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映画「シャン・チー テン・リングスの伝説」ネタバレあり感想解説と評価 五輪の2倍面白かったです。

 
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この記事では、「シャン・チー テン・リングスの伝説」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「シャン・チー テン・リングスの伝説」

 
 

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(C)Marvel Studios 2021

 

 

 

「ブラック・ウィドウ」は最近公開されたものの、あくまでMCUの歴史としては過去のもの。

 

今回のシャンチーによって、新たな歴史が刻まれるのだろうか。

 

「ロキ」や「ワンダビジョン」などMCU正史に関係しなそうでしそうなドラマ作品が多かっただけに、今作で何か関係が結ばれるのか楽しみで仕方がない。

 

それにしても、ようやくアジア人のヒーローが登場したのか。嬉しくてたまらない。これもひとえに、東アジア(主に中国系)の映画がアメリカで売れたのが大きなポイントだろう。オークワフィナは今作に出演するようだが、彼女が出演したハリウッド映画が今作を大きく後押ししているように感じる。

一昔前だったら、ありえなかっただろう。

 

同じアジア人の私としても、アジア人のヒーローはとても嬉しい!!

 

それでは「シャン・チー テン・リングスの伝説」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・「アベンジャーズ」シリーズを中心にマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)を展開するマーベル・スタジオが、最強の力を持ちながらもそれを封印してきた心優しきヒーロー、シャン・チーを主人公に描くアクション大作。犯罪組織を率いる父に幼いころから厳しく鍛えられ、最強の存在に仕立て上げられたシャン・チー。しかし心根の優しい彼は自ら戦うことを禁じ、父の後継者となる運命から逃げ出した。過去と決別し、サンフランシスコで平凡なホテルマンとして暮らしていたシャン・チーだったが、伝説の腕輪を操って世界を脅かそうとする父の陰謀に巻き込まれたことから、封印していた力を解き放ち、戦いに身を投じる。「アイアンマン」シリーズなど、これまでのMCU作品で名前が登場していた犯罪組織「テン・リングス」の謎が明らかにされる。主人公のシャン・チー役には中国系カナダ俳優のシム・リウが抜てきされ、トニー・レオン、オークワフィナ、ミシェル・ヨーら実力派俳優が共演。「黒い司法 0%からの奇跡」のデスティン・ダニエル・クレットン監督がメガホンをとった。

eiga.com

 
 
 
 

「シャン・チー テン・リングスの伝説」のネタバレありの感想と解説(全体)

 
 
 

過去作見なくても大丈夫!MCUはここからどうぞ!

 
良かった。実に良かった。。
MCUのフェイズ4にありながらも、シャンチーとケイティを中心としたアクションコメディであり、シリアスな父子モノであり、ラストはファンタジーであり、映画のあらゆる要素を詰め込みながらも一つのテーマでまとまる満漢全席のような映画だった。
 
ここまでジャンルが横断し、かつ一つ一つのジャンルのクオリティが抜群に高い。こんな奇跡を体験できるのはMCUぐらいだろう。
 
「ブラックウィドウ」から始まったMCUのフェイズ4だが、私は今作こそフェイズ4の新たな幕開けだと信じてやまない。ファイギちゃん、あんたもそう思うだろ?
 
アクション要素、ドラマ要素、コメディ要素、どれも一線を画すクオリティ。MCUだけ特別扱いしたくないが、今作だけは譲れない。
 
鑑賞中、あまりの面白さにまばたきを忘れてしまい、脳内では「フゴオオゴゴゴオオオ!!!!!」と奇声を発していた。もはや意味が分からないので気にしなくて良い。
 
前作「ブラックウィドウ」がダメだっただけに、今作が面白すぎて幸せで仕方がない。
そうだ。これがMCUを見る意義そのものだ。
 
そして何より、今回はアジア人ヒーローという点も欠かせない。
ヒーローと言えば白人ばかり。最近になって黒人ヒーローも現れたが、ちょっと待て。アジア人はどうしたんだ? なぜアジア人のヒーローは出ないんだ?
 
ずっと悔しい思いをしてきたが、今作でやっとアジア人によるヒーロー映画が登場したのだ。これだけで泣けてしまう。普通にアジア人ばかりが出るヒーロー映画など、めったに登場しない。
 
エンドゲームで最強の真田広之がチョイ役として出て、何故か貧弱なホークアイに殺される意味不明なシーンは、もう出てこない。
 
アジア人はちゃんと強い!
今なら胸を張って言える。
 
アメリカのコメディ映画では、アジア人はいつもいじられっ子だった。
アクション映画に出れば、白人の二番煎じ的な扱いだった。
仮にアジア人が出たとしても、お目目パッチリの超絶イケメン役者が登場するだけだった。
 
しかし今作のシャンチーのルックスは、驚くほどフツーのアジア人だ。
相方のオークワフィナもそうだが、一重まぶたのアジア人がメインキャストを張る映画も、本当に珍しい。
 
ホテルマンとしてしがない生活を送るボンクラ男が一瞬でヒーローになる少年ジャンプ的展開の物語で、堂々たるヒーロー映画として素晴らしい出来栄えだった。
 
本当に本当に本当に面白い!なんて幸せなのだろう!
 
ここまでMCUが面白いと思ったのは、久しぶりだ。
 
MCUをこれまで見たことのない人も、ぜひ今作を見てほしい。
 
「MCUのフェイズ4だから追いかけるのが辛い」だとか言う人も、安心して見てほしい。シャン・チー自体の面白さが、MCUの難解さや歴史を忘れさせてくれるはずだ。
MCUだってリピーターだけを対象としているわけじゃない。むしろ、新たな顧客を常に獲得したいはずだ。
 
あえて予習するとしたら、「ドクター・ストレンジ」「アイアンマン3」の2作で十分だ。エンドゲームまで見ろとは言わない。
 
 
今までMCUを見てこなかった日本人の方、今作がチャンスだ!!!
 
 
 

今作の「多幸感」の正体とは?

 
DCEUは「重厚感」、MCUは「多幸感」が溢れていると思っているのだが、今作は本当に「多幸感」溢れる内容となっていた。
 
今作の「多幸感」の正体は、ジャンルのシフトチェンジにある。
 
最初はサンフランシスコ新しいキャラクターであるシャン・チーを中心としたカンフーアクション&ヒューマンストーリーでありながら、相棒のオークワフィナがコメディリリーフとなり観る者を飽きさせない。
ジャッキー・チェンの「ポリス・ストーリー」を彷彿とさせる、アクションが得意な人間と不得意な人間で繰り広げられるアクション・コメディとなっている。
 
しかし、ユルさが常に漂っていた前半と比べて、中盤は天上天下唯我独尊なシャンチーの父親が率いるテン・リングスと対峙してから、大幅にジャンルが変容する。
閉鎖的な環境下で父親との葛藤や母親に対する想いなどドラマ要素がふんだんに盛り込まれ、前半のジャッキー的アクションとは異なり、ドニー・イェンの「イップマン」的なシリアスさを兼ね備えたドラマ要素が際立っている。
 
そして後半に、予想を遥かに超える大きなギアチェンジが待ち構えていた。
父親率いるテン・リングスとシャン・チー率いるターロー村との一騎打ちで終わると想いきや、マルチバースの象徴物としての「ダーク・ゲート」が開くことで、多次元から新たな敵が現れる。今作がMCUフェイズ4の輪の中にあると改めて気づかされる。
ここからは、古代中国のファンタジー要素の満漢全席のような、SFアクションへと昇華していく。
MCUとしては珍しく「異世界から来たモンスター」がラスボスとなり、対するシャン・チーはリングの能力だけでなく、龍も使いこなす。
 
一つの映画でここまでジャンルが変わってしまうのか。違和感があるように見えるが、今作はまるで円弧を描くように滑らかに、そして確実に違う方向へとジャンルをシフトさせていく。
 
その潤滑油となったのは、これまでMCUが培ってきたノウハウに他ならない。
あらゆる主人公を対象にあらゆるジャンルからあらゆる監督を起用して組み立てられてきたMCU映画。バラバラのように見えて、実は円のようにつながっていたのだ。
 
点と点が線になり、その線が実は円を描いていた。
そして、その円は単円ではなく、フェイズ4の根幹となるマルチバース(多次元的世界)を象徴する多重円となって、「テンリングス」の世界を形作っている。
 
今作はMCUの一つの到達点ではないだろうか?
 
多くの作品が公開され、もはやバラバラのようにも思えるMCU作品だが、諦めずに見てほしい。今作ですべてが繋がる。
 
 
 
 

MCUの今後を理解するためにも欠かせない作品!

 
ドラマや映画やアニメや作品自体が多次元化しているMCUだが、今作はMCUフェイズ4の中にありながら、圧倒的な「分かりやすさ」を有している。
 
今後のMCUを理解する上で最も大事なのは、マルチバース構造だろう。
 
もともとはフェイズ3の最後である「エンドゲーム」から始まっている。現代と過去を往来し、過去を改変することで新たな現在が生まれ、結果的に多次元な世界が生まれる。
 
今後のMCUが目指す時間的射程は、一直線の時系列ではなく、単一の時系列で過去・現在を行き来する円環構造でもなく、複数の円=世界が混合し合う多重円環構造となっている。
 

 
今作の前にディズニープラスで公開されたスピンオフも、「ワンダビジョン」や「ロキ」、直近では「What if」など、全てマルチバース構造となっている。
 
しかし、これまでのマルチバース構造の説明はほとんど失敗に終わっていると言っても過言ではない。
 
最初にマルチバースが登場した「エンドゲーム」では説明があまりに難解で作中でもキャラクターが「なんのこと?」と嘆いていた。
 
「ワンダビジョン」は前衛的な内容が前半に多すぎたため、よくマルチバースの意味が分かりづらかった。
 
そして「ロキ」ではマルチバース自体が目的化してしまって、何が何やら分かりづらい展開に(面白いのだが)。
 
そんな中、今作のマルチバースは群を抜いた分かりやすさだ。
 
フェイズ4の基礎となるマルチバース(多次元的世界)を踏まえた「もし、○○出来たら」という物語構造でありながら、複雑さを感じさせずに「ダークゲート」とだけ表現してみせたのだ。
 
これまで、ハルクやアイアンマンやアントマンなど理工系によるお硬いマルチバースの説明が続いたが、今作はあくまでファンタジーとしてマルチバースを説明してみせたのだ。
 
この圧倒的な分かりやすさ、素晴らしい交通整理力は圧巻だ。
 

驚異的なアクションの交通整理力

 

今作のアクションはゆったりとしたテンポでカットの割らない、非常に見やすいものに仕上がっているのだが、なんと言っても交通整理力が素晴らしい。

 

今作は極力、1方向にアクションの軸を定め、一度も渋滞や衝突することなくアクションを見せているのだ。

 

冒頭のバスでのアクションからその片鱗が伺える。

一つの狭い通路しかないバスの構造を活かして、1方向のみで奥行きのあるカンフーアクションを見せてくれる。

 

その後も、中国へ渡り、テンリングスから逃げるためにビルを落下しながら戦うアクションも、狭い足場を利用して一方向のバトルに仕上がっている。また、ビルから落下しながら戦う場合も垂直に一方向だけなので、どのキャラが何をしているか非常に分かりやすい。

 

これにより、カットを割る必要もなく分かりやすいアクションが見れる。分かりやすいアクションとはつまり、純粋なアクションの凄さを堪能できる時間と直結する。

 

他のMCU作品は、やたらとカメラがぐるぐる回り、キャラクターが360度自由に動き回るおかげで、カットが増えて何が何だか分かりづらくなる。本当に不愉快なシーンが多いのだが、今回のアクションは本当に見やすい。

 

3次元の世界なのに、あえて1次元に絞ってアクションを見せているのだ。

マルチバースで多次元的な世界を描いている一方で、アクションを表現する際は次元を減らしている。この工夫がたまらない。

 

 

 

真のMVPはシャンチーじゃない?!

 

アジア人キャストによるヒーロー映画が公開できたのも、MCUとは関係ない過去の作品でアジア人キャスト・監督が活躍したからに他ならない。

 

近年でアジア人キャスト・監督での成功が目立った最初の作品は、3年前に公開された「クレイジーリッチ」だと記憶している。

 

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また、「フェアウェル」もミニシアターでわずかな公開から口コミで伸び、アジア人によるハリウッド映画の存在感を示した。

 

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そして、DCEUではアジア人監督によって「ハーレイクイーン」が撮られ、アジア人キャストも大抜擢された。

 

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これらの作品によって、オールアジア人のハリウッド映画でも商業的に成功することが証明されたのだ。シャンチーは、これら先人のアジア人ハリウッド映画の延長線上にいる。

 

そして、これらの作品にすべて出演しているのが、今作でケイティを演じたオークワフィナだ。

 

確かに、ダークゲートの怪物を倒してヒーローとなったのは、シャン・チーかもしれない。

しかし、真のヒーローはオークワフィナだ。彼女がいなければ、シャン・チーの脚本すら生まれなかったかもしれない。彼女の貢献は計り知れない。

 

 

 

 

まとめ

とにかく、続きが気になって仕方がない。
 
「ドクター・ストレンジ」のウォンが登場し、シャンチーとケイティーを連れていき、テンリングスの謎を探っていく。そこでMCUのOB・OGとしてブルース博士とキャプテン・マーベルがリモートで参加するワクワク展開も最高。
 
そしてブルースが放った「サーカスへようこそ」とは、一体何なのだろうか?
 
アベンジャーズも、シールドも解散した。それなのに一体、、サーカスとはなんだろうか?
 
本当に本当に続きが気になる。
 
「サーカス」の正体を探るために、「What if」などスピンオフ作品を漁って確かめたくなる。
そして、ディズニープラスに入会する人が増える。
 
・・・なんという戦法を繰り出すのだ、ディズニーよ。
こんなのズルいではないか。

 

MCU関連の作品をすべて見なきゃいけないじゃないか。。が、作品が面白すぎて他の作品も見たくなるって、王道のやり方すぎてぐうの音も出ない。

 

・・・これからも面白い作品を頼みます。

 

96点 / 100点 

 

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 以上です! ご覧いただきありがとうございました!
 
 
 
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