- まえがき
- あらすじ
- 「浅田家!」のネタバレありの感想と解説(短評)
- 中野量太監督の作家性が冴え渡る!
- 二宮くんの三重弁が冴え渡る
- この映画は並じゃない、そのワケは?
- 「地方映画」ならではの気になるポイントも
- 鑑賞中に思い出した映画
- まとめ
まえがき
今回批評する映画はこちら
「浅田家!」
はい、中野量太監督最新作ということで、「湯を沸かすほどの熱い愛」から僅か4年。
二宮和也、妻夫木聡、黒木華、菅田将暉という、日本の芸能界の中でもトップクラスに集客力&実力のある俳優が集う作品を撮ることになるなんて、想像してませんでした(すいません)。
しかしこれ、ロケのスケジュール空けるの大変だったろうなぁ〜。。
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ミニシアターの方向に進むのかなぁと思ったら、流す映画がシネコンで流れること流れること。
どんなに規模が大きくなっても、中野監督らしいアットおどろくラストの衝撃だけは、継続してやっていただきたいものですね。
それでは「浅田家!」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。
あらすじ
・様々なシチュエーションでコスプレして撮影するユニークな家族写真で注目を集めた写真家・浅田政志の実話をもとに、二宮和也と妻夫木聡の共演、「湯を沸かすほどの熱い愛」の中野量太監督のメガホンで描いた人間ドラマ。4人家族の次男坊として育ち写真家になった主人公・政志を二宮、やんちゃな弟をあたたかく見守る兄・幸宏を妻夫木が演じ、家族の“愛の絆”や“過去と今”をオリジナル要素を加えつつ描き出す。浅田家の次男・政志は、幼い頃から写真を撮ることが好きだった。写真専門学校に進学した政志は、卒業制作の被写体に家族を選び、浅田家の思い出のシーンを本人たちがコスプレして再現する写真を撮影。その作品は見事、学校長賞を受賞する。卒業後、地元でパチスロ三昧の3年間を送った後、再び写真と向き合うことを決意した政志が被写体に選んだのは、やはり家族だった。様々なシチュエーションを設定しては家族でコスプレして撮影した写真で個展を開催したところ、気に入った出版社が写真集を出版。プロの写真家として歩み始める政志だったが、全国の家族写真の撮影を引き受けるようになり、その家族ならではの写真を模索・撮影するうちに、戸惑いを感じ始める。そんなある日、東日本大震災が起こり……。
「浅田家!」のネタバレありの感想と解説(短評)
#浅田家 鑑賞!
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2020年10月2日
「家族全員を巻き込む大騒動からの一致団結」に持っていくストーリーは、「湯を沸かすほどの熱い愛」に通じる!#GoToトラベル が開始したタイミングで地方が舞台の映画を公開。これぞ真の地方創生だよ!#二宮和也 の三重弁もバツグン!三重県出身の俺が言うから間違いなし!
傑作!! pic.twitter.com/EsoDOYS98S
中野量太監督の作家性が冴え渡る!
これは中野量太監督の作家性だと思うのですが、今作は「家族全員を巻き込む大騒動からの一致団結」が際立つ作品だったように思えます。
これは、「湯を沸かすほどの熱い愛」にも通じる物語展開で、家族の一人が突拍子もない行動に家族を巻き込むことで、次第に家族の絆が深まっていく話、とも言えると思います。
二宮くんが突拍子もない写真撮影に家族を巻き込みながらも、次第に家族がその行動に共感・協調し、そして協力する話になっていましたね。
この「突拍子もない行動」というのが非常に映画的で、中野量太監督の最大の持ち味だと思うんですよね。
まだ中野量太監督作品をご覧になってない方は、是非「湯を沸かすほどの熱い愛」をご覧になってください。
その際は、絶対に今作とは比較しないでください。ドラマチックな展開で言えば、「湯を沸かすほどの熱い愛」の方が圧倒的です。特にラストの感動は多くの映画ファンを驚かせました。
二宮くんの三重弁が冴え渡る
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個人的に上手だった二宮くんの三重弁は、海でお父さんと話してる時に、二宮くんが「何なん?」と少し強めに言うところです。はい、マニアックなのは承知です笑。
標準語だと「何だよ?」に当たると思うのですが、この「何なん?」のイントネーション、言い方、何より相手に対する「何が言いたいんだよ?」の気持ちが存分に伝わる言い方でしたね!! どれだけ練習されたか分かりませんが、、さすがイーストウッド組!二宮くんですね!
嵐のメンバーが出ている映画・三重県が舞台で思い出したんですが、アメブロで嵐に関するブログを書かれている、三重県在住のブロガーさんと以前頻繁に交流させて頂いてたんです。
あの方もご覧になったのかなぁと、少し当時の頃を思い出しましたね。
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ただし、子供の方言の使い方には気になってしまいました。
ところどころ標準語が混じって、もはや何弁かもわからない言葉ばかりになっていて。非常に違和感を覚えてしまいました。
二宮くんみたいに、大阪や東京に行って別の話し方を覚えてしまうと、子供時代の方言って忘れがちになってしまうんです。ただ、子供は生まれた土地の言葉しかしらないから、コッテコテな方言が出るのが当たり前なんですよね。
うーん、これはどうしちゃったんでしょうか? 方言指導が上手く出来なかったのかな? そりゃ年齢的に経験浅いから仕方ないけどさ、もう少し頑張っていただきたかった。
こんなこと言うのはオジサンかもしれないけど、余計な一言だとは重々に承知しておりますが、言わせてください。
キミらは二宮くんより暇じゃないのか?
そうじゃないのか?違うのか?
もっと頑張ってくれ!! 日本映画の未来のためにも!!!
この映画は並じゃない、そのワケは?
別に貶しているわけではないのですが、今作は明らかに一般の映画とは異なります。
東京の場面が写りながらも、今作はあくまで三重県や岩手県などの地方がメイン。
特に気になったのは、鈴鹿サーキットなど三重県内の観光名所が映ったり、津新町駅や近鉄の特急列車が映るシーンがとても多いこと。
このように、あえて地名を明らかにして映画を撮っている点、本編前に三重県の観光CMが流れるあたり・・・
これ、いわゆる「地方映画」ではないでしょうか?
映画評論家・特殊翻訳家の柳下毅一郎さんが精力的に論じている「地方映画」の条件に、本作はガッツリ当てはまるんですよね!
例えば、
・地方で生まれ育った主人公が、上京(あるいは大都会に行く)して夢打ち破れて実家のある地方に帰っていく
・あえて地名を明らかにし、その土地の観光名所を巡る
ような映画が、「地方映画」なのです。今作にも、多分に当てはまるものだと思います。
他にも地方映画としては「オズランド」などが有名かと思います。
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他の映画ならぼかすところを、今作はハッキリと地名が映る。皆さんが思った違和感というのは、地方映画ならではの特徴なんですよね。
個人的に興味深かったのは、三重県出身の私でもかなりマニアックな津新町駅でロケしていたこと笑 実際の浅田家の皆さんが住まわれていた土地だったのでしょうが、津新町でロケをするとは、、、。
どうでもいいですが、津新町駅って特急止まらないんだよなぁ。。
二宮くん、妻夫木さん、黒木華ちゃん、菅田将暉くんなど、とてつもない俳優たちが三重県と岩手県に集結してロケするって、本当にすごいことですよ。
何がすごいかって、この映画を観た人がロケ地を探訪して、いわゆる「聖地巡礼」のような現象が起きるかもしれないってことですよ。
そして、偶然だとは思いますが、今作公開日の前日に、東京発着のGoToトラベルが解禁になったんですよね。
これは本当に素晴らしいことだと思いました。映画界を盛り上げると同時に、疲弊しきった地方都市にも潤いを与えるために、GoToは大賛成なのです。
私、以前は都市計画の研究をしておりまして、特に地方都市の活性化については未だにライフワークにしているのです。
地方映画で地方の映画館が盛り上がり、地方創生が実現すればこれに越したことはありません。
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「地方映画」ならではの気になるポイントも
鑑賞中に思い出した映画
まとめ
はい、中野量太監督が一皮も二皮も剥けた作品であることは、間違いありません。
何度も言いますが、本当にロケのスケジュール合わせるの大変だったと思いますw これで監督、そうとう自信ついたんじゃないのかんぁ。。
これからも日本の大メジャー作品を撮りながらも、監督の作家性を大事にしてほしいと思います。
あと、これは個人的な要望ですが、ミニシアターの中野量太作品も観てみたい!!
今は引っ張りだこで大変かもしれませんが、落ち着いたら是非ミニシアターで流れるような作品を作ってくれ!!!
79点 / 100点