点で、どこか共通してるところがあるんです。
今作ではどうなってるんでしょうか?
映画の感想
漫画でもアニメでも面白かった、惡の華!
天上天下唯我独尊の激レア青春映画
はい、騒ぎすぎて申しわけありません。
漫画でもアニメでもできない、映画ならではの表現で見せてくれた激レア青春映画でございました。
井口昇監督ということで、これまでにないコメディタッチな春日と仲村さんの関係、その分シリアスなシーンがより際立ち、緊張と緩和のメリハリが非常に効いた、ヒリヒリするような青春映画でございました。
青春映画という定義はいろいろあると思いますが、「可能性が開かれた状態」というのはどの青春映画も共通してると思います。
山に囲まれた群馬の街で、閉塞感に苛まれながら生きる中学生・高校生の思春期を剥き出しにし、若さゆえの暴走とも思えるひと夏の思い出を切り取った映画でございます。
普通の高校生なら部活やら恋愛やらにひた走るのが青春ってもんですが、今作の若者たちはそんな俗物には決して触れようとしない。
他の学生が絶対に真似できないような、彼ら彼女らなりの青春の使い道、青春の可能性を見せてくれたと思います。
思春期には何でもかんでもセンシティブになる。思春期に抱えていた不平・不満、他者とのコミュニケーション、まだよく分からない社会への不安と苛立ちの全てをさらけ出す。
他人には決してわからない、半径3メートル以内の超パーソナルなセカイ系の中で、もがく若者の行動。
そういう意味では「天気の子」と近いかもしれないんですが、僕は今作の方がしっくりきました。
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あまりにもありふれた学生の日常を一冊の本が変え、春日の周りは常に悪の華が咲く。悪の華の意味なんて分からないのに理解した気になって、強がって。
でも、彼らがする行動に意味なんてなくていいんです。きちんと主張することが大事なんです。
自分たちが言いたいこと、やりたいことを実際に行動に移した彼ら彼女らを、素直に清々しく感じたし、むしろ褒め称えたいとも思いました。
僕は悶々とした学生生活を送っていたので、狂っていようが自分たちの意のままに行動する主人公たちを、僕は羨ましくさえ思いました。
これも一つの青春映画なのです。
青春時代、モヤモヤした生活を送っていたみんなにみて欲しい。もちろん、現役で学生している人にもみて欲しい。
とにかくスッキリするから!!!! 悩み事も吹っ飛ぶから!!!!
本当の自分を社会に晒せない人って、ゴマンといます。俺も、今までやったことあるかといえば、出来てないです。俺も、クソムシの一人です。
でも、俺たちはクソムシのままでいいんです。
なぜなら、仲村さんの真似したら間違いなく人生棒に振るからwww
今作を見て、実際に行動に移す必要はない。ただ、こういう若者もいるしこういう人生の選択もあるってことを、知って欲しいんです。
ちなみに、この悪の華のプロットは原作者の押見修造さんに実際に起きた事件をベースにしているらしいです。もしかしたら、春日が書きなぐっていたノートは、実際に押見さんも書いていたのかもしれません。
素晴らしき構成、編集
映画ならではの構成、編集で見せるのが本当に感動して。
漫画やアニメだと、割と時系列が中学生→高校生へと順番に流れていくんですね。
これが一番わかりやすいし、これでも問題ないんですけどね。
でも、今作では悪の華で一番の見せ場であり衝撃的なシーンをあえて最初に持ってきて、観客に強烈な印象を与えていました。
これ、漫画見てない人は意味わからないんじゃないか? ライター持った玉城ティナを、どんな目線でみたんでしょう。
その後も中学生と高校生のシーンを交互に見せて行くんですが、フェードイン・フェードアウトの演出も極めて控えめなので、春日の髪型をみないといつの時代か本当に分からなくなるのも上手い見せ方で。
レザボアドッグスほどごちゃ混ぜじゃあないですけど、これも映画ならではのテクニック。時間芸術の素晴らしさを改めて感じたのでした。
玉城ティナはむしろご褒美じゃないか問題
今作でもっとも目立つキャラクター、それは仲村さん。
漫画でもアニメでも映画でも、異彩を放ちすぎる不思議なキャラクターであることに間違いありません。
漫画でももちろん美人です!たまんないです!!
でも、僕の記憶では仲村さんって途中からどんどん美人になってくはずなんです。
だから、春日が佐伯さんの体操着を盗んだことがバレた時の仲村さんって、本当に怖くて本当に憎たらしいキャラクターだったと記憶してるんです。
こんな奴にクソムシって言われたくねぇって思ってたんです。こんな奴にいじめられたくないって本気で思ってました。
でも、今作の仲村さんはどうですか!?
最初から超かわええし最初からいじめられたいって思っちゃうじゃないか!!!!!!!!
仲村さんのいじめ・脅迫・無茶振りが、最初からごほうびになってるんですよおおおおおお!!!!!
もう一度言っておきますが、私はMでもなんでもありません。
ただ、玉城ティナさんが可愛いと思ってるだけです。
玉城ティナさんの演技は申し分ない。問題ない。
ただ、ただ最初から可愛すぎるんだよなぁぁぁぁ!!!
そりゃ女優さんだからメイクやらないといけない。女優だから細くしないといけない。
でもなぁ、仲村さんはもっと肉付きがよくて、むしろぶきっちょで、可愛らしさがあるわけじゃないんだよ。
よーーーく見てみると、危うい美貌を持っているような、そんなタイプなんだよ。
玉城ティナさんが仲村さんやるとね、全ての行為がご褒美にしか思えないわけです。
春日に体操着着せるときもね、「あああーー、仲村さん怖いいいいい」って感じるんじゃなくて、「オイオイオイ!!俺にも着させてくれえええええええ!!!!!」
と思っちゃうんですよね。
原因は、ただ玉城ティナちゃんが可愛すぎるだけなんです。
私の好みも大いに入っておりますが、とにかくご褒美にしか思えな玉城ティナさんなのでした〜〜。