ネタバレありで感想と解説を始めます
今回公開する映画はこちら!
「マーウェン」
メインキャストをベンチに座らせるの、本当に好きだよねぇ、この監督。
確か前は「マリアンヌ」とか、「ザ・ウォーク」とか。
www.machinaka-movie-review.com
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ロバート・ゼメキス最新作です。の割には、公開規模がすごく小さい。
都心ではシャンテとか、その他マイナーな映画館だけ。
主演はスティーブ・カレルということで、一つ気づいたことがあるんです。
公開規模が小さくてスティーブ・カレルが出てる映画は、シャンテで上映する確率が高い。
これも。
これも。
全部シャンテで見たよ!!!
なんなんだろうね。
そして、今作のマーウェンもシャンテで鑑賞予定ですww
それでは「マーウェン」、感想・解説、ネタバレありでいってみよー!!!!
あらすじ
・「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「フォレスト・ガンプ 一期一会」のロバート・ゼメキス監督が、「バイス」「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」のスティーブ・カレルを主演に迎え、暴行を受けて心身ともに大きな傷を負った主人公が、独自の世界観でカメラマンとして認められ、現実と向き合う勇気を獲得していく姿を、実話をもとに描いたヒューマンドラマ。5人の男たちから暴行を受け、瀕死の重症を負ったマーク・ホーガンキャンプ。昏睡状態から目覚めた彼は、自分の名前も覚えておらず、歩くこともままならない状態だった。脳に障害を抱え、PTSDにも苦しむマークは、リハビリのためフィギュアの撮影を始め、自分や友人たち、そして自分を襲った男たちを模した人形を使って空想の世界「マーウェン」を作り上げる。マーウェンの中では、G.I.ジョーのホーギー大佐と5人のバービー人形がナチス親衛隊と日々戦いを繰り広げ、その様子を撮影したマークの写真は次第に評価され、やがて個展が開かれることになるが……。
映画の感想
ゼメキスのセルフオマージュたっぷりで描く、一癖も二癖もある男の奮闘記!!
スティーブカレル史上、持ってもヘンテコな役かも
あまり予習をしなかったせいか、映画を見て驚きました。今回は予告編すらロクに見てないですからねw
何も調べずにいきなり鑑賞した私にとっては、まず出てくる感想が・・・
ヘンな映画!!
第二次世界大戦のアメリカーナチスの戦線が舞台となり、飛行機から脱出するスティーブ・カレル。。。 と思いきや、彼にそっくりな人形が喋っている。
周りもよく見ると、模型の森や車が置かれている。
人間はおらず、人形たちの戦争映画が勝手に始まる。
スティーブ・カレルにそっくりな米軍大尉は、戦争中にも関わらずなぜか美人女性に囲まれて生活しており、女性と一緒にナチスを倒す物語が冒頭に流れる。
人形劇は唐突に打ち切られ、何かに取り憑かれたように、人形の写真を撮りまくるスティーブカレルが映る。
これが冒頭10分くらいの内容。。。
今、俺は何を見せられてるんだろうwww え、なぜ人形なんですか。
何も説明がないまま、しばらく映画は流れていく。
次第に彼が過去に抱えていた大きなトラウマや、今解決すべき問題が提示されていくのですが、最初のツカミでグイグイ引き寄せられてしまいました。
こいつ、なんかヘンだけど理由があるんだろうなぁ、人形とジオラマを作っているのは、もしかして箱庭療法なのかなぁ、と色んな想像をすることに。
説明的にならず、大迫力の映像で攻めるのがゼメキス監督の美点であると思うのですが、今回は人形劇の方が最初に流れたこともあり、すごい映像だけどなんかヘンテコだなぁというのが正直なところで。
奇妙な設定ながらも、説得力ある映像とスティーブ・カレルの演技力に引き込まれてしまいました。
スティーブ・カレルといえば、「40歳の童貞男」でフィギュアやミニチュアを集めていたけども、今作はそれの比じゃないですよ。誰がどう見ても、「この人大丈夫?」と思ってしまう役柄で。
これをスティーブ・カレルが演じるから、余計に真実味を帯びるというか、見事な配役だったと思います。
あそこまで詳細に戦地を再現しているので、ミリタリーオタクかと思ってしまうんですけど、ナチスのマークである鉤十字を見ると、なぜか叫んで逃げ出しちゃうんですよねww
で、人形のスティーブの周りにいる女性は、彼が過去に出会ってきた女性だったり、今付き合いのある女性の名前をつけてるんですよね。。
な、なんという設定。。
これはおそらく、というか間違いなく、箱庭療法だったと思います。
過去に大きなトラウマを抱え、精神が安定しない人には箱庭療法によって、コミュニケーション能力や過去の記憶を回復させていく治療法なんですよね。
ヘレディタリーでもあったよね。お人形。
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バックトゥーザフューチャーの意味
スティーブ・カレルのヘンテコ趣味が炸裂するだけの映画かと思ったら、そうでもないんですよ。ま、当たり前ですけどww
ヘンテコにも見える彼の趣味は実は箱庭療法で、治療行為。
なぜかというと、彼は過去に大きなトラウマを抱え、過去の記憶がごっそり消え去ってしまっているのです。
そのトラウマとおさらばできればいいのですが、現実ではまだ対峙しないといけなくて、彼は今一度、過去と向き合う必要がある。
過去に起こったことを振り返り、現実に戻ってこなければいけない役割を背負わされているのです。。
過去から現在に戻る、つまり過去から未来に行くということで、今作でやってることはまさしく「バックトゥーザフューチャー」なんですよね。皆さんご存知、今作を監督したゼメキス監督の代表作ですけども。
バックトゥーザフューチャーはコメディで力強いマイケル・J・フォックスが主人公ということもあり、過去を振り返ることに何も躊躇がないんですけども、今作のスティーブ・カレルはまぁ弱い。
治療のための箱庭療法のはずが、人形に逃げて逃げて、現実を見ない。
過去のトラウマに対峙することはこれほど辛いものなのか、痛いほど分かる映画になっているんですよ。
ロバート・ゼメキス監督の作品って、何をやっても「バックトゥーザフューチャー」になるんだなぁ、とこの映画を見て感じましたね。
一番思い出した映画は、「フォレストガンプ」ですね。今作がベンチに座っているポスターになっていたのは、そういう意味があったんですね。
過去を振り返り、今につなげる。それが、未来の自分になっていく。そんな当たり前のメッセージですが、ゼメキス監督が目指してるものなんだろうと思いました。
バックトゥーザフューチャーという意味は、直訳すれば「未来に戻る」になりますが、なぜ「バック」という言葉をあえて使っているんでしょう。
我々が未来に行くためには、絶対に過去から出発しないといけないんですよね。
未来から未来へは、いけないわけです。未来から未来に行く時、どちらか一つは必ず過去になるわけですから。
バックトゥーザフューチャーの意味が、少し分かったような気がしました。