[はじめに]
あけましておめでとうございます!!!
今年もMachinakaの日記をよろしくお願い致します!!
新年明けまして一発目に評論する映画はこちら!
「ホイットニー オールウェイズ・ラブ・ユー」
それでは「ホイットニー オールウェイズ・ラブ・ユー」、感想・解説、ネタバレありでいってみよー!!!!
[あらすじ]
・ホイットニー・ヒューストンの素顔に迫るドキュメンタリー。1980~90年代を代表する女性シンガーで、グラミー賞に8度輝き、全世界で2億枚以上のアルバム売り上げたホイットニー・ヒューストン。その輝かしい栄光の陰でボビー・ブラウンとの結婚を境に、薬物問題、複雑な家族問題などが話題を集めるようになり、2012年2月に48歳という若さで不慮の死を遂げた。ホイットニー・ヒューストン財団公認による本作では、ホームビデオなどの映像や音源など、膨大なアーカイブから未発表素材のほか、彼女の家族、友人、仕事仲間などの証言から、ホイットニー・ヒューストンの真の姿を紡いでいく。監督は「ブラック・セプテンバー 五輪テロの真実」で第72回アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞したケビン・マクドナルド。
映画の感想
現時点で2019年ベストじゃぁぁ!!!! テレビでは絶対に映らない映像、家のスピーカーじゃ絶対に鳴らせない音響!!
アリー、ボヘミアンの快進撃に続いてほしい!
はぁ、、、もうこれ言っちゃっていいんですかね?
2019年、現時点でぶっちぎりの今年ベストです!!!!
ねぇ、今でも驚いてますよ、私。。 まさか新年一発目にこんな素晴らしい映画に出会うとは思いませんでした。いやぁ、、間違いなく現時点で今年ベストだよ。。。
ホイットニー・ヒューストンという偉大すぎる歌姫のドキュメンタリーということで、非常に抑えるところは抑えている作品ではあるんです。ベタっちゃあベタです。
みんなが一番知っているあの名曲「I Always Love You」をメインに、デビューしたきっかけや彼女の母であり偉大な歌手であるシシー・ヒューストンの話だったり、弟のケビン・パットの話だったり、父の話だったり、ボビー・ブラウンの話だったり、多くの関係者からの証言をもとに、彼女の人生が浮き彫りになっていく。
そこまで奇をてらわない演出ではあったんですけど、どんどんホイットニーに引き込まれていく自分がいました。1秒たりとも飽きることがなかったんですよ。
これ、ドキュメンタリー映画だと珍しいんです。どうしても関係者の証言ばかり見てしまうと、絵が変わらないし単調だし、インタビュー受けてる人は普通にしか喋らないので、映画として見せるにはあまりにも向いてないというか。
でも、今作はインタビュー映像を出来るだけ小分けにし、ホイットニーの出演映像をふんだんにカットインさせることでドキュメンタリー特有の退屈さを断ち切っておりました。
そして、ホイットニーという最強の歌姫ならではの、迫力あるライブシーンや歌唱力。。ていうか歌唱力。。歌唱力が存分に伝わる音楽映画でございました。
アイフォンやテレビのスピーカーなら感動できないです、これ。是非とも映画館の音響で楽しんでほしいです。
「アリー」や「ボヘミアン・ラプソディ」が流行っている今だからこそ、音楽映画に注目が集まるからこそ、見てほしいと思います。
www.machinaka-movie-review.com
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なぜなら、ホイットニーの人生そのものが、実は「アリー」のジャクソンや「ボヘミアン・ラプソディ」のフレディーと非常に似ていると感じたからです。ただ、今作はドキュメンタリーであって、上の2作のようにフィクションではないんですよ。
完全にフィクションの「アリー」でもなく、虚実が入り混じり賛否が分かれている「ボヘミアン」でもない。事実しか入っていないドキュメンタリー映画の今作では、ホイットニーは事実そのものです。
アリーのレディ・ガガやジャクソンも良い、ボヘプのラミ・マレックも頑張っている、素晴らしい! でも、この映画の主役はホイットニー本人であり、本物であり、事実なんですよ。
実在した歌手の事実を描いた映画を見るのも、素敵な音楽映画との出会いだと思います。
ホイットニーの本当の死因は?
彼女の非常に複雑な家庭環境が、彼女を形成し、そして破滅に追いやってしまったのです。
今作でも複雑な家庭環境がこれでもかというほど描かれ、非常に膨大な情報量が注ぎ込まれるのですが、アベンジャーズばりの情報の交通整理力によって、ホイットニーの家庭環境が明らかになります。
おそらくテレビではあまり報道されてないですが、彼女は小さい頃にイトコのディ・ディ・ワーウィックから性的虐待を受けていたという事実が、この映画で明らかになります。このことが大きなトラウマを生み、自身の性的趣向が分からなくなり、自分を見失っていったという描かれ方をしています。
さらに、プロデューサーも兼任した父親から、レコード会社の契約で揉めてしまい、1億ドルもの賠償金を掛けて訴えられてしまいます。
さらに、さらに、夫のボビー・ブラウンから歌手活動を嫉妬され、離婚されてしまいます。この部分、「アリー」におけるアリーとジャクソンの関係に似通っている部分がありました。
家族からも、夫からも愛想を尽かされてしまったホイットニー。この映画では、「Always love you」という愛の歌とは裏腹に、彼女自身が誰からも愛されなかったという事実が、皮肉的に描かれていきます。
愛されなかったというか、途中までは愛されてたんだけど結局愛想を尽かされてしまったという言い方をしたほうがいいんでしょうかね。
別に、彼女の性格が傲慢だからとか、そういうわけじゃないんです。ただ、出会う人出会う人が、悪かった。。
もしくは、才能に溢れすぎた彼女に嫉妬してしまった人間の醜い部分が透けて見える映画でもありました。
活躍すればするほど人生が過酷になっていく、歌姫の知られざる苦悩を味わうこととなりました。こんな悲惨な話、ありますか?
彼女がここまで活躍せずに、そこそこの歌姫だったらどうだったんだろう?
なぜ彼女が活躍すると、周りは厳しくなってしまうのか?
ホイットニーが女じゃなく男だったら、親や夫ボビー・ブラウンは嫉妬しなかったんじゃね?
など、男の女に対する嫉妬など、男女の違いについても考えさせられる映画でありました。
愛の歌を歌う彼女でしたが、実際には周りから妬まれ、愛が枯渇していたのです。愛があれば彼女は溺死することはなかった。
ドラッグに溺れたのも、誰からも愛されるポップアイコンであり歌姫のホイットニー・ヒューストンを演じすぎて、本当の自分が見えなくなってしまったのが原因でしょう。
もう一つの名曲がここに
この映画を見て本当に良かったのは、彼女の名曲をもう一つ知れたこと。
湾岸戦争開幕から間もなくして、スーパーボウルでの国歌斉唱シーン。この映画では、この国歌こそがホイットニーの「名曲」として描かれるのです。
Whitney Houston - Star Spangled Banner
アリーは単なる歌手ではなく、様々な「象徴的存在」であったことが伝えられます。
もっとも大きいものは、「自由」を象徴している存在であったこと。
黒人で、女性で、まだ南アフリカではアパルトヘイトが続いていた時代であり「自由」が制限されていたときに、ホイットニーという存在がどれだけ大きかったのか、この映画で分かります。
「自由の象徴」であったホイットニーが国歌を歌い、国威発揚を行うことで、ホイットニーが「動く自由の女神」となる瞬間が生まれるわけですよ。
このシーンの後、アメリカ人に「ホイットニーと言えば何の曲が有名?」とインタビューする映像が流れるんですけど、みんな「国歌」だって答えるんですよね。それほどこのスーパーボウルの国歌斉唱はアメリカ人に影響を与え、永遠に語り継がれるものとなったのです。
I always love youより、こっちの国歌の方がすごく泣けたきちゃったんですよねぇ。。。単なる歌じゃなくて、なんかこう、力をもらえるような歌っていうか。
例えがチープですけど、ほら、マクロスとかで歌を歌うと力がみなぎったりすることってあるじゃないですか? ドラクエで吟遊詩人が歌を歌うとバイキルトみたいな効果になること、あるじゃないですか?
あんな感じでホイットニーの国歌斉唱は、すごくパワーをもらえるというか、なんというか、、、
とにかく、映画館で国歌斉唱シーンを体験してください。オススメでございます。