まえがき
今回批評する映画はこちら
「ミッドウェイ」
エメリッヒがきたぁぁぁぁぁ!!!!!!
マイケル・ベイと似てるようでぜんぜん違う!
This is 大味映画監督、エメリッヒ様のお通りだぁぁぁいい!!!!!
すいません、久しぶりのエメリッヒ作品で興奮しております。
たしか前回エメリッヒ作品を見たのはインデペンデンスティリサージェンスでしょうか。怒り狂った感想を書いたのを覚えています笑
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ただ、くれぐれも過度な期待はしないよう、気をつけたいと思います。
それでは「ミッドウェイ」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。
あらすじ
・「インデペンデンス・デイ」「ホワイトハウス・ダウン」のローランド・エメリッヒ監督が、第2次世界大戦(太平洋戦争)のターニングポイントとなったミッドウェイ海戦を描いた戦争ドラマ。1941年12月7日、日本軍は戦争の早期終結を狙う連合艦隊司令官・山本五十六の命により、真珠湾のアメリカ艦隊に攻撃を仕掛ける。大打撃を受けたアメリカ海軍は、兵士の士気高揚に長けたチェスター・ニミッツを新たな太平洋艦隊司令長官に任命。日米の攻防が激化する中、本土攻撃の脅威に焦る日本軍は、大戦力を投入した次なる戦いを計画する。真珠湾の反省から情報戦に注力するアメリカ軍は、その目的地をハワイ諸島北西のミッドウェイ島と分析し、全戦力を集中した逆襲に勝負をかける。そしてついに、空中・海上・海中のすべてが戦場となる3日間の壮絶な戦いが幕を開ける。キャストにはエド・スクレイン、ウッディ・ハレルソン、デニス・クエイド、豊川悦司、浅野忠信、國村隼ら実力派が海を越えて集結。
「ミッドウェイ」のネタバレありの感想と解説(短評)
「#ミッドウェイ」鑑賞っ!
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2020年9月11日
・まるで重力を感じさせない、ある意味ド迫力のCG!!
・記号的なメロドラマ展開の雨嵐!
・今って何年だっけ!?90年代のような懐かし演出満載っ!
・イーストウッドが何年も掛け積み上げた米戦争映画をボディープレスで破壊したような映画!
エメリッヒ史上最高傑作ッ! pic.twitter.com/yy7cLBsJKq
全体に漂う謎の威風堂々感
アメリカが善、日本を悪として、日本が負けることがわかっている戦いを存分と、そして盛大に見せるシーンの連続は、娯楽大作として映画を作ろうとした意図がビンビンに伝わってくるんですよねw
同じアメリカの戦争映画でも、クリント・イーストウッドが手掛けた戦争映画は、今作のようにアメリカ:正義、日本:悪としては描いてないんですよね。
ましてや、戦いに勝って「ヤッホーーーーイ!!!!!」的なお祭り騒ぎになる展開にもならない。
いくら戦いに勝っても、人を殺したことは同じ。PTSDに苦しむ兵士の姿をリアルに描き、決して戦争を美化しないつくりになっているんですよね。
代表例として、「硫黄島からの手紙」と「父親たちの星条旗」という、日本視点・アメリカ視点で第2次世界大戦を描いた作品があって、両側面から戦争の悲惨さを体験できます。
しかし本作はそんな配慮も一切なく、「娯楽」と「アメリカの勝利」のためにひたすら勝ち気で威風堂々感のある演出のオンパレードなんですよねw
エメリッヒの大味な演出もあいまって、イーストウッドが長年に渡って積み上げたものを、ボディプレス一発で吹き飛ばすような感じなんですよw
今は何年だっけ!?90年代を思わせる演出の数々
この演出、人を殺して捨て台詞ですよww
人を殺して捨てセリフはシュワちゃんが代表例ですが、まさか2020年の今になって観るとは思って観もませんでしたww
中国で売るための映画だったのか?
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エメリッヒは中国企業と提携しているのですかね、組んでるプロデューサーが中国と提携しているのでしょうか。
とにかく、今作に限っては唐突に中国製品が出てきたり、過剰な中国びいき描写はほとんどありませんでした。
が、物語を辿っていけば、中国びいきではないにしても、中国で売れるために作った描写が非常にたくさんあったのが特徴的でしたね笑
まず、そもそもミッドウェイ戦という、日本が第二次世界大戦で劇的に負ける戦いを選んでいる点で、当時日本に占領されていた中国にとってはただ事じゃない出来事だったことは間違いないですよね!
加えて、とあるアメリカ兵士が中国に不時着した時に、中国人に囲まれて殺されそうな場面になった時に、「俺、日本を空爆したんだ」と言った瞬間、これまで英語を話せなかった中国人が「お前ぇ、日本をやっつけたのか?」と何故か流暢な英語を話し始めるんですよねwww
そして急速に仲が縮まり、アメリカ兵士に握手を求める中国人www
このシーンで私、大爆笑してしまいましたwww
どれだけスポンサーが関わってるのか分かりませんが、めちゃくちゃ違和感あるシーンに見えましたよw 出会って急に友達って、そんなノリなのか当時はww
別に件の中国人との交流が以前にあったわけでもないし、日本をやっつけただけで握手を求めるような急な仲の良さになるかなぁとww
また、今作の山本五十六は本当に愚鈍すぎます。。「アルキメデスの大戦」の山本五十六は、いかに戦争を止めるべきかを必死に考え行動していました。
今作で妙に好戦的な姿ばかりを映すのは、歴史を忠実に描こうとした今作にとっては大きなマイナスになってしまうのではないでしょうか。
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別にですね、日本を敵にしてもらっても構わないんです。間違いなく当時の日本は悪で、ナチスと同じく侵略戦争に取り憑かれていたのですから。むしろ、日本を被害者としてではなく加害者として描く作品がもっと増えてほしいと思うほどです。
ただ、今作を見ていて心配になるのは、これだけグローバルに展開しているハリウッドの大作が、中国という特定の国にのみ伝わるような作品を作っている点にあります。
中国のマーケットは巨大で、中国で売れれば遥かに儲かるのは間違いありません。ただ、ハリウッド映画ってそれでいいのかな?
ロケ地とか俳優とかスタッフに中国を入れるのは大変歓迎なことです。しかし、物語やメッセージを中国の人のみに受けるような(本当に受けるか分からないけど)作品にしてしまうのは、木を見て森を見ずな印象もあります。
もしかしたら、今作を中国で流す時に、政府により大きなテコ入れが入ったのかもしれませんね笑
基本的に中国では第二次世界大戦モノを描く時、日本を敵に描くのは仕方のないことだと思います。
しかし、あくまで自然に敵として描くことが、映画には求められるのではないでしょうか?
今作のように出会って2分で握手!みたいに無理矢理にしなくても(少なくとも私にはそう見えましたw)、もっとうまいやり方があったように見えます。
「イップマン」に出てくる日本軍は、少なくとも自然に統治し、自然に中国人を攻撃しているように見えたけどなぁ、、
まとめ
戦争映画にしては珍しく、頭を空っぽにして楽しめる超娯楽作品でございました。
戦争に「娯楽」という言葉は似合わないですが、今作を観てシリアスな気持ちになる人なんていないでしょう?笑
どんな時もブレずに、自分の作家性を貫き娯楽作品をちゃんと作る様子は、さすが職業監督といったところでしょうか。
色々言いたいことはありますが、この映画を観ている時だけは、今のコロナ禍の影響なんて微塵も感じることなく、昔にタイムスリップしたような感覚さえあったんですよね。
辛いときこそ、エメリッヒを観よう! きっと笑って泣いて、後悔はしないはずです!
80点 / 100点