- まえがき
- あらすじ
- 「ワンダーウーマン 1984」のネタバレありの感想と解説(短評)
- これぞ真の「多様性」
- 綺麗かつ、明瞭簡潔な冒頭
- スーパーマンを彷彿とさせる娯楽性
- コメディ映画らしいコメディ
- 記憶の中でずっと二人は生きていける
- 露骨なトランプいじりではあったが
- ラストシーンの解釈は? 女性の真の強さとは
- まとめ
まえがき
今回批評する映画はこちら
「ワンダーウーマン 1984」
1作目が公開された時は、DCエクステンデッドユニバースが大惨事で、「バッドマンVSスーパーマン」や「ス―サイドスクワッド」など、本当にドイヒーな作品が作られ続け、DCおよびワーナーの信頼は地に落ちてました。
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が、ワンダーウーマンが内容的にも商業的にも大成功したことで、一気にDCの信頼は回復。
地に落ちていたDC映画を助けた救世主となったわけです。
そして二作目の今、コロナ禍で困窮した映画界を救う切り札になるのか、注目されています。
ディズニーなど他企業が動画配信に踏み切る中、ワーナーは映画館での公開を尊重し、やってくれていることに感謝です。
アメリカではHBO MAXで今作が劇場公開と同時に配信という話もありますが、日本ではまだサービス始まってないんでね。劇場公開のみとなる予定です。
ワンダーウーマン! また映画界、救っちゃってください!
非常に期待している作品です!
それでは「ワンダーウーマン 1984」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。
あらすじ
・DCコミックスが生んだ女性ヒーロー、ワンダーウーマンの誕生と活躍を描き、全世界で大ヒットを記録したアクションエンタテインメント「ワンダーウーマン」の続編。スミソニアン博物館で働く考古学者のダイアナには、幼い頃から厳しい戦闘訓練を受け、ヒーロー界最強とも言われるスーパーパワーを秘めた戦士ワンダーウーマンという、もうひとつの顔があった。1984年、人々の欲望をかなえると声高にうたう実業家マックスの巨大な陰謀と、正体不明の敵チーターの出現により、最強といわれるワンダーウーマンが絶体絶命の危機に陥る。前作でもメガホンをとったパティ・ジェンキンス監督のもと、主人公ダイアナ=ワンダーウーマンを演じるガル・ギャドットが続投し、前作でダイアナと惹かれあった、クリス・パイン演じるスティーブも再び登場する。
「ワンダーウーマン 1984」のネタバレありの感想と解説(短評)
#ワンダーウーマン1984 鑑賞!!
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2020年12月18日
SF、アクション、コメディ、ラブストーリー、あらゆるジャンルを盛り込んだ「多様性」のある娯楽大作。
今、世界に必要な映画はこれだ。
傑作すぎて言葉が出ない。
既に年間ベストを決め、記事も書き終えていたが、どうやら修正が必要なようだ。 pic.twitter.com/XCfzj9ZkNw
これぞ真の「多様性」
綺麗かつ、明瞭簡潔な冒頭
で、その徒競走でダイアナはショートカットという「ズル」をして、優勝を目指すんですよね。
が、全てお見通しのアンティオペ将軍はズルをしたダイアナを通せんぼし、1位になるのを阻止します。
そこで「ウソをついてはいけない」と説教。そして「あなたが活躍するのは今じゃない」と言って、アマゾン編は終了。
正直、「だから何?」って始まりだったんですけど、この「嘘をついてはいけない」がまさか最後の最後に効いてくるとは。。
非常に巧みな作りだと思います。え? ベタだって? 分かりやすい伏線だって?
ベタで結構!これぞ娯楽大作の極みでしょ!!
そしてタイトルクレジット「WW84」が流れる。ここで80'sっぽい効果音が流れるのもオツですよねぇ。可愛いですよね。
前作の頃からそうでしたが、DC映画だからといって肩ひじ張らずに、楽しい娯楽映画を作ろうという気概がビンビンと伝わってくる冒頭でございました!
スーパーマンを彷彿とさせる娯楽性
今作を見ていて真っ先に思いついたのは、同じくDCのヒーロー映画である「スーパーマン(1978)」でした。
空を飛ぶ描写でスーパーマンのポーズをしていたり、時間を巻き戻す描写。
何より痛快でユーモラスな作風、恋愛・アクションなどテンコ盛りの内容。
今作の上映時間151分。スーパーマンのディレクターズカット版の上映時間は、152分。
スーパーマンとの共通点が、非常に多い気がします。
話は変わりますが、従来までの重苦しいDC映画を払しょくする動きが、最近のDC映画では見られます。
特に、マーベル映画に寄せる傾向が強いように感じます。
過去作「ジャスティスリーグ」では「アベンジャーズ」のジョス・ウィードンを監督に起用したり、神話的で近寄りがたいキャラクターをフレンドリーにしたり(アクアマンなど)、マーベル映画に似てきていると感じます。
この傾向は今後も続くでしょう。
が、今作はマーベル映画とも似ても似つかぬ、まったく庶民派ではない神話的なワンダーウーマンを登場させ、かつてのスーパーマン(1978)を彷彿とさせる内容になっておりました。
ヒーローだったら何でもあり。
近寄りがたいが憧れる。無類の強さを見せつけた今作のワンダーウーマンは、DC映画の原点を思い出させてくれました。
※原点といっても、こちらの作品ではないですよ。
コメディ映画らしいコメディ
前作もコメディ描写が随所に出てきましたが、今回はキャスティングからその匂いがプンプンでしたね。
まさかの、、クリステン・ウィグですよ!?
ブライズメイズや宇宙人ポール、ゴーストバスターズなどコメディ映画畑の人が、まさかアメコミ映画に選ばれるとは、、。
彼女はリドリー・スコットの「オデッセイ」にも出演するなど、大作には出てはいましたが、このワンダーウーマンの出演は(規模的に)一番大きな作品になったんじゃないですかね?
コメディ映画好きな私としてはですね、正直クリステン・ウィグが出るだけで100億円ですよ?
しかも最初はダサくてもモテない女役で、コメディ映画のノリ全開だったので、「アメコミ映画でコメディ映画らしいコメディをやってくれてるよ!!」と歓喜感激いたしました。
マーベルもコメディ描写はたくさんあるんですけど、彼らはあくまで「イケメン達のシリアスな演技を逆さに取ったオフビートな笑い」が肝なので、コメディ映画らしいギャグはやってくれないわけですよ。
あるいはタイカ・ワイティティのコメディ表現も「マイティソーバトルロイヤル」で光りましたが、あれはあくまで彼の個性が出た作品であって、いわゆるコメディ映画的な描写ではないわけです。
今回クリステン・ウィグが見せてくれたような、度を越したモテない描写こそコメディ映画の真骨頂であって、一見陳腐にも見えてしまうコメディ映画の描写をDC映画に取り入れたことは、コメディ映画として本当にうれしい限りです。
・・・一応補足しておくと、唯一、マーベル映画でも「アントマン」のコメディ描写はコメディ映画らしい装いをしてましたね。
主演のポール・ラッドがアイスショップの店員を演じている様子は誰が見ても分かりやすいダメさを提示しており、コメディ映画らしいなぁと感じました。
ただ、これまで男のヒーローばかりがコメディ描写を担っていたこともあり、女性コメディアンが目立ったヒーロー映画もいまだかつてないことだと、個人的には思っております。
端的に言ってしまえば、自分が大好きなくだらないコメディ映画の主演を張っていたクリステン・ウィグが超大作映画に出てるのが嬉しいってだけなんですけどね。そう言うと個人的な感想にすぎないので、大ぶろしきを敷いてみました笑
言わせてください、これはアメコミ映画界の革命だっ!!
記憶の中でずっと二人は生きていける
記憶の中でずっと二人は生きていける
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今作のスティーブが第1次世界大戦時から84年にワープするように、マーベルのスティーブも第二次世界大戦から現代へワープ(厳密には冬眠から目覚める)わけです。
しかも軍人で、女性経験の少ないカタブツという共通点も込みで。
そして何より、愛する女性に会うために時を超える。
偶然だとは思いますけどね。にしてもキャップと親和性が高かったなぁ。
露骨なトランプいじりではあったが
ヴィランであるマックスを演じたペドロ・パスカル。実に良い演技をしておりました。
これまでの映画よりも、かなり太ってましたよね。
しかもアメリカンドリームを掴まんとする、非常に野心的な男でございました。
彼を一目見た時から勘づいてたんですが、今回のマックスは明らかにトランプ大統領のメタファーですよね?
数々のメディアでも噂されてますが、映画を見た私も完全にトランプだと思っています。
セリフの端々に「偉大な=Great」という単語が頻繁に使用されたり、平気で「嘘や詐欺=FAKE」をつくマックス。
また、石油欲しさに石油王に媚を売り、街に壁を建てる様子など。
もうこれ、どう考えてもトランプじゃねぇかとw アメリカ人ならもちろん、日本でも十分に分かりやすいトランプいじりだったと思います。
そんなマックスがフルボッコにされる映画、で終わらかなかったのが今作の素晴らしいところです。
マックスが子供を大切にする描写や、なぜ彼がグレートになりたかったのか、その背景を丁寧に描いているんですよね。
ラストシーンの解釈は? 女性の真の強さとは
そして最後はワンダーウーマンの超人的な力でなく、あくまで言葉で、マックスに悟らせる形で決着をつけます。
マックスは子供を抱きしめながら、「俺は偉大にならなくてもいい」と完全敗北宣言でシメ。
暴力や暴言でヴィランをやっつけるのではなく、あくまで言葉で。
普通なら「映画的じゃない」と怒るところですが、暴力へのカウンターとしてのセリフであるならば、大歓迎のラストです。
また、このセリフで相手にトドメを指すというやり方は、今回のワンダーウーマンにはとっておきのラストだと思っています。
少し話は変わりますが、最後にワンダーウーマンは「嘘からは何も生まれない」とマックス及び世界中の人々に語り掛けるシーンがありますよね。
この「嘘」とはマックス=トランプに対する皮肉でもありますが、もう一つの「嘘」が隠されていると思っています。
それは、「映画における女性ヒーローの描き方」です。
最近、MeToo運動をきっかけに女性が主人公で男性をやっつける映画が大変増えております。
しかも、女性が男性ばりの腕力を持っているという設定で。文字通りフルボッコする映画が。
これについては、映画だからこそできる表現であったり、単に主人公が男性から女性に変わっただけ、と許容することもできるでしょう。
しかし、ここには大きな嘘があると思います。
現実的に考えて、ワンダーウーマンのような超人はもちろんのこと、世界中にいる女性は腕力では男性に敵いません。暴力を振るうのも振るわれるのも苦手な方が大多数です。
話に戻ると、今作でワンダーウーマンがマックスを「腕力で」負かしてしまうと、現実の女性的には「嘘」のように思えてしまうのです。
だからこそ、彼女はラストでは腕力でなくセリフによる決着を選んだ。
これまた個人的な意見ですが、女性の真の強さは腕力ではなく、コミュニケーション能力の高さ(話す力、聞く力、相手を思いやる力、などなど)にあると感じます。
そこが男性とは決定的に違う点であると、感じます。
そのため、ワンダーウーマンは嘘をつくことなく、本当の女性の強さであるコミュニケーション能力を使ったのだと思います。
日々トレーニングや格闘技に精進する女性の方には大変失礼な話かもしれません。
女性であっても戦闘力が高い方は大勢いらっしゃるのは承知しております。
ただですね、ワンダーウーマンの超人能力は映画ならではの「嘘」に思えて仕方ないのです。
強くたくましく生きるワンダーウーマンも魅力的ですが、現実的には非常にレアキャラです。というか、あんな人いませんよ笑
だからこそ、コミュニケーションを持ってしてヴィランを倒し、世界を救うことが出来たのではないでしょうか?
スーパーマンにもバットマンにも、アイアンマンやキャップにも出来なかった究極の必殺技が、ラストで炸裂したのだと思います。
これぞ女性のワンダーな魅力ではないでしょうか?
これぞ嘘をつかない戦い方ではないでしょうか?
単にフィジカルで攻めるよりも、今作は多くの女性が共感するだろうと、願ってやみません。
まとめ
はい、映画を見る前は「なんだこのビジュアル、SDガンダムじゃん」ってバカにしてたんですが、ここまで傑作だとは思ってもみませんでした。
#ワンダーウーマン1984 のビジュアルを見ると、SDガンダムを思い出すのは俺だけじゃないはず。 pic.twitter.com/DoSBAajKII
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2020年12月18日
もう一度、何度も何度も見たくなる作品です。
コロナ禍の今だからこそ、このような全部入りの娯楽作品を見るべきではないでしょうかね。
心が満たされますよ。
本当に本当に本当に、、、
おススメです!!!!!
-1点分は、最強になったクリステン・ウィグが、まさかの水中感電でノックアウトした肩透かし分ですw
99点 / 100点