「ティーンスピリット」のネタバレありで感想と解説(短評)
今回批評する映画はこちら!
「ティーンスピリット」
109シネマズ川崎にて「#ティーンスピリット」鑑賞!
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2020年1月11日
10代、地方、母子家庭。抑圧された環境の中で輝こうとするエルファニングに共感!
もはやホラー?と思うほど彩度と明度のない色、ナチュラルな撮り方は北欧の映画のよう。
エルファニング、歌もいけるんだなぁ😏
49/100点
あらすじ
・「マレフィセント」「20センチュリー・ウーマン」のエル・ファニングが主演し、本格的な歌唱シーンにも挑戦した青春音楽ドラマ。イギリスのワイト島で、移民として母子家庭で育った内気な少女ヴァイオレット・バレンスキは、現実の世界から自分を解き放ってくれる音楽を心のよりどころに生きていた。ある時、国際的に有名な人気オーディション番組「ティーンスピリット」の予選が地元で行われることを知ったヴァイオレットは、退屈な田舎町を抜け出して歌手になる夢をつかむため、オーディションに挑む決意をするが……。監督・脚本は、名匠アンソニー・ミンゲラを父に持ち俳優としても活躍するマックス・ミンゲラ。製作に「ロケットマン」「リトル・ダンサー」の俳優ジェイミー・ベル。
クセが強い、独特な音楽映画表現の理由は?
もちろん、オーディション決勝のパフォーマンスも最高!エル・ファニングはアーティストとしてもやっていけそうに見えてしまうのだから、映画の力は恐ろしい。。
冷静になろう、これは青春音楽映画なのか?
・・・ここまで絶賛しておいて何だが、ここまでプロ並みのパフォーマンスを見せられると、青春音楽映画というジャンルを完全に逸脱してると思ってしまうのは、私だけだろうか?
青春音楽映画というジャンルに見えて、エル・ファニングが歌詞を考えることもなく、楽器を演奏することもなく、訓練しているシーンも少ない。観客としてはぶっつけ本番で驚愕のパフォーマンスを決めているようにも見えなくない。
今作は「ララランド」をはじめとした、ゴリゴリの「グレイテストショーマン」たちによって、高クオリティの音楽と映像が提供され、圧倒されるのは間違いない。
しかし冷静になって考えると、エル・ファニング自身が音楽に関与している部分は歌唱を除き皆無であるように感じてしまうのだ。
特に印象的なのは、決勝より前のオーディションでの歌唱シーン。あのミュージックビデオは、チートだろう。とさえ感じている。
再度説明しておくが、エル・ファニングの歌唱力は素晴らしいし、音楽も素晴らしい、撮影も編集も文句のない出来栄えである。全くもってスキがない。
しかし、そのスキのなさこそが青春音楽映画にとって重要な「成長過程」を殺してしまっているように見えるのだ。
「グレイテストショーマン」でも、 リピートしているのはミュージカルシーンのみであり、映画全体を見返すことはしない。音楽が際立って良いからこそ、起こってしまう功罪なのである。
エル・ファニング無双
少し文句を垂れてしまったが、そんな愚痴をかき消すようにエル・ファニングの佇まいや歌いっぷりに陶酔してしまっている自分がいた。
エル・ファニングは10代ながら、ものすごく大人しい。若さバクハツ!なスウィートな17モンスターではないのだ。
しかし、あまり感情を爆発させないからこそ、観客はエル・ファニングの些細な表情を見逃さない。ヴラドと打ち解け、彼女が少し笑っただけで謎の多幸感が押し寄せたことも、筆舌に尽くしがたい経験であった。
それくらい今作のエル・ファニングは口を大きく開かないのだ。とにかく彼女は内に篭っている。それを象徴するのがiPodとイヤホンが映るシーンの多用であろう。
彼女の音楽の聞き方も歌い方も、全て彼女の内に秘められたものである。
歌も自分の身の回りの人・モノであり、彼女の心情吐露になっているのだから。
まとめ
エル・ファニングの素晴らしい歌唱、ララランド製作チームの素晴らしい音楽と映像。
映画における音楽の力を改めて感じた一作である。
しかし、その仕事の完璧さゆえに、青春音楽映画としてはミスマッチ感が否めなかった。
エル・ファニングは素人でイチからオーディションを勝ち上がった物語になっているが、映画を見る限りとても素人とは思えないクオリティの高さなのである。
むしろオーディションに失格するべきは彼女の方ではなかったか?
何故ならエル・ファニングのバックにはヴラドの他に「ララランド」製作チームがいたのだから。。。
製作陣のクオリティが透けて見えるのは、青春音楽映画としてどうかと思うのだ。
せめて地方のオーディションでは、等身大の素人エル・ファニングの歌唱とパフォーマンスを見せて欲しかった。。
いや、エル・ファニングちゃん最高に綺麗だし音楽も映像も素晴らしいんだけど!!!!!最高なんですけど!!!!
・・・御免。
評価:49点 / 100点
どうでもいいが、エルファニングが最終オーディション前にお酒と男に溺れ、保護者に見放されるシーンは「ブラック・スワン」を思い出した。