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映画「ロン 僕のポンコツ・ボット」ネタバレあり感想解説と評価 完全無欠な人間などいない

 
こんにちは! 
 
Machinakaです!! 
 
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この記事では、「ロン 僕のポンコツ・ボット」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「ロン 僕のポンコツ・ボット」

 
 

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(C)2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.
 
ディズニー配給でポンコツロボット。いかにもディズニー・ピクサーがやりそうな話だと思うかもしれないが、海外の配給は20世紀スタジオが行なっており、製作もディズニー・ピクサーではない。
 
ロック・スミス・アニメーションというイギリスのスタジオで製作されており、実は今作が初めての作品となる。
今後ワーナーで「That Christmas」という作品が公開される。いかんせん、未知のスタジオと言うしかない。
 
ポンコツロボものにはめっぽう弱いので、どんな作品になるか楽しみです。

 

それでは「ロン 僕のポンコツ・ボット」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・友達が欲しい少年と不良品の最新式ロボットが“本当の友情”を探して繰り広げる冒険を描いた長編アニメーション。ネット、写真、通話、テレビ、ゲームなどあらゆるデジタル機能に加えて乗り物としても使用でき、所有者の友達まで見つけ出してくれる最新式ロボット型デバイス「Bボット」。しかし孤独な少年バーニーのもとに届いたのは、オンラインにすら接続できない不良品Bボットのロンだった。友達の探し方もわからず空回りしてばかりのロンに、バーニーは“友だちの条件”を説明し、なんとか友だちを探してもらおうとするが……。

ロン 僕のポンコツ・ボット : 作品情報 - 映画.com


 

 
 
 

「ロン 僕のポンコツ・ボット」のネタバレありの感想と解説(全体)

 
 
 
 

ベイマックスとは似ても似つかぬ暴れんボットのドタバタ劇

 

2014年、ディズニー製作で「ベイマックス」が公開された。

ロボットが誤作動を起こして騒動になったり、白く丸こいルックスが、あたかも「ベイマックス」を彷彿とさせるのだろう。

 

今作は、同じくディズニー傘下にある20世紀スタジオが配給したこともあって、同じもののように見えてしまう。

 

 

 
が、蓋を開けてみれば、「ベイマックス」とは似ても似つかぬ作品に仕上がっていた。
 
ボットと呼ばれる可愛らしいロボは、基本的にはスマホと人工知能技術を足し合わせたような優秀なガジェット。その目的はボットのユーザーである子供と友達になること。
 
まるで指紋認証のようにボットに手をかざしただけで、子供の趣味趣向を全てインポートし、理想の友達が出来上がる。
 
しかし、主人公の購入したボットは不良品で、主人公に寄り添うことなく自分勝手な行動を繰り広げる。そこには何の癒しもなく、ただ暴れているだけにも見える。
 
癒しを求めるベイマックスとは似て非なる、暴れん坊なボットによるドタバタコメディだった。
 
周囲の優しいボットと比べると、明らかに不良品で害悪にも見える。
が、冷静に考えれば、その他大勢のボットは真の友達なのだろうか。
 
自分にとって都合の良い発言や行動だけをするボットは、あくまで都合の良い友達だ。
自分の意思を持ち、思い通りにならないこともあってこそ、本当の友達。
 
そんな当たり前のようで時には忘れそうになる人間関係のイロハを、この映画は教えてくれる。
 
 
 

スティーブ・ジョブズが可哀想になる

 
今作で特徴的なのは、現代のネット社会を露悪的なまでに映し出す思い切りの良さだ。
 
ボットに搭載されている機能は、今我々が日常的に使用しているスマホと全く変わらない。スマホが極大化したようなものだ。
ボットの表面色を変更させて「着せ替え自由」という触れ込みも、スマホカバーを抱負とさせる。
 
しかし、子供の身長よりは低く、ボットに没頭する子供達は下を向いている。
この基本姿勢は、現代人のスマホ中毒を表しているものだろう。
 
また、このボットを開発・販売する会社はBubbleと名付けられており、指揮を取る人物は黒いロングTシャツを着た白髪メガネ。
 
完全にアップルの創業者スティーブ・ジョブズをモチーフとしている。
そんなジョブズもどきは今作で紛うことなきヴィランとして描かれている。
不良品のボットを回収するためならどんな手段も厭わず、主人公が行方不明になっても知らんぷり。常に売り上げのことだけを考えている悪漢としか言いようがない立ち振る舞い。
 
製作陣はジョブズに恨みでもあるのだろうか?
 
スマホによるネット中毒の害悪の象徴として彼を描いてるのかもしれないが、あまりに酷い描き方で、ジョブズが可哀想に思えた。
 
アメリカでは黒い噂が絶えず、部下から嫌われていたというジョブズだが、既に亡くなった人間に対してあまりにも酷なキャラ造形ではなかっただろうか。
これを見た子供が、ジョブズ(もどき)って悪いやつなのね!とイメージ与えかねないと思うのだが。
 
まぁ、「スティーブ・ジョブズ」を見れば、納得できなくもないのだが・・・
 
 
 
 
 

DX時代の子供のネット教育に最適な一本

 
ジョブズのように、一部露悪的な部分はあるが、今作は子供のネット教育に最適な一本だと言える。
 
主人公とボットのロンを除いて、その他大勢のボットはスマホのように扱われている。
インスタやユーチューブを彷彿とさせるようなアプリが搭載され、常にバズることを考えている。
 
近くの人間と遊んでいるように見えて、意識は世界中の不特定多数にある。
そんな現代社会を皮肉る内容になっている。
 
しかし、そういった描写は近年の映画には多く散見され、これだけでは新鮮味がない。
 
今作の面白さは、現代のネット問題を子供が理解しやすいように、絶妙な表現の置き換えがなされている点だ。
 
例えば、SNSで自身の局部等が映った恥ずかしい動画がネットに流出してしまい、辱めを受けるといった人権侵害問題を、今作では「ウンチ事件」に置き換えている。
 
ウンチ事件の詳細について説明する。
 
主人公のクラスメイトの女の子がとある事件に巻き込まれ、あたかも脱糞したかのように地面に落下する様子が撮影され、ネットにあげたところ大バズり。
 
その後クラスメイトから「ウンチ姫」などと揶揄され、不登校になってしまう。
 
動画の初見時はギャグかと思って笑ってしまったのだが、何度もリプレイされ、挙げ句の果てには不登校になってしまう女の子がスクリーンに写り、観客もいじめに加担したような気持ちになる。
 
結果的に映画の鑑賞者だけでなく「参加者」としての意識を植え付けられる名シーンとも言える。
 
何も気に留めずに上げた動画が人権侵害にまで発展する現代の恐ろしさを、今作ではウンチという子供にとってはポピュラーかつ刺激的なガジェット(ガジェットなのか?)によって表現しているのが上手い。
 
映画的な面白さと、反面教師的な意味合いを含ませたウンチ事件なのである。
 
 
 

同じ20世紀スタジオ配給のあの作品と共通点も

 
今作と同じく20世紀スタジオ配給で公開された「フリーガイ」とあまりに共通点が多く驚いたシーンが多々あった。
 

映画「フリー・ガイ」ネタバレあり感想解説と評価 自由こそアメリカンドリームの本質なり 小ネタも解説! - Machinakaの日記

 

「フリーガイ」はゲーム内のモブキャラ一人がバグを起こして、自意識が芽生えるというプロットだが、

今作も一台のボットに誤作動が起こり、同じく自意識があるように見える。

最後は開発会社の核機能がある部屋に殴り込み、勝利を勝ち取るといった展開まで同じだ。

 

また、「フリーガイ」にも現れたダースベイダーやマーベルキャラのオマージュも、今作ではボットの着せ替え機能となって現れている。

 

シリーズ化されていない、まだ知名度のない作品に親近感を与えるために。そしてディズニーファンへのサービスのために、今後も定番化していく気がしてならない。

 

事前に「フリーガイ」で同じサービスを受けている身としては、正直今回のオマージュは閉口してしまった。

 

「シスのために・・!」などと直接的なセリフを使って、「どや!!お前らの好きなスターウォーズだよ!!良かったろ!!」と言わんばかりのシーンに見えて仕方がない。

 

前述したが、今作は露悪的であり、露骨でもあるのだ。

 

 

 

 

まとめ

 

ジョブズの過度なイジりなど少し問題はあったが、全体的には満足度の高い作品だった。

特に教育的なメッセージと映画的な面白さを兼ね備えた「ウンチ事件」が最高だ。

(ただウンチウンチと言いたいだけなのかもしれない)

 

その他大勢のボットとは異なり、不良品扱いされるボットと主人公との心温まる交流も素晴らしい。

 

人間、何かが欠けているくらいがちょうど良い。

自分にとって都合の良い友達などいない。

 

何かが欠けていることを許容しつつ、リンゴが欠けているロゴマークで有名なアップルをイジる。

「欠ける」ことに対してダブルスタンダードな言及をするのも、この映画の魅力だ。

 
子供に是非とも見せたい作品。
面白かったです!!

 

90点 / 100点 

 

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 以上です! ご覧いただきありがとうございました!
 
 
 
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