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映画「エターナルズ」ネタバレあり感想解説と評価 MCUには無い要素を天地創造するも即崩壊

 
こんにちは! 
 
Machinakaです!! 
 
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この記事では、「エターナルズ」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「エターナルズ」

 
 

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(C)Marvel Studios 2021
 
 
時は来た!!!!
 
ハリーポッターのスピンオフながらも、原作者による脚本とエディ・レッドメインによる主演で、非常にクオリティの高い映画だった「ファンタスティックビーストと魔法使いの旅」の続編がついに公開です!!!

 

 

 

それでは「エターナルズ」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・「アベンジャーズ」シリーズをはじめとしたマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)で知られるマーベル・スタジオが新たに送り出すヒーローチーム「エターナルズ」の活躍を、「ノマドランド」でアカデミー賞を受賞したクロエ・ジャオ監督が描くアクション大作。「アベンジャーズ エンドゲーム」後の世界を舞台に、これまで人知れず人類を守ってきたエターナルズが姿を現し、未曽有の危機に立ち向かう。遙かな昔から地球に存在し、7000年もの間、陰から人類を見守ってきたエターナルズ。最凶最悪の敵サノスによって半分が消滅させられた全宇宙の生命は、アベンジャーズの戦いによって復活したが、その時の強大なエネルギーによって新たな脅威が誕生し、地球に迫っていた。その脅威に立ち向かうべく、これまで身を潜めていたエターナルズが再び集結する。10年ぶりのアクション作品への出演となるアンジェリーナ・ジョリーをはじめ、「クレイジー・リッチ!」のジェンマ・チェン、「ゲーム・オブ・スローンズ」のリチャード・マッデン、キット・ハリントン、これがハリウッドデビューとなる「新感染 ファイナル・エクスプレス」のマ・ドンソクらが出演。
 
 
 
 
 

「エターナルズ」のネタバレありの感想と解説(全体)

 
 
 
 
【注意】
これから、今作に関わる重大なネタバレが含まれます。
まだご覧になってない方は絶対に見ないように、お気をつけください。
 

 

 

 

決してMCUの域を超えぬ、MCU自体が目的化した映画

 

MCUもフェイズ4に入り、「ブラック・ウィドウ」ではアベンジャーズ以前の話を、「シャンチー」では新たなヒーローの話を、ドラマシリーズでは「ロキ」や「ワンダビジョン」がスピンオフ的な話を繰り広げている。

 

いずれも、「エンドゲーム」から話を進めようにもなかなか話を進めずにいる、エンドロール後にあるオマケ映像では今後の進展が語られているが、それはあくまで「点」でしかなく、決して「線」にはなっていない。

 

しかし、今作でようやく「点」と「点」が線となり、新たなフェイズ4の核となる物語が描かれた。今までのフェイズ4作品の進行が時計の短針レベルだとすると、今作は長針のようなイメージだ。

 

・・・もうお気づきだろうか?

 

私はまだ、エターナルズ自体の感想を一切書いていない。

正直、あまり書く気がしない。

 

何故か?

 

エターナルズの良かった点を挙げれば、必ずMCUの展開に触れなければいけない。

エターナルズとMCUの話、どちらを話したいか天秤にかけると、MCUの方に重りを置いてしまう。

 

今作は、MCUの域から出たくても出られない、単独作品として弱い作品となってしまっている。この事実は、誰が見ても明らかだろう。

 

「7日間で世界が消える」という触れ込みは、明らかに旧約聖書の天地創造をモチーフにしている。つまり、今作の話の核は神話だ。

 

天地創造 - Wikipedia

 

マーベル映画で神話を描くことは少なく、対極的にDCが神話を得意とする。マーベルはあくまで民話ベースであり、その点に着目すれば、今作はかなり攻めた内容となる。DCが描きそうな話をマーベルでもやってのけたのだから。

 

今作は、確かに挑戦的である。上記の通り神話ベースの話をマーベルに取り入れたことも然り、クロエ・ジャオ監督らしくヒューマンドラマとロードムービーの要素を取り入れて、腕っぷしで勝敗を付けるアクション映画の定説を否定した。

 

しかし、正直、そんなことはどうでもいい。どうだっていい。

 

彼ら彼女らの魅力は、一本の映画では十二分に伝わってこなかった。

 

エターナルズに課せられた使命は、確かにMCU史上でも最も壮大なテーマだ。

天地創造をテーマに、神アリシェムに造られた英雄として、ディヴィアンツと戦うエターナルズ。

 

最初は悪であるディヴィアンツをやっつけて宇宙を守る存在であったはずが、アリシェムの企みを知り、リーダーであるエイジャックがその事実を知りながらも何千年も隠し通してきた点を発端として内紛が描かれる。

 

残されたエターナルズに課せられた使命は、地球で生まれようとしている新たなセレスティアルを無事に誕生させること。

しかし、セレスティアルが生まれると地球が滅ぶ。セレスティアルの誕生を阻止すると、他の惑星で生命が犠牲になる。

セレスティアルの誕生阻止は、ディヴィアンツの目的と重なり、エターナルズは葛藤する。

 

地球を滅ぼすか、それとも別の惑星を滅ぼすか。

 

サノスだって半分だった。エターナルズは全てを滅ぼす選択を迫られる。

 

こんな壮大な話、魅力的でないはずがな・・・あった。

 

イカリスとセルシとの恋仲を中心とした話とし、その二人を仲違いさせることで、まるで「シビルウォー」のような構造になるのは良い。が、そこに至るまでが遅すぎる。

 

マブリーというオールラウンドで使える役者を起用しているのにも関わらず、まさかの途中で死亡。。なんじゃそれ、何がしたいんですか?

 

その分、コメディは「ビッグシック」で一躍有名になったクメイル・ナンジアニに委ねられるが、彼はコメディ以外が得意でない(ように見えた)。大いに笑わせてもらったが、MCUって笑いがメインじゃないはずだ。

 

スプライトの子供キャラも半端だし、ドルイグのエターナルズへの反抗心も足りない、セナの天然キャラも悪くはないが、都合が悪い時にだけ暴走し味方だけに攻撃するのは、足を引っ張ってるとしか思えない。

 

マッカリも、もっと主張してこい。手話だからこそ出来る表現ってもっとあるはずだ。

 

唯一、ファストスは人間味あふれるキャラクターで、癖の強いエターナルズの面々を上手くツッコむ役に徹してくれて、おまけに「ユニ・マインド」を提案した功労者でもある。

彼が一番魅力的に見えたのは、家族を描いた点が大きい。子供のために、愛する人のために地球を守るという目的が、無意識的に観客に刷り込まれる。

しかし、それもファストス単独で見た話であって、エターナルズ間のコミュニケーションにはほとんど寄与しない。

最後の打ち上げでファストス家が舞台となったおかげで、子供を使ってキャラを回すのは良かったが、これも最後だけだ。

 

つまるところ、エターナルズのキャラの描き方に問題がある、と言わざるを得ない。

 

壮大なテーマだけでは、映画全体の魅力に寄与しない。地球を救ったからといわれても、起因となるアクションが映像に刻まれていないのが残念。

 

監督の個性なので仕方ないが、今回はアクションがストーリーに絡まない。アクションは戦いの道具になっているだけで、アクションが伏線を作ったりテーマに絡むことがない。

 

一方で、楽しめた部分はMCU絡みの点ばかり。

今作とMCUの評価は分けなければいけない。いくらMCUのフェイズ4に位置付けられる作品といえども、映画単体の魅力がないのはいかがなものか。

 

MCUのために作品が存在している、MCUの世界観の拡張のために作品が尽力している、という現象が起きている。

 

MCU映画はいくらでもやっていい。MCUを通して、戦争やアクションやヒューマンドラマ、いろんなジャンルに挑戦して、さまざまなテーマを扱いメッセージを訴えてほしい。

 

しかし、次回のMCUのために、過去のMCU作品の伏線を回収するために、といったMCU自体が目的化する作品にはなってほしくない。

 

今後も「永遠」に、この課題はMCUに付いてまわる。

 

MCUとしても面白いが、MCU抜きでも面白い。

 

そんな作品を目指して欲しい。

 

 

  

 

 

ヒーロー映画でノマドランドやっちゃった

 

 

10人の新しいヒーローを一本の映画で描いたわけだが、そもそも無理がありすぎる。

至極単純な計算を試行してみれば、一人のヒーローのみを描く映画と比べて、一人のキャラに描ける時間はたった10分の1だ。

 

アベンジャーズシリーズとは異なり、個々のヒーロー単独の作品という重要な下敷きもなく、一発で描いてしまったのだから、キャラの魅力を存分に描き切るのは非常に困難な作業だ。

 

しかし、時間芸術である映画は、その困難を可能にする技術がある。

それは、編集だ。

 

例え10人に使う時間が限られていようとも、その時間を何倍にも何十倍にも見せられる。映画は、そんな魔法を叶えられる表現技法だ。

 

しかし、今作には編集の魅力が感じられなかった。

 

「ノマドランド」の記事でも言及したが、クロエ・ジャオ監督は「一本道」の物語を得意とする。逆を言えば、それ以外が苦手な監督でもある。

 

映画「ノマドランド」ネタバレあり感想解説と評価 人生に右も左もありゃしない。行けばわかるさ、その一本道。 - Machinakaの日記

 

一本道をひたすら走る車のように、監督の作品は主人公以外の視点に移動することが少ない。寄り道することはあっても、右左折をして別の道に進むことはない。

 

これは、監督の過去作である「ザライダー」にも象徴的に描かれている。主人公の視点以外はあまり描かれていない。

 

そんな監督が10人の英雄の話を、しかも7000年前から現在に至るまでを描くには、どうすれば良いのだろうか?

 

一本道を行ったり来たりするしか方法がないのだ。

 

例えば、冒頭の7000年前のメソポタミアではエタナールズ全員が集まっているため、10人が同じ一本道を同じ車で走ることができる。

 

しかし、次に描かれるのはセルシ・イカリス・スプライトがいる現在のロンドンが舞台であり、ディヴィアンツと戦うシーンが描かれる。

 

その後、エイジャックが死亡したことを確認するまではいいが、ここからが問題である。

 

再三繰り返すが、今作は道一本でしか話が進まない。

何かが同時並行的に進む展開がない。

 

そのため、エイジャックが死亡したことを各地にいるエターナルズメンバーに伝えるという伝言ミッションが始まってしまい、ここに膨大な時間が掛けられている。

 

あらかじめ集合時間や場所を決めておいて一度に集合できれば良いのだが、今作は一人ずつ会いに行くシーンが目立って仕方ないのだ(ギルガメッシュとセナは別)。

 

各地にいるキャラクターがいる場所まで車を走らせ、一本道の往来を繰り返す。おまけに、キャラクターの過去の話も入れるために、時系列が過去と現在の往来を繰り返す。

 

常に一筆書きの一本道で、10人のキャラクター描写を進めていく。

 

なんて愚鈍な編集だ。チーム分けせずに、一人一人と会ってエイジャックが死んだと言い続ける下りは、本当に見ていて辛い。せっかくマブリーが笑いをとっても、エイジャックが死んだと言われると急にテンションが下がる。確かにエイジャックが死んだ事実は辛い。でも、説明するなら一回で良いのではないか?

 

マッカリの特殊能力で、一瞬で世界中にいるメンバーに伝えるのはどうだろう?

 

もしくは、zoomミーティングはどうだろう?電話はどうだろう?

 

直接言いたいのは分かるが、何回も繰り返されると時間がかかって仕方がない。

 

また、今作は「バッドマンvsスーパーマン」のような話でもある。イカリスは完全にスーパーマンを真似ており、目からビームや自由に空を飛べる能力は言うまでもない。完全にスーパーマンだ。

 

今作はそんな彼の暴走を止めるための話でもあり、真似るにしても、なぜこの映画を真似たのよか、よく分からない。

 

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最後に、10人を描くためにこんなに苦労した今作だが、13人の刺客を見習って欲しいものだ。

 

  

 

 

MCU世界の拡張という点では傑作!!

ただ、MCU世界を拡張した点では本当に素晴らしい仕事をした。

 

特に、直近の作品でいえば「シャンチー」で登場したテンリングスを上手く活用して見せた。ファストスはセレスティアルズ誕生を阻止するために「ユニマインド」を提唱するが、これは明らかにテンリングスの輪っかを必要としている(そういう画にしか見えない)。

 

シャンチーの最後に「テンリングスは帰ってくる」とあるが、まさか本当に腕輪だけが帰ってくるとは・・・

 

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また、何よりラストでサノスの弟であるエロス(別名スターフォックス)が登場したときは、もうどうにでもなれと歓喜していた。。

 

今後の展開が楽しみで仕方ない。次のMCUが見たくて仕方ない。そう思わせる作品だった。結局、MCUから離れられないのだ。

 

 

まとめ

 

過度な期待はしなかったが、あまりにもキャラの描写が不足していた。

 

エターナルズ同士で連携が見られない、あったとしても、弱い。

 

あれだけ多様なヒーロー、多様な特集能力があるのだから、なぜ協力して敵を倒さないのだろう。

 

特集能力を組み合わせて、超必殺技を見せて欲しかった。

マッカリとスプライトの合わせ技で敵を撹乱してる間に、セルシが地面を物質変換し氷にして身動きを取れなくする。そこにアタッカーのセナとイカリスが特攻して倒す..

 

こういう連携プレーがほしいんだよ!!クロエよ!!ヒーローはアクションで強力するもんなんだ!!分かるか!?

 

全知全能の神であるアリシェムとの対峙、サノスの弟の能力、テンリングスの活用法など、興奮する要素が多いのは分かるが、エターナルズ単独の魅力が弱すぎる。

 

しかし、どれもがMCUに依存した評価であることに変わりはない。MCU抜きで、面白い作品を作って欲しかった・・・

 

作品としての評価は低いが、MCUとして見ると面白かったので、80点とする。

 

作品的には60点程度だが、MCUも加味すると、、、

 

80点 / 100点 

 

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 以上です! ご覧いただきありがとうございました!
 
 
 
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