まえがき
今回批評する映画はこちら
「ソニック・ザ・ムービー」
はい、まさか令和の時代になってセガのゲームの主人公がハリウッド映画化です。
セガのゲームはやってたんですけど、ソニックだけは手を出したことなくてですね。
正直あまり愛着は湧いてないんですが、日本のゲームが世界に羽ばたいていくのは凄く嬉しいですよね。最近もピカチュウが映画化されましたし、お金を集めやすいのでしょうかね?
あらすじ
・世界的人気を誇るセガの人気ゲーム「ソニック」シリーズをハリウッドで実写映画化。宇宙最速で走るパワーを持つ青いハリネズミのソニックが、故郷を離れて遠い地球へとやって来る。ひょんなことから出会った保安官トムとバディを組んだソニックは、マッドサイエンティストのドクター・ロボトニックが企てる陰謀を阻止するべく大冒険を繰り広げる。主人公ソニックの声を「スター・ウォーズ フォースの覚醒」でBB-8の声を担当したベン・シュワルツが務め、宿敵ドクター・ロボトニックを「マスク」のジム・キャリー、相棒トムを「X-MEN」シリーズのジェームズ・マースデンがそれぞれ演じる。アカデミー賞短編アニメーション部門ノミネートの実績を持つジェフ・ファウラーがメガホンをとった。
「ソニック・ザ・ムービー」のネタバレありの感想と解説(全体)
#ソニックザムービー 鑑賞。
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2020年6月26日
国産のゲームキャラがハリウッドに羽ばたいてくれるのは嬉しい。
が、正直見てて心苦しかった。
楽しげな、愉快げな、激しめな、、「げな」な描写ばかり。時代錯誤なジムキャリーの使い方もバツ。
シュガーラッシュとは言わないから、せめてピクセルくらい頑張ってよ!
愉快な映画は苦手なんだと改めて分かった作品
はい、ソニックという国産キャラクターがパラマウントというハリウッドを代表する老舗配給会社で公開され全世界に知れ渡る。
それだけで日本人の私としては嬉しく感じております。それは間違いない。
ただ、自分には合わなかった。要は「苦手」な映画だったと感じております。
先日「ドクター・ドリトル」を批評したときもそうだったんですけど、世間一般の評価と自分の評価が大きく乖離してるなぁと思うのです。
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乖離した原因は自分の好き嫌いにあることは間違いありません。
それは、愉快な映画は苦手、ということ。
本作とドクター・ドリトルの共通点は「愉快」だと思ってて。
「愉快」を辞書で調べると、「おかしくて笑いを誘うようなさま」という意味らしいです。
愉快って良い意味にも聞こえるんですが、「面白い」とはまた意味が違う。これまた辞書で調べたんですが、「面白い」って「心が惹かれる」意味合いが含まれてるんだそう。
そう、私はこの映画に心を惹かれなかったのです。
ソニックと冴えない警察官がバディで進んでいく物語。
映画は基本的に明るいノリで、陰か陽で言えば完全に「陽」な映画で、すごくご機嫌な映画なんです。ゴキゲンな映画と言ってもいいかもしれない。
映画の中には笑いを誘発させようとする描写が数多くあって、ジムキャリーを代表するように楽しげなシーンが目立つ。
・・・でも、一つも笑えなかったんですよ、俺。
例えば、芸人が笑いながらネタを披露しても笑えないじゃないですか?
「これ超面白い話なんだけど〜」と前置きされた話ってつまらないじゃないですか?
ヘラヘラしながら喋る話って笑えないじゃないですか?
この映画、他人を笑わせる前に自分が笑っちゃってるんですよ。
少なくとも自分にはそう思えて、「愉快な映画は苦手」という発言に至ったのだと感じております。
もっと言えば、ヘラヘラしながら笑わせようとしてる空気感が、私には苦手でした。
冒頭のナレーションしかり、楽しげなチョビヒゲを付けたジムキャリーのハイテンションなノリしかり、ソニックのニヤり顔しかり。。
大事なキャラクターが全員ヘラヘラしてるんですよ。
この映画で何を目指したのか分かりませんが、笑いを目指しているのあれば、ヘラヘラしたノリでギャグを言ってみたり、おふざけな行動をされても他人事のようにしか思えなくて笑えなくて。
笑いを目指してなかったとしたら、随所にみられるギャグ的なセリフは一体何だったんだと。数秒のあのシーンは何の意味があったんだと。
どちらにしても、頭を悩ませる映画になってしまいました。
以下個人的な話ですが、愉快な映画で笑えないって、、、相当心がすさんでるのかな、俺?
笑えなくても、愉快な映画ってだけで心に楽しさが伝搬するんだと思います、普通は。例えば、この映画を見た純粋無垢な子どもたちはキャッキャすると思うんです。
でも自分にとっては何も楽しい気持ちになれなくて、、、他人が喜んだり笑ったりすることに共感できてないんですかね。
そう考えると、愉快な映画が苦手って。。。俺、大丈夫かな?
と、自分の精神状態を心配する映画でもあるなと思いました笑
なんだろう、仕事終わりにレイトショーで見たのが悪いのかな?
5日間休まずに働いた自分にとっては、自分に寄り添ってくれる映画を求めていたのかな? ハイテンションで愉快な映画って見てて辛いんですよ。。
なんだろう、ファミレスで隣りに座ったグループが大爆笑してるけど、何で笑ってるか全くわからなくて自分にとっては単なる騒音でしかないあの感じというか。
細かいことなんですけど、今回ジムキャリーが付けてたゴキゲンなヒゲにイライラしてしまった自分がいるんです。ほら、パーティとかで笑いを取るために付ける、先端がキュッと曲がってるあのヒゲ。「チャーリー・モルデカイ」のようなヒゲとも言えますが。
あのヒゲが本作のすべてを象徴してるなと思って。楽しげで、ヘラヘラしてて。自分が楽しけりゃいいじゃんってノリで映画撮ってる感じ。。なんか苦手なんだよなぁ。。
そりゃ大人になれば純粋に楽しめないことだってあるし、好き嫌いもある。
自分は愉快な映画が苦手で、ヘラヘラしながら笑わせようとする映画が苦手。
そんな自分の直感を信じたいし自分を肯定したい自分もいる。
ただ、もっと他人が愉快にしてる様子を素直に喜んだり、微笑ましく見れるスタンスを自分の中で作った方が良いかもしれないですね。
もっと前向きに、純粋な気持ちで映画を見るのも良いですね。
・・・って何の話だよ、これ!!!!
すいません、久しぶりに自分語りをしたら楽しくて止まらなくなってしまいました笑
はい、もう終わりまーす。
ソニックのリアリティラインが気になってしまった
ソニックのような異世界からきたキャラクターを実世界に出す場合に重要なのが、リアリティライン。
ソニックは非現実的なキャラクターであり、フルCGで描いてることもあり、そのままゲームから飛び出してきたような2.5次元的な見た目なんですよね。
だからこそ、非現実的なソニックを見た人がどのように感じるのか、どのように扱うのか、何かしらの線引きが必要かと思うんです。
他の映画の場合、非現実的なキャラクターを出す時には細心の注意を払います。古くは「E.T」だったり「グレムリン」だったり、非現実的なキャラクターを異物として扱ってる場合が多いです。最近だと「宇宙人ポール」が良かったですね。
今回のソニックの場合、最初は上に挙げた映画と同じようにソニックを異物として扱っていたんです。
何より、ソニック自身が自分は異物だと感じていた。だから友達がずっと出来なかったんです。そう考えると、一人野球をするシーンってすごく寂しくて悲しくなるんですよ。
そりゃゲームのキャラクターが現実に出てきたらビビるものw
ソニックは完全に異物で、人間が見たら卒倒するレベル。
そういう線引きをしてる映画なんだと思ったんですよ。リアリティラインは一度決めたら、変更してはいけない。変更する場合は、理由が必要だと思うんです。
しかし、トムとソニックがバーに行くシーンでリアリティラインが一変してしまうんですよ。。
ソニックは少しでも異物に見えないように服を着てカモフラージュしてるんですけど、顔に関しては何もメイクせずにむき出し状態で。
これ、今までのリアリティラインだったら絶対に周りから変な目で見られるじゃないですか?悲鳴モノじゃないですか?
なんですけど、店員がソニックを見て言い放ったのは、「こちらお子様ですか?」的なセリフで。どうやら店員はソニックを子供だと認識してるようなんです。
おいおいおいおいおい!!!!
なんでソニックが子供に見えるんだよ、人間に見えるんだよ!!!!
ソニックの顔見て子供だと思わないでしょうが!!!
「名探偵ピカチュウ」みたいに、ポケモンが当たり前にいる世界観なら問題ないですよ。でも本作は違うでしょうが!!
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大人の事情もあって、顔を隠し、ソニックに完全な変装をさせるのは難しかったかもしれない。
もしかしたら、店員はソニックの顔が一切見えなかったのかもしれない。
ただ、トムに絡んできたチンピラは完全にソニックの顔を見てるよね?なんであそこで驚かなかったの? あのチンピラはソニックを前に見たことあるの?なんで抵抗ないの?
これまで異物として扱ってきたソニックを、なんで子供という認識に置き換えてしまうのか、なぜケンカするときはソニックを見ても驚かないのか。
ちなみに、バーを出てからしばらく経って、トムが彼女の実家を訪れるシーンがありますよね。
そこでソニックを見た彼女のお母さんは卒倒してしまうんですよ。
ほら、またリアリティラインが変わっちゃったよ。。
細かいところなんですけど、ソニックと現実世界との関わり方をちゃんと徹底してくれないと、「友達がいない」というソニックの大きな悩みもすべて無駄になってしまうわけですよ。
ご都合主義感が溢れて配慮がない。本当に残念な瞬間でした。
まとめ
色々文句を言ってきましたが、ソニックが高速移動しすぎて時が止まっているように見えるシーンなど、頑張ってる描写は多くありました。
それに、冒頭のパラマウントとセガのクレジットには両手を上げて喜びましたよ!!
パラマウントのクレジットでは、ソニックのキャラクターと親和性を持たせるために、星が移動するときに「チャリンチャリン」と効果音がつくところなんて最高ですし。
あと、なんと言ってもセガのオープニングクレジットですよ!!
いつもセガサターンやドリキャスやゲーセンで見てきた「SEGA」の文字が、劇場で流れてるんですよ? 何千画面もあるSEGAのゲーム画面を一つのピクセルに見立てて、「SEGA」の文字にするなんともシャレオツな作り。
これだけでもう100億点だったんですけどね笑
ただ、映画本編で100億点マイナスになってしまいました。。
今の私にとっては、愉快な映画は苦手なのです。
これが将来、子供が出来て一緒に鑑賞すると違って見えるんだろうなあ。。
はい、ただ今の段階では到底楽しめるものではございませんでした!!
39点 / 100点