- ネタバレありで感想と解説を始めます
- あらすじ
- 映画の感想
- 離婚調停ですらコメディにするアメリカの底力
- アダム・ドライバーはコメディの寵児になるか?
- 伝統あるNY式ソフィスティケイテッド・コメディ×オフビートの相乗効果
ネタバレありで感想と解説を始めます
今回公開する映画はこちら!
「マリッジ・ストーリー」
スカヨハとアダム・ドライバー。未知の体験。
アダム・ドライバーはスターウォーズで大々的に売れましたが、実は彼って超演技派で。
「パターソン」や「ブラッククランズマン」を見て、彼の演技に見惚れました。
「アベンジャーズ」でブラック・ウィドウとなり、自己中心的なヒーローたちをなだめてまとめる肝っ玉母ちゃんになりまして。どんどん演技派というイメージが湧いてきたのです。
この二人による名演が、なんとNetflixで見られるとのこと。
それでは「マリッジ・ストーリー」、感想・解説、ネタバレなしでいってみよー!!!!
あらすじ
・「イカとクジラ」「ヤング・アダルト・ニューヨーク」のノア・バームバック監督が、スカーレット・ヨハンソンとアダム・ドライバーを主演に迎えて描いたNetflixオリジナル映画。女優のニコールと夫で映画監督・脚本家のチャーリーが結婚生活に葛藤を抱え、離婚に向かっていく姿を描いたヒューマンドラマ。結婚生活がうまくいかなくなり、円満な協議離婚を望んでいた2人だったが、それまで溜め込んでいた積年の怒りがあらわになり、弁護士をたてて争うことになってしまう。ニコール役をヨハンソン、チャーリー役をドライバーが演じるほか、ローラ・ダーン、アラン・アルダ、レイ・リオッタらベテラン実力派俳優が共演。2019年・第76回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。Netflixで2019年12月6日から配信。
映画の感想
アメリカ伝統の都会派コメディの傑作誕生!爆笑度は今年ベスト級!!
東京国際映画祭で「マリッジストーリー」鑑賞
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2019年11月3日
「ブルーバレンタイン」のような夫婦の栄枯盛衰を、ウディアレンのような軽妙なソルィスケイテッドコメディで描いた良作。
家族でいることの難しさと儚さをユーモラスに描く。
スカヨハとアダムドライバーという芸達者な夫婦に、俺の腹筋は完全崩壊#TIFF
離婚調停ですらコメディにするアメリカの底力
はい、まだ腹筋が元に戻らないMachinakaでございます。もう、本当に笑いすぎて死ぬかと思いました。しばらくアダム・ドライバーの顔を真面目に見れないかもしれませんww
突拍子もない感想ですが、とにかく笑えて面白いからみんな見て!!映画館で見るのもいいし、家で仲良い友達と見るのもいいし、思わず誰もが笑ってしまう要素たっぷりでございます。
夫婦の離婚調停中のドタバタをユーモアたっぷりに描いた都会派コメディであり、結婚してなくてもしていても爆笑間違いなしでございます。
勘違いしないで欲しいのは、「ブルーバレンタイン」や「レボリューショナリーロード」のような「結婚怖い映画」ではないこと。
今作は離婚調停中の話なので夫婦のエグい部分をかなり見せられる映画でもあります。子供の養育権や慰謝料の分担をめぐって、これまで仲がよかった夫婦が崩壊してしまう話なので。
ただ、この映画の面白いところは完全に夫婦の絆が崩壊したわけじゃない、こと。
映画を作る上では、仲の良い夫婦か完全に崩壊した夫婦か、どちらかに分類して描くことが多いと思うんですが、今作は離婚調停中の期間を切り取っていることもあり、まだ再婚しそうな空気を漂わせたまま話が続いていくんですよね。
「ブルーバレンタイン」のように悲観的な描き方でなく、あくまで離婚調停を「ネタ」にしているのが、すごく新鮮で。
結婚以上、離婚未満の隙間を狙った、美しい今までありそうでなかった、珍しいコメディだったと思います。
単なる夫婦間のドタバタをコメディにするのではなく、離婚調停ということで裁判や弁護士のあるあるをネタにするんですよね。
やり手だけど人間味のかけらもないクズなNYの弁護士や、やたらと派手な格好したカリフォルニアの女性弁護士など、現実には少しありえない面白弁護士を取り入れているのが特徴ですね。
また、全体的にテンポが非常によく、ただの会話もスリルとアクション要素を持たせているのが素晴らしくて。
特にスカヨハとアダムドライバーの口喧嘩は、まるで「宮本から君へ」の蒼井優と池松壮亮のやりとりみたいでした。あんなに激しいやりとりもできるんだ、アダムドライバー。。
www.machinaka-movie-review.com
アダム・ドライバーはコメディの寵児になるか?
会話が中心のコメディということもあり、役者の演技力が試される映画であるんですが、今回はスカヨハとアダムドライバーという芸達者な夫婦なので、全く問題ありません。
アダム・ドライバーでコメディってのは今まで見たことがなかったんですが、まぁ、、今回は彼がMVPでしたね。
イケメンで良い声、高身長かつ高収入かつ頭が良くて家事もできるという、完璧すぎる男を演じているんですけど、そんな男だからこそ少しおかしい言動や行動をしただけで爆笑が起きるんですよね。
今回のアダム・ドライバーは、見た目とは裏腹にボンクラで、なよっとしてるところもあるキャラクター。
他の役者に例えるならば、マーク・ウェブ作品に出ているジョセフ・ゴードン・レビットのような性格なんですよね。
ただ、あまりに現実離れしてる容姿のアダムドライバーがジョセフゴードンレビットのようなキャラを演じると、それだけで爆笑を誘うww
いかにも強そうなのに、両手を使っても瓶の蓋を開けられないアダムドライバー。一方で片手で軽々しく開けるスカヨハの比較は笑いましたねw
あと、一番笑ったのは親権を持つにふさわしいか査定する調査員がアダムドライバーの家に来るくだりでしょうかねw あまりに緊張したアダムドライバーが起こす衝撃的なシーンを、ぜひお楽しみに!!!
伝統あるNY式ソフィスティケイテッド・コメディ×オフビートの相乗効果
少し真面目な論評をするならば、今作はアメリカではもはや伝統あるソフィスティケイテッド・コメディのジャンルに入ると思います。
ソフィスティケイテッド・コメディとは、無声映画で流行ったスラップスティックコメディ(バスターキートンなど)とは対照的に、派手なアクションなくセリフの面白さで笑わせる手法の一つです。
主人公の突拍子もない行動や設定で笑わせるスクリューボール・コメディ(ハワード・ホークスなど)とは異なり、都会に住む男女の気の利いた会話によって笑わせるジャンルなのです(エルンスト・ルビッチやビリー・ワイルダーなど)
今回は、離婚協議中の夫婦のやり取りを物語の主軸に、ニューヨークとロサンゼルスという大都市を舞台にしている映画であり、ソフィスティケイテッド・コメディの典型と言えるような作風だと思います。
ちなみに、都会派コメディといえば、ウディ・アレンの映画が有名かと思いますが、彼の作風はどちらかといえばスクリューボールコメディだと思います。
ウディアレンの映画って、SFではないがどこか現実離れした設定があるじゃないですか。年齢差のありすぎる恋愛とか。やたらと主人公がモテるとか。
今作の場合は、ごくごく自然に付き合い、結婚し、子供を産み、リアルなんですよね。
加えて、現代コメディの潮流であるオフビート演出が合わさって、アメリカコメディの今昔が同時に楽しめる作品だと思います!
コメディなので笑いどころはネタバレ出来ませんが、とにかく今回はアダムドライバーですね!同じアダムでもアダムサンドラーには絶対にできないコメディを、お楽しみください!!