今回は真面目です
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さて、今回は「映画館はクラブじゃない! 〜都市計画的欠点が招く地方映画館の凋落とシネコンの独走」と題して、私なりの考察をさせていただきます。
- 今回は真面目です
- なぜ近くの映画館が消え、シネコンばかり増えるのか
- 原因その① 映画人口の激減
- 原因その② 映画館はクラブじゃない
- 原因その③ シネコンの受け皿となる大型店舗の郊外立地とその原因
- 原因その④ シネコンの立地は大店舗よりアウトローだった
- まとめ
- より詳しく知りたい方のために
なぜ近くの映画館が消え、シネコンばかり増えるのか
[グラフ1:映画館数とスクリーン数と興行収入の推移]
原因その① 映画人口の激減
[グラフ2:洋画邦画別の興行収入と入場者数と平均料金の推移]
明らかに、映画人口の減少が映画館数の絶対数を減らしている原因となっているのです。
ちなみに、1958年には大映の「忠臣蔵」、東映の「忠臣蔵 櫻花の巻・菊花の巻」、「隠し砦の三悪人」「人間の条件」、「楢山節考」、洋画ではヒッチコックの「めまい」などが上映されています。
都市計画の話以前に、この現象を語らずして映画館の減少を語れません。
原因その② 映画館はクラブじゃない
[表1:用途地域による建築物の制限(都市計画法第8条)]
原因その③ シネコンの受け皿となる大型店舗の郊外立地とその原因
[グラフ3:2004年の地方圏における大規模商業施設の立地割合(用途地域別)]
余談ですが、大規模商業施設が立地するためには、都市計画以外にも法律があり、「大規模小売店舗法」という法律がありました。これで大規模商業施設が郊外に立地させないよう、規制していたんです。
しかし、この法律を撤廃させようと圧力を働きかけたのは、なんとアメリカです。しかも時代は1998年。
映画でいうと「バイス」の主人公であるバイス副大統領が現役バリバリの時期です。もしかしてアイツが、日本にシネコンとショッピングセンターを立てまくった張本人なのかもしれません。
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大規模小売店舗法が撤廃されたのは2000年です。もう一度言います。2000年です。
大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律(だいきぼこうりてんぽにおけるこうりぎょうのじぎょうかつどうのちょうせいにかんするほうりつ、昭和48年10月1日法律第109号)とは、大規模小売店舗の商業活動の調整を行なう仕組みを定めた日本の法律である。略称大店法(だいてんほう)。2000年(平成12年)6月1日廃止。
http://ja.wikipedia.org/wiki/大規模小売店舗法
ここで最初にお見せした、グラフ1をもう一度掲載します。
シネコンは何年から激増しているでしょうか・・・?
[グラフ1:映画館数とスクリーン数と興行収入の推移]
原因その④ シネコンの立地は大店舗よりアウトローだった
・・・遠回りな説明で申し訳ないですが、実は劇場・映画館の立地割合も統計でありますw
これを見てみると・・・
[グラフ4:2004年の地方圏における劇場・映画館の立地割合(用途地域別)]
準工業地域が少ないことが分かります。
ただ、よくみてください。なんか白と黒の地域に立地している割合が多いですよね。
なんだこれ?
白の地域は、「非線引き白地」、黒は「都市計画区域外」です。劇場・映画館に関しては、この二つに多く立地しているようです。
一つずつ説明しますね。
まずは「都市計画区域外」
そもそも用途地域って、「都市計画区域」という地域にしか作れないんですね。ちなみに都市計画区域に日本の人口のほとんどが住んでいます。
「都市計画区域外」は、農地と森林地域が大半だと思ってください。つまり人がまずいない場所です。シネコンは、そんな変な場所に立っているのです。
以上の文脈(と言うか法律)を踏まえると、もちろん「都市計画区域外」では「用途地域」による建築物の規制を受けません。つまり、シネコンは好きなだけ開発できてしまう(語弊がありますが、分かりやすさ重視でこうやって説明しておきますね)
一方の「非線引き白地」
用途地域を自治体が指定するとき、「線引き」か「非線引き」を選択することができるんです。「線引き」の場合、「市街化区域」と「市街化調整区域」に明確に区域を分けることができる。「用途地域」は「市街化区域」の中にしか作ることができず、「市街化調整区域」については、基本的に建築物の立地が規制されます。
一方の「非線引き」の場合は、「用途地域」と何も指定されない「白地」に分けることができるんですが、「白地」の場合はもちろん「用途地域」による立地規制を受けない。つまり、「非線引き白地」は「都市計画区域外」と同様に(厳密には違いますが)、シネコンが好きに立地できてしまうのです。
シネコンの立地は、大規模商業施設よりもアウトローかつグレーゾーンな立地なんですよ!
これを映画に例えると、まるで「デイアンドナイト」のような感じです。
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まとめ
以上です!
なんか、日本おかしくね?
こんな適当な立地規制してるから、シネコンばかりが増えて地方の映画館がなくなるんだよね。。
より詳しく知りたい方のために
大店舗について知りたい人はこちら!
映画館について知りたい方はこちら!
都市計画について知りたい方はこちら!
- 作者: 大西隆,明石達生,岸井隆幸,遠藤 薫,長島俊夫,小泉秀樹,松本 昭,杉崎和久
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