まえがき
今回批評する映画はこちら
「余命10年」
いやぁ、、久しぶりすぎてブログの書き方忘れちゃったよ・・・
ちょっとですね、仕事関係でドタバタしておりまして、新作映画が公開日に見れないことが続出しまして、、かれこれ三週間くらい書いてないんじゃないかな?
日課としていたブログが頓挫してしまい、この記事を書いたとしても検索順位が鬼下がりなんじゃないかと不安でございます。
だけど、やるしかないんだよ!!
かれこれ6年くらい続けてきたブログを今更やめるわけにはいかないんですよ。
命ある限り、ブログは続けますのでよろしくお願いいたします!!!
今回は藤井道人ということで、これまで何度も鑑賞して参りましたが今回は「異質」とわざるを得ない!!
藤井監督が余命モノをやるなんて、、、嘘だろ!?
今までこんなに複雑な人間ドラマや社会問題を取り扱ってきたのに・・・
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それでは「余命10年」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。
あらすじ
・SNSを中心に反響を呼んだ小坂流加の同名恋愛小説を、小松菜奈と坂口健太郎の主演、「新聞記者」の藤井道人監督がメガホンで映画化。数万人に1人という不治の病に冒され余命10年を宣告された20歳の茉莉は、生きることに執着しないよう、恋だけはしないことを心に決めていた。ところがある日、地元の同窓会で和人と出会い恋に落ちたことで、彼女の最後の10年は大きく変わっていく。脚本は「8年越しの花嫁 奇跡の実話」の岡田惠和と「凛 りん」の渡邉真子。「君の名は。」「天気の子」など新海誠監督のアニメーション映画で音楽を手がけてきた人気ロックバンドの「RADWIMPS」が、実写映画で初めて劇伴音楽を担当。
「余命10年」のネタバレありの感想と解説(全体)
「#余命10年 」鑑賞 もう何度見たか分からない余命モノを藤井監督ならではの画作りで魅せる。 まぶたが閉じてしまいそうな縦狭な画面比や生気が無い無機質的な色味は格別の映画体験。 が、そんな画とは対照的にウェット過ぎるシーンや蛇足的… https://t.co/RKBkgk2fYQ
革新的な画作りと保守的な演出が際立つ余命モノ
いやぁーー、率直に言って僕は悔しいです。
小松菜奈と坂口健太郎という芸達者で売れっ子のダブルキャスト。
藤井監督という若き才能。
いくらでも余命モノの概念をぶち破る可能性があったのに、結局は保守的な余命モノテンプレの演出まみれになっていく・・・
なんてこった!!! どういうこったよ!!!!
こんな映画に誰がした!? 少なくとも監督やキャストは望んでなかったはずだ!!
もはや伝統芸能にしたいのかと思うほどのお涙頂戴シーンのメガトンラッシュは一体誰得なのだろうか? 諸所制約のある環境だったに違いないが、一体誰がどれほどの指示でテンプレ余命モノに沿うように導いてしまったのか? 誰が黒幕なのか? と、… https://t.co/0ZSredfP3D
藤井監督らしからぬ蛇足的な説明。茉莉が書いたノートをデカデカと見せて、病名や残り寿命の文字を見せつける。なんだよこれ、「はい、説明のお時間どうぇーす!!」と言わんばかりの演出じゃねぇか。
これがテンプレ余命モノと言っているベッタベタな演出の代表例だよ。
それ以外にも告白するシーンを何度も入れてモタつかせたり、「生きたい・・・」と当たり前のことを言わせたり、とにかく全部言葉にしたりノート書いたものを見せたり、誰がどう見ても食傷気味な過剰説明が見てられねぇんだ!!
言い方悪いけどな、こんなことされると萎えるんだよ。立つものも立たないんだよ!!
ただでさえ小松菜奈は個人的にあんまり好みでないというのに、一体どうしてくれんだ!!
そのシーンの前、冒頭では桜が散っていくショットが入っていて、散りゆく桜=余命を表す見事な演出が入っていただけに残念でならない!
このように、せっかく監督が編み出した素晴らしい映画的演出が、保守的なテンプレ余命モノの演出によって潰されてしまうんだ。
一体誰が黒幕なんだ!?
テンプレ余命モノに導いたヤツはどこにいる!?
藤井監督といえば、「新聞記者」や「デイアンドナイト」など、リベラルな思想を持つ真っ当な主人公が、保守的な集団に虐げられる傾向にある。
原作のある余命モノではあるが、藤井監督の作風を考えれば、全く新しい監督らしさ溢れる映画を作ろうとしたが保守的なテンプレ余命モノを作らざるを得ない環境であったと独白しているように見えるのは私だけだろうか?
深読みではあるが、藤井監督が好きだからこそ、あまりに勿体無い映画だと思ってからこそ、あえて言いたんですよ。
これは邦画の余命モノに対する強烈な皮肉だ!!
出資側から「こーゆーシーン入れないと分からないでちょ・・?」と散々言われたルサンチマンを貯めながら撮影頑張ってたと思うんだよ、監督は。
何がなんでも、絶対にベタベタな演出は入れないといけない。
でも、自分の作りたいものも撮りたい。どんな作品であれば、今まで自分が培ってきた、主張したい部分を入れたい。
だからこそ、ベタベタな演出もあえて入れることで「真っ当な映画になるよう全力を尽くしたけど、最終的には保守側にしてやられる」という日本社会の構図のようなメタファーが奇跡的に構築されたのだ。
画作りだけはテンプレ余命モノを超越する
悪いことばかり言ってきたけど、ここでは良い点を挙げていきたい。
どんなベタベタな演出であっても、圧倒的なクオリティを誇る「画の力」だけは素晴らしい。
いくらテンプレ余命モノであったとしても、そんなものは関係ない。
画が良ければ映画の8割は勝利なんだよ!!! 数字の根拠はないけど!!
日本映画らしからぬ暗みのある撮影、ローアングルやハイアングルが目立つ攻めた描写、どれもこれもがテンプレ余命モノには絶対に見れない光景が収められている。
特に興味深かったのは画面の色味。
「デイアンドナイト」、「新聞記者」といった社会派作品と同じような画作りで、光と影を強調させるような明暗のコントラストが際立つ。
また、白でも黒でもなく、彩度の低いグレー味を感じさせる無機質な色のタッチは、今作でも健在。
「ヤクザと家族」の感想でも述べたら、藤井監督は白・黒と二分せずにグレーゾーンを描く。それが現実世界で起きているリアルだから。
上記2作品のみならず、藤井監督作品の常連である今村圭佑さんが撮影をしているから、同じになるのは当然の結果だ。
が、これが余命モノであっても同じ画作りを徹底させることに僕は感動した。
これだけは何も制約を受けてないじゃないか・・・
展開だったりベタな演出は制約されるかもしれないけど、画だけは自由にのびのびと動き回っている・・・
そりゃスローモーションが多かったりもしたけど、そんなことは些細なことさ。
そんな撮影の中でも、一番驚いたのは画面比。
基本的にはスタンダードサイズなのだけど、茉莉が危篤になり再度入院する際に、急に画面が縦方向に狭まりだす。
・・・まるで、茉莉のまぶたが閉じるかのように、視界が狭まっていく。
この演出には驚いた。
そして、スクリーンに映るのは美しい撮影ながらも悲壮的な光景の連続。
時間を圧縮し、こちらの準備もないまま茉莉が急激に衰退していく姿は見ていられない。。
画面比の工夫と映像の内容によって、他の余命モノには絶対に成し得ない唯一無二の名シーンが誕生したのである。
まとめ
非常に判断が難しい。
良い部分も悪い部分もあり、酷評一辺倒になるのも避けたい。
ということで、今回は私なりの採点方法で90点を付けたい。
一般的には高い点数に見えるが、これまでの点数の傾向からして低めの点数である。
全ての映画に良い部分はある。と言う意味でこうした点数配分にしている。
言ってしまえばM1の点数配分と同じなのだ。
このタイミングで知ってほしいのですが、私の映画評の点数はM1方式です。
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) December 19, 2021
普通で90点以上、微妙が89点ですヨロシク
自分の撮りたいものを撮ろうと、革新的な映画にしようと果敢に挑戦した作品ではある。
結果保守的なベタ演出が混じってしまってはいたが、そうした革新と保守が入り混じる映画こそ藤井監督らしさが際立つ映画になっていたのではないか?
僕はそう信じたい。
あと完全な余談だが、茉莉がベッドにいる状態で、元号が令和になったとニュースの音声が流れていたシーンを覚えているだろうか?
ニュースの音声で「元号は、令和です」
とオジサンの声が聞こえたが、あの声は完全に菅元総理の声だった。
余命モノであっても政治的なネタを入れるのかと思わず爆笑してしまった・・・
以上です。ありがとうございました!!
久しぶりにブログ書いたけど、楽しいね!!
90点 / 100点