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映画「劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明」ネタバレあり感想解説と評価 萌えと残虐、甘美と狂気。これぞ日本の伝統芸能!

 
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この記事では、「劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
4DX版の感想はこちらです。
 
 
 目次
 

「劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明」のネタバレありで感想と解説(短評)

 
 

 

今回批評する映画はこちら!

 

「劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明」

 
 

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(C)つくしあきひと・竹書房/メイドインアビス「深き魂の黎明」製作委員会

 

子供がわさびを食べられないのは、新しい刺激に激しく抵抗するからだ。

 

最初は新しい刺激だったものも、経験を重ねるうちに慣れていく。

人間、長く生きていると舌が肥えていく。

 

味覚だけじゃない。人間の五感は、そうやって新しい刺激から当たり前の認識になっていく。

もちろん、この慣れや免疫というものは、映像作品においても生じるものである。

 

あくまで個人的にはだが、これまで多くの映画・ドラマ・アニメを見聞きしてきた。特に残酷描写の激しい作品は、好んで見た。

 

どれだけ血が出ようが、肉体の内部が見えようが、驚くことはなかった。どれだけわさびを口の中に入れても、感じなくなっていた。

 

今作は、そんな私の鈍った舌に新たな刺激を加えてくれた、大変スパイシーな作品である。

 

可愛らしいルックスのポスターからは想像できない残虐描写、アビス=深淵という未知で狂気じみた世界観、どのシーンを切り取っても恐ろしく、そして魅力的だ。

 

人間史上、最古の娯楽はローマのコロシアムだという一説がある。椅子に座り、遠くから眺める残虐描写。人間は長くから残酷なものに魅入られてきた。

 

日本も戦国の合戦や切腹、首吊りなど、庶民は常に残酷を娯楽として求めてきた。今やコンプライアンスで日の目を浴びなくなってしまったが、まだアニメーションの世界にだけは、残酷という伝統的な娯楽が残っているのだ。

 

日本が長らく培ってきた、可愛らしい絵のアニメーションと残酷描写の融合。

昔を紐解けば80年台後半のOVAから、90年代ではPCでのエロゲーなど、非常にニッチな世界の中で生き残ってきた。

 

しかし、2019年はFate HF、そして2020年にはメイドインアビス。今、アニメ映画で大確変が起こっている。

これまで知る人ぞ知るエログロなアニメが、全国の映画館で上映されるという事態が起こっているのだ。アニメーションという形で、映画館がコロシアムと化している現象を、映画ファンとしては看過できない。

 

かつて残酷病があるアニメは、エヴァンゲリオンくらいしか映画館で流れなかったが、ここにきて残酷アニメの波が、押し寄せつつあるのかもしれない。

 

コンプライアンス重視で規制された世の中であっても、残酷な娯楽は必要なのだ。むしろ、そんな時代でこそ、残酷を求めるのかもしれない。

 

ディズニーには絶対できないアニメーション表現がここにある!

可憐なアニメと残虐描写の融合は、日本が誇るべき伝統芸能だ!!

 

 

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・つくしあきひとの同名コミックを原作とするテレビアニメ「メイドインアビス」の劇場版。隅々まで探索され尽くした世界に唯一残された秘境の大穴「アビス」。深く巨大なその縦穴には奇怪な生物たちが数多く生息し、今の人類には作ることのできない貴重な遺物の数々が眠っている。アビスの縁に築かれた街オースで暮らす孤児の少女リコは、偉大な探窟家だった母の白笛が発見されたことをきっかけに、アビスの奥深くへ潜ることを決意。記憶を失ったロボットの少年レグとともに、様々な困難を乗り越えながら冒険を進めていく。深界四層で出会った“成れ果て”のナナチも仲間に加わり、ボンドルドの待つ深界五層へと足を踏み入れた彼らは、そこでプルシュカと名乗る少女と出会う。

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テレビアニメの宿敵とついに対峙

まずはとりとめもない感想から。

 

テレビアニメ版の最終話で描かれた、ナナチとミーティのあまりに悲しい物語。悲劇を招いた張本人である、宿敵ボンボルドと対峙するのが今作の大きなテーマになっている。

 

テレビアニメを見てきた自分としては、ボンボルドに対して怒りしか湧かなかった。

なぜ、なぜお前はこうもクズなのだ!!俺は許せん!許せんぞおぉぉぉぉ!!!

とテレビに向かって暴言を吐いたこともあった。

 

そんな俺たち?のデストルドーを、今作では見事に発散させてくれた!

 

ナナチの屈辱を、ミーティの恨みを晴らす!!最高のシチュエーションが設定された今作は、グロありコメディあり最後に熱いバトルありと、あらゆる娯楽が詰め込まれた一作となった。

 

今回は新しく深層5階に入ったことで、呪いも次第に精神的なものに変わっていく。ただ階段を登っているだけなのに、登っているだけなのに、、。あんな仕打ちが待ってるんですか、、 

何かモンスターに出くわしたり、おぞましい植物に触れたりもせずに、ただ階段を上るという日常行為でアビスの恐ろしさを伝えたのは見事だと思う。

 

 

 

 

人が人でなくなっていく恐ろしさ

 

何より今回の新キャラクターであるプルシュカは、間違いなくMVPであろう。

プルシュカぁ、ああプルシュカ。。

 

プルシュカァァァァァ・・・

 
はぁ、思い出すだけで胸が痛くなる。
 
数多くの残虐描写を見てきた私だが、今作のプルシュカに対する仕打ちは度を越している。
メイドインアビスの残虐描写の恐るべきところは、人が人ならざるモノに変えられてしまうことと、その過程をカットせずに描いてしまうことである。
 
多くの残酷映画は、いくら酷い出来事が起こっても人としての原型を止めている。あくまで人間としての認識ができる範囲で、人間に危害を加えていく。
どんなに恐ろしい映画でも最後に「◯◯人間」とタイトルがつくものだ。

 

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しかし、メイドインアビスはことごとく人が人でなくなっていく。

テレビアニメでは、生物という大きなくくりにされていた。

ミーティもナナチも散々酷い目にあった。

 

しかし、今作の特徴は人が生き物として認識できないほどの形に変えられてしまっているのだ。ボンボルドの合理主義によってあらぬ姿、いや、あらぬ形に変えられてしまったプルシュカを見ると、本当に救いようのないシーンとなってしまう。

 
数あるスプラッター映画の中でも、今作は常軌を逸していることがよくわかる。
 
 
あぁプルシュカァァァァァ・・・
 
 
 

可憐と残虐、日本にしかできない対位法

冒頭でも触れたが、リコ、ナナチ、レグ、プルシュカの可愛らしい風貌とは対照的な残虐表現は日本にしかできない伝統芸能である。

 

と同時に、この対照的な二つの組み合わせは、映画的には「対位法」というテクニックのようにも見える。

 

人が殺されるシーンで明るい音楽が流れたり、抱き合っているシーンでは空が濁っている。キャラクターの行動や情景と、映像・音響が相反しながら同居する演出手法を、対位法と呼ぶ。

監督ではマーティン・スコセッシがよく使う手法である。

 

 対位法について書いた記事がコチラ

www.machinaka-movie-review.com

 

 

日本の残酷アニメでは、可憐な見た目とグロデスクな映像が同居することにより、日本アニメ独自の対位法を確立させていたのかもしれない。

  

  

 

 

 

 

リコの探究心は観客の欲求と同じ

リコが深層に入る理由、それは観客の欲求と同じかもしれない。

 

おぞましい世界にあえて足を踏み込み、驚き怯えながらも先を進むその姿は、グロいと分かっていても映画を見てしまう我々の心理と共通するところがあると感じた。

 

 

 

 

 

まとめ

 

今作に関しては、かなり人を選ぶ作品なのは間違いない。PTAが見たら間違いなく発狂するレベルである。一般の方も、かなり抵抗があるかもしれない。

 

そんなことは百も承知で、今作をお勧めしたい。

 

メイドインアビスを抜きにして、今年のアニメ映画は語れない。

残酷こそが、日本アニメが誇る強みであり、武器である。

 

是非とも劇場で!!

 

87点 / 100点 

 
関連画像

 

 
 
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