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映画「ティーンスピリット」ネタバレあり感想解説と評価 青春音楽映画を逸脱したグレイテストショーマン達の功罪

 
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この記事では、「ティーンスピリット」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次
 

「ティーンスピリット」のネタバレありで感想と解説(短評)

 
 

 

今回批評する映画はこちら!

 

「ティーンスピリット」

 
 

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(C)2018 VIOLET DREAMS LIMITED.

 

エルファニングと「ララランド」チームがタッグを組んだ青春音楽映画。正直エルファニングよりも「ララランド」という触れ込みにやられ、鑑賞。
 
多くの青春音楽映画を見てきたが、これほどナチュラルで抑制の効いた演出も珍しい。
 
若さ☆バクハツ☆イェイ!
 
私には音楽でしか生きられないの!
 
といったようなアツさが全く言っていいほどない。
基本的には能面のエル・ファニングが消去法的に音楽の道に進んでいき、その後も淡々とオーディションに勝ち進んでいくのが印象的だった。
 
そんな落ち着いた青春映画でいいのか、それで気持ちが伝わるのか? と心配にもなったが、エル・ファニングの顔面コミュニケーション能力、監督の映像的説得力の高さによって、内に秘めた青春の苦悩と葛藤、そして音楽への熱意が提示されている。
 
泣き叫び喚くこともなく、若さゆえのイタさが露出することも少ない。
極めて大人しい青春映画ではあるのだが、ストーリーに密接した楽曲とエル・ファニングのパフォーマンスによって持って行こうとした作品にも思える。
 
その画策は見事に的中し、エル・ファニングの芸達者ぶりを堪能する映画となっている。エル・ファニング以外成立しえない、クセが凄い青春音楽映画であった。

 

 

 

 
 

あらすじ

  
・「マレフィセント」「20センチュリー・ウーマン」のエル・ファニングが主演し、本格的な歌唱シーンにも挑戦した青春音楽ドラマ。イギリスのワイト島で、移民として母子家庭で育った内気な少女ヴァイオレット・バレンスキは、現実の世界から自分を解き放ってくれる音楽を心のよりどころに生きていた。ある時、国際的に有名な人気オーディション番組「ティーンスピリット」の予選が地元で行われることを知ったヴァイオレットは、退屈な田舎町を抜け出して歌手になる夢をつかむため、オーディションに挑む決意をするが……。監督・脚本は、名匠アンソニー・ミンゲラを父に持ち俳優としても活躍するマックス・ミンゲラ。製作に「ロケットマン」「リトル・ダンサー」の俳優ジェイミー・ベル。

 

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クセが強い、独特な音楽映画表現の理由は?

 

映画には三幕構成があり、音楽で成り上がっていく映画なら必ず用意されるべき映画文法が、今作には存在しない。
 
例えば、オーディションで勝ち進み歌手になるといったプロセスが存在する音楽映画ならば、オーディションにどうやって勝ち進むかを丁寧に描くのは必然である。例えば、以下の映画達はどのようにしてオーディションに勝ち進んでいくか、プロの歌手になっていくか、そのロジックに重きが置かれている映画である。
 
 
どんなライバルがいて、どんな曲で戦って勝ち進んでいくかに多くの時間が割かれることが多い。今作もタイトルの「ティーンスピリット」というオーディション番組に出演し、勝ち進んでいくエル・ファニングなのだが、彼女がどのように訓練し、楽曲を用意したのかといった描写のほとんどが超圧縮されているのだ。
 
CMのように10数秒訓練シーンやオーディションシーンが流れ、気づけば準決勝に進んでいる作りになっている。
 
あまりの省略表現に、
 
あれ、寝落ちしたのかな、俺?
 
と少し焦ってしまった。
 
上映時間の90分のせいか、スタイリッシュに描きたいのか、理由は不明だが、とにかくエル・ファニングが音楽に対して特訓しているシーンが少ないのが印象的だった。
 
その代わり、パフォーマンス部分はキッチリ見せてくれる。
10代のオーディション番組とは思えないほどのハイクオリティーなダンス、歌唱力、衣装、照明演出。どれを取っても10代離れしているのだ。
 
訓練シーンを飛ばし、成長のロジックを見せずにプロのアーティスト並みのパフォーマンスを見せるため、エル・ファニングが音楽の素人ということを忘れるほどだった(役柄でも、彼女のキャリアでも)。
 
また、殺風景なオーディション会場で歌を歌い始める場面で突然、ミュージックビデオのような映像が流れ始め、歌詞から浮かび上がる風景をそのまま映像化するのだ。ただのオーディションであっても、映画のパフォーマンスとして粗末なものにならないよう、最大限の配慮がされている。
 
ちなみに以下の映像は、最後に「GUCC◯」とか「FEND◯」とか「PRAD◯」とかのクレジットを入れれば、それだけで高級ブランドのCMが作れてしまう程の高クオリティなものだった。。
 
 
エル・ファニングの突出したビジュアルと異常にクオリティの高いミュージックビデオによって、観客の心を掴み取って離さない。
 
驚異の音楽的パワープレイによって、この映像だけで100億点出したくなるような気分にさせてくれる。
 

 

もちろん、オーディション決勝のパフォーマンスも最高!エル・ファニングはアーティストとしてもやっていけそうに見えてしまうのだから、映画の力は恐ろしい。。

 


teen spirit elle fanning - don't kill my vibe

 
 
 
今作で楽曲を提供しているのは「ララランド」を製作した音楽チーム。
楽曲も素晴らしいが、劇中のパフォーマンスの高さにも驚くべきものがある。
 
映画で初めてお披露目する楽曲で、いかに自分の音楽を売り込むために映像も加え、最高のパフォーマンスとして見せたい意欲を感じてしまうのだ。
 
エル・ファニングが音楽の素人であろうが何だろうが、音楽を最大限に活かして観客を喜ばせようとする、まさしく「グレイテストショーマン」としての意地とプライドをひしひしと感じることができたのが何よりの収穫である。
 
 
 

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冷静になろう、これは青春音楽映画なのか?

 

 

・・・ここまで絶賛しておいて何だが、ここまでプロ並みのパフォーマンスを見せられると、青春音楽映画というジャンルを完全に逸脱してると思ってしまうのは、私だけだろうか?

 

青春音楽映画というジャンルに見えて、エル・ファニングが歌詞を考えることもなく、楽器を演奏することもなく、訓練しているシーンも少ない。観客としてはぶっつけ本番で驚愕のパフォーマンスを決めているようにも見えなくない。

 

今作は「ララランド」をはじめとした、ゴリゴリの「グレイテストショーマン」たちによって、高クオリティの音楽と映像が提供され、圧倒されるのは間違いない。

 

しかし冷静になって考えると、エル・ファニング自身が音楽に関与している部分は歌唱を除き皆無であるように感じてしまうのだ。

 

特に印象的なのは、決勝より前のオーディションでの歌唱シーン。あのミュージックビデオは、チートだろう。とさえ感じている。

 

再度説明しておくが、エル・ファニングの歌唱力は素晴らしいし、音楽も素晴らしい、撮影も編集も文句のない出来栄えである。全くもってスキがない。

 

しかし、そのスキのなさこそが青春音楽映画にとって重要な「成長過程」を殺してしまっているように見えるのだ。

 
「あのミュージックビデオなら、そりゃオーディションに通るわ、、」と思ってしまう。
オーディションが始まってからは、「素人の歌い手」としてのエル・ファニングは消え去り、いきなり成長しきっているのが少し納得いかない部分なのだ。。
 
自作の音楽も素晴らしく、観客を楽しませるためにあらゆる工夫をしてくれる製作チームは素晴らしい「グレイテストショーマン」である。
 
しかし、そのグレイトな仕事っぷりがかえって、青春映画の良さを阻害しているのではないか?
 
 
 
いや、本当に素晴らしいライブパフォーマンスを見れたし、素晴らしいミュージックビデオを観れたのは大満足なのだが、完全に素人の枠を超えているように思えて仕方ないのだ。
 
素人が頑張って作った拙いパフォーマンスの方が、青春音楽映画においては胸アツなポイントになると思っている自分としては、エル・ファニングの音楽に対する主体性をもっと描いて欲しかった。
 
ミュージックビデオも、エル・ファニングが作ってもいいくらいだ。
素人が作るミュージックビデオは拙いこと間違いなしだが、時にはケレン味を帯びて可愛くなることもあるのだ。
 
おそらく、今作でエル・ファニングが歌ったシーンはリピート視聴するだろうし、サントラもヘビロテするに違いない。
しかし、映画全体を見返すことは今後あるかどうかを自分の胸に尋ねてみると、その答えはノーなのだ。

 

「グレイテストショーマン」でも、 リピートしているのはミュージカルシーンのみであり、映画全体を見返すことはしない。音楽が際立って良いからこそ、起こってしまう功罪なのである。

 


 

 

 

 

 

エル・ファニング無双

 

少し文句を垂れてしまったが、そんな愚痴をかき消すようにエル・ファニングの佇まいや歌いっぷりに陶酔してしまっている自分がいた。

  

エル・ファニングは10代ながら、ものすごく大人しい。若さバクハツ!なスウィートな17モンスターではないのだ。

 

ameblo.jp

 

しかし、あまり感情を爆発させないからこそ、観客はエル・ファニングの些細な表情を見逃さない。ヴラドと打ち解け、彼女が少し笑っただけで謎の多幸感が押し寄せたことも、筆舌に尽くしがたい経験であった。

 

それくらい今作のエル・ファニングは口を大きく開かないのだ。とにかく彼女は内に篭っている。それを象徴するのがiPodとイヤホンが映るシーンの多用であろう。

 

彼女の音楽の聞き方も歌い方も、全て彼女の内に秘められたものである。

歌も自分の身の回りの人・モノであり、彼女の心情吐露になっているのだから。

 

 

 

 

 

 

 

まとめ

エル・ファニングの素晴らしい歌唱、ララランド製作チームの素晴らしい音楽と映像。

 

映画における音楽の力を改めて感じた一作である。

 

しかし、その仕事の完璧さゆえに、青春音楽映画としてはミスマッチ感が否めなかった。

 

エル・ファニングは素人でイチからオーディションを勝ち上がった物語になっているが、映画を見る限りとても素人とは思えないクオリティの高さなのである。

 

むしろオーディションに失格するべきは彼女の方ではなかったか?

何故ならエル・ファニングのバックにはヴラドの他に「ララランド」製作チームがいたのだから。。。

 

製作陣のクオリティが透けて見えるのは、青春音楽映画としてどうかと思うのだ。

せめて地方のオーディションでは、等身大の素人エル・ファニングの歌唱とパフォーマンスを見せて欲しかった。。

 

いや、エル・ファニングちゃん最高に綺麗だし音楽も映像も素晴らしいんだけど!!!!!最高なんですけど!!!!

 

・・・御免。

 

 

 

 

評価:49点 / 100点 

 
関連画像
 

 

 

 どうでもいいが、エルファニングが最終オーディション前にお酒と男に溺れ、保護者に見放されるシーンは「ブラック・スワン」を思い出した。

 

ブラック・スワン (字幕版)

ブラック・スワン (字幕版)

  • 発売日: 2013/11/26
  • メディア: Prime Video
 

 

 

また、最終オーディションに向かうために長い廊下をワンカットで歩くシーンは、「バードマン」を思い出した。監督、やってみたかったのかな?
 

 

 
 
 
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