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映画「あのこは貴族」ネタバレあり感想解説と評価 素っ気なく、味気なく。でもそれが真の東京。

 
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この記事では、「あのこは貴族」のネタバレあり感想解説記事を書いています。
 
 目次

まえがき

 

 

今回批評する映画はこちら

 

「あのこは貴族」

 
 

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(C)山内マリコ/集英社・「あのこは貴族」製作委員会
 
 
劇場の予告で気になっていたのと、東京テアトルが配給ということで、非常に楽しみにしておりました!
 

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門脇麦さんも水原希子さんも劇場では久しぶりですね。

 

門脇さんに関しては、「さよならくちびる」が最後かな。

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予告で流れていた「違う階層にいても、同じ空を見ている」というキャッチコピーが何故か耳にずっと残っていて。かつて東京に住んでいた私にも染みる作品なのかなぁと思って、劇場に馳せ参じます!

 

 

それでは「あのこは貴族」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。

 

 

 

 
 

あらすじ

山内マリコの同名小説を原作に、同じ都会に暮らしながら全く異なる生き方をする2人の女性が自分の人生を切り開こうとする姿を描いた人間ドラマ。都会に生まれ、箱入り娘として育てられた20代後半の華子。「結婚=幸せ」と信じて疑わない彼女は、結婚を考えていた恋人に振られ、初めて人生の岐路に立たされる。あらゆる手段でお相手探しに奔走し、ハンサムで家柄も良い弁護士・幸一郎との結婚が決まるが……。一方、富山から上京し東京で働く美紀は、恋人もおらず仕事にやりがいもなく、都会にしがみつく意味を見いだせずにいた。そんな2人の人生が交錯したことで、それぞれに思いも寄らない世界がひらけていく。「愛の渦」の門脇麦が箱入り娘の華子、「ノルウェイの森」の水原希子が自力で都会を生き抜く美紀を演じる。監督は「グッド・ストライプス」の岨手由貴子。

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映画『あのこは貴族』予告編


 

 
 
 
 
 

「あのこは貴族」のネタバレありの感想と解説(短評)

 

 
 
 
 
 

 

「格差がない」ことを強調した、今のご時世では珍しい映画

 

箱入り娘の華子と上京してがむしゃらに生きる美紀が、1人の男性を通じて出会う。

生きる世界は違っても同じ空を見上げ、一歩ずつ明日を踏み出していく。

 

社会的に格差のある人たちが同じ時と場所を共有する、土地の高低差が身分を表しているという意味では、韓国映画の「パラサイト」や「万引き家族」を思い出します。

 

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しかし今作では、「格差があるように見えて、実は何の差もない」ことを、二人の女性と一人の男性を通じて、描いているんですよね。

 

今、世界的に「格差社会」を訴えた作品が多く公開されており、受賞している作品も数々。

 

そんな時代にも関わらず、「格差がない」ことを強調した今作は、とても貴重な映画であるように思えます。

 

渋谷の松濤に住むような名家のお嬢さんと、富山のフツーの家から上京してきた女の子を同じ目線で語る。

決して交わりそうで交わらない二人が東京に佇む姿に、一抹の奇跡を見たような気がしました。

 

 

 

 

  

今作が作り出したリアルな東京の「空気感」

 

悪い言い方になるかもしれませんが、今作は非常に「ドライ」な映画です。 

 

「パラサイト」や「万引き家族」のように過激な出来事が起こるわけでもなく、我々も体験してきたような日常の風景だけで画が埋められていく。エモさ0%の劇映画なんですよ。

 

華子と美紀が出会うきっかけを踏まえると、昼ドラのようにドロドロした展開になってもおかしくないのに、二人はただ目を合わせて会釈するだけ。

 

コロナ以前の時代を描いた話ですが、常に社会的距離を保っているんです。距離を保っている以上、二人の関係性で話が進むわけでもなく、展開に抑揚がなくなる。

 

ただ、この距離感のキープこそが今作の白眉なんですよね。二人の関係だけでなく、他の役者も必要以上に喜怒哀楽を強調しない。

 

縁起に加えて、今作の撮影、美術・衣装など、あらゆる演出が非常に抑制的なんですよ。

 

例えば華子は、東京のお嬢さんという設定であっても派手な服を着ているわけではなく、和服姿や白・ベージュの洋服が中心で、映像に良い意味で薄みを与えているんですよね。

レストランで豪華な料理やデザートが出てきても、彩度が抑えられていてあまり美味しそうに感じない。

 

一切の派手さがないんですよ、東京でロケしてるのに笑。

 

こうした演技・演出の徹底によって、雨が降ってるシーンでさえも、ドライな空気感が漂うんです。

 

この空気感こそ、僕らの知ってる東京なんですよ。

 

東京に大きな夢や幻想を抱く人も多いかもしれませんが、リアルな東京ってそんな華美なものではありません。

 

全てのヒト・モノがキラキラした夜景に照らされて、外から見ると綺麗に見えるだけです。

 

だから、この映画を見ていてまず感じたのは、居心地の良さなんですよ。そうそう、こういうドライな空気感が東京なんですよ。

 

東京の人は冷たいと言われますけど、補足するならば「冷静」なんです。

 

多くの人が密集して暮らす以上は一定の距離が必要で、1人の人や一つのコトに固執してはいられない。むやみやたらと喋りかけることもなく、介入することもない。

 

今作ではこの東京の空気感を作り出せたことが、最も大きな成功だったと思います。

 

だからこそ、常に落ち着いた画であっても飽きずに見ていられるんですよね。

 

是非とも東京の映画館でご覧いただきたい、そして東京の見え方が変わると嬉しいなぁと今作を見て感じました。

 

 

 

実は私も貴族でした

 

今作を見ていて、少し自分語りがしたくなりました。

 

何を隠そう、私も昔は貴族だったんですよ。

 

ちなみに、独身貴族なのは今も現役続行中だぞっ!!

ってオヤジギャグは早々に済ませておきますね。

 

華子が幼馴染と会っているカフェや、歩いている道を見て、ハッとしました。

 

ここ、昔住んでた場所だって。。。

 

昔住んでた場所を思い出したんですよ。

 

華子が幼馴染と会っているレストランは、内装と外の景色的にシェラトン都ホテルじゃないかな?って思ったり、

 

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https://mimilani.exblog.jp/31342175/

 

華子と幼馴染が歩いている道は、シェラトン都という土地と舗装の色からして、白金台へと続く目黒通りなんじゃないかって思ったり。

 

 

つまり、あのシーンは港区の白金・高輪地域で撮られたんじゃないかって思うんですけど、私も昔その地域に住んでたんですよ。

 

だから、映画で起きている金持ちシーンがあまり非現実的に感じなかったんですおよね。

 

私自身は全くもって貴族ではないんですが、とある事情で港区の件の地域に住んでた時期があるんです。

 

いわば、貴族の疑似体験をしたことがあるんです。華子が過ごした(であろう)場所と同じところに暮らしていて、少しながらですが親近感を覚えました。

 

何が言いたいかというと、今作が示したようにお金持ちと一般人は格差があるようでないってこと。同じレストランを使い(滅多に使ったことないけど)、同じ道を歩くことで、当時の思い出が蘇ってきたんですよ。

 

ちなみに、やはり私には港区の土地は合わず、今では庶民的な場所に住んでおります。

 

家の近くのファミレスといえばロイヤルホストしかなくて、モンクレールのダウンを着た中坊たちが高い飯を食べる光景を、目の当たりにしたのを今でも思い出します。

 

 

東京タワーとアイスキャンディー

 

華子と美紀がベランダで東京タワーを見上げながらアイスキャンディーを食べるあのシーンについて、Twitterで考察しました。

 

 

今作で下ネタは一切出てきませんけど、あのキャンディーは高良健吾さんのメタファーだと思うんですよねぇ。サイズ的にもね、これ以上の言及は避けます!!!笑

 

 

まとめ

これぞ僕の知ってる東京の空気感で、嘘偽りないリアルな東京が描かれておりました。

 

つかず離れずのあの二人の関係性がねぇ、絶妙なんですよ。

 

大きな展開が起こるわけでもなく、喜怒哀楽も控えめな映画ですが、ずっと見続けてられる映画だったなぁ。

 

是非とも皆さん、本当の東京を味わってください!!

 

89点 / 100点 

 
関連画像
 
 
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