「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」のネタバレありの感想と解説(全体)
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「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」
ライアン・ジョンソン。自身のオリジナル脚本に加え映画監督も兼任する技量を持つ、実力派の映画作家である。
彼を有名にしたのは、紛れもなく「スターウォーズ 最後のジェダイ」
映画の評価は今になって言うつもりはないが、当時はスターウォーズの名前よりも「ライアンがさぁ!!」「おいライアンよ!!」と、怒号とも等しい恨み辛みがネットで叫ばれていたのが記憶に新しい。
こんな紹介の後に言いづらいが、実は今でもEP8肯定派ではある。。
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コテコテのソースをトンカツにかけて食べるのも良い。激辛ラーメンを食べるのも良い。
しかし時には、サラっとした食べものも胃に優しいものだ。
一度食べれば夢中になり、気づけば満足感を得ているのは間違いない。
#ナイブズ・アウト 鑑賞!
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2020年2月1日
最後のジェダイがライアンの最後じゃなくてよかった。。
アッと驚くトリックと推理の面白さはもちろん、映画の力でトリックを絶秒に隠せたのが最高
例えるなら、クセのない「犬神家の一族」、まるで大人のお茶漬けを紅茶で食べているようなサッパリ感!
新たな傑作、爆誕!
あらすじ
・「スター・ウォーズ 最後のジェダイ」のライアン・ジョンソン監督が、アガサ・クリスティーに捧げて脚本を執筆したオリジナルの密室殺人ミステリー。「007」シリーズのダニエル・クレイグ、「キャプテン・アメリカ」「アベンジャーズ」シリーズのクリス・エバンスら豪華キャストが顔をそろえる。世界的ミステリー作家ハーラン・スロンビーの85歳の誕生日パーティーが彼の豪邸で開かれた。その翌朝、ハーランが遺体となって発見される。依頼を受けた名探偵ブノワ・ブランは、事件の調査を進めていく。莫大な資産を抱えるハーランの子どもたちとその家族、家政婦、専属看護師と、屋敷にいた全員が事件の第一容疑者となったことから、裕福な家族の裏側に隠れたさまざまな人間関係があぶりだされていく。名探偵ブラン役をクレイグ、一族の異端児ランサム役をエバンスが演じるほか、クリストファー・プラマー、アナ・デ・アルマス、ジェイミー・リー・カーティスらが出演。
クセのない「犬神家の一族」
・資産家の遺産が血縁以外の人間に渡ろうとする
・遺産を争う家族の醜い様を表す
・飄々とした名探偵が推理していく
・社会風刺が効いている
点で、どうしても「犬神家の一族」を思い出してしまう人も多いのではないか。
しかし、今作は洋画であり、 金田一作品のような悪趣味感もない。今作とは関係ないが、このラベルを見てどれほど見たい人がいるだろうか。。
今作は「犬神家」的な設定があるものの、そこまでキャラクターにクセがなく、見せ場という見せ場も用意されていない。
資産家を演じる俳優=クリストファー・プラマーが出演している点では、「ゲティ家の身代金」を思い出す人もいるのではないか?
ただ、こちらは資産家のクセが強く、今作とは似て非なるものだろう。
とにかく、今作は過度にクセのあるキャラクターはほとんどいない。
言葉が過激だったりするが、全体のトーンと比較すると大人しいと思えてしまうほどだ。
一番過激な人は、クリス・エヴァンスぐらいかもしれない。
ディズニー資本の映画では絶対に言えないFワードを、今作では溢れるようなFワードでまくしたててくれるのが素晴らしい。
キャプテン・アメリカも、鬱憤がたまっていたんだなぁと切に感じる。
また、この映画に限っては「吐くまで取り調べを続けるからな!」を実際にやってるのも愛らしいところだ。
今作は移民問題やアメリカの歴史や保守思想に対して皮肉たっぷりに描いているが、嘘をつくと吐いてしまう女の子が容疑者として描かれるあたりも、悪徳警官による過激な事情聴取を皮肉っているのかもしれない。考えすぎだとも思うが。
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まとめ
余談だが、コメディ映画としても今作は鉄板ネタを徹底しているのも素晴らしい。
おばあちゃんの使い方を心得ている映画は、演出としてプロである。
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スターウォーズによってライアンに様々な感情を抱く人もいると思うが、彼を見限るのは今作を見てからでも遅くはない。
85点 / 100点