- まえがき
- あらすじ
- 「映像研には手を出すな!」のネタバレありの感想と解説(短評)
- アニメを実写化するときの不安の一切を払拭
- 英勉監督の作家性が炸裂!人間の想像力に対する最大の讃歌!
- 会議シーンが全く飽きない!
- 様々な部活動は人間の多様性のメタファー
- まとめ
まえがき
今回批評する映画はこちら
「映像研には手を出すな!」
漫画未読、アニメ未鑑賞、「映像券には手を出すな!」という題名しか知りません。
どうもMachinakaです。
それでは「映像研には手を出すな!」ネタバレあり感想解説と評価、始めます。
あらすじ
・アニメ制作を志す女子高生3人組の青春を描き、2020年1月からは湯浅政明監督によるテレビアニメ版もNHKで放送された大童澄瞳の同名コミックを、人気アイドルグループ「乃木坂46」の齋藤飛鳥、山下美月、梅澤美波の共演で実写映画化。湖に面した芝浜高校。人見知りだが監督としてすぐれた素質をもつ浅草みどり、カリスマ読者モデルでアニメーターの水崎ツバメ、金もうけが好きなプロデューサー気質の金森さやかは、「映像研究同好会」を結成し、自分たちが思い描く“最強の世界”を描くためアニメーション制作を開始する。「アニメは設定が命!」が信条の主人公・浅草みどりを齋藤、俳優である両親に反対されながらもアニメーターを目指すお嬢様・水崎ツバメを山下、2人の才能をまとめ、管理し、金もうけをしようとするプロデューサータイプの金森さやかを梅澤が演じる。そのほか、小西桜子、福本莉子、桜田ひより、浜辺美波ら人気の若手女優も共演する。監督は「乃木坂46」とは映画「あさひなぐ」でもタッグを組んだ英勉。
「映像研には手を出すな!」のネタバレありの感想と解説(短評)
#映像研には手を出すな 実写映画版、鑑賞っ!!
— Blog_Machinaka🐻@映画ブロガー、ライター (@Blog_Machinaka) 2020年9月25日
予想の1000倍面白かった!!
前田建設、ぐらんぶると関連し、英勉監督の作家性である「ファンタジーを現実にするエクスタシー」が炸裂した本作は、人間の想像力に対する最大の賛歌だッ!!
あと、山下美月ちゃん超可愛いっす、半端ねぇっす。。ポッ。。 pic.twitter.com/NvHYsEmMJ3
アニメを実写化するときの不安の一切を払拭
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こうしたアニメのような演技を実写でやると、だいたいしらけちゃうんですよね。
例えが極端かもしれませんが、「進撃の巨人」なんて、ねぇ。。これ以上は言いませんが。
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ただ、今作は英勉監督の演出によって、とにかく役者の全員がアツい!全員がアツすぎて映画全体の空気感がアツいバイブスとなっているんですよ。
つまり、どれだけ大げさな演技をしていても違和感がなくなるんですよね。
浅草みどり、水崎ツバメ、金森さやかの3人をはじめとして、1本のアニメを文化祭で上映するために奮闘する学生の姿を、これほどまでにアツく描けるとは。。
さすがは英勉監督です! この作品をきっかけに、アニメや漫画、ドラマも観たくなりましたー。
英勉監督の作家性が炸裂!人間の想像力に対する最大の讃歌!
これまで「前田建設ファンタジー営業部」や「ぐらんぶる」を観てきて英勉監督の作家性を探っていたのですが、今作でハッキリしました。
様々なジャンルの映画を撮っているように見えて、英勉監督は常に
「ファンタジーを現実にするエクスタシー」を各作品の根底にあるテーマとして、伝えようとしています。
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今作はロボットをどう動かすかといった「前田建設ファンタジー営業部」と似ている描写が多く、今作と合わせてみれば誰でも似ている描写に気づかと思います。
「前田建設ファンタジー営業部」ではマジンガーZを動かす、「ぐらんぶる」ではタイムループを実現させるという非現実的な目標を、大真面目にアツくやってのけようという気概に満ちあふれているんですよね。
目標はファンタジー的なものであっても、必ず現実世界の物理法則には基づいていて、ファンタジー描くのではなくファンタジーをいかに現実で実現するかに熱量を注いでいる監督だと思うのです。
そういう意味では、今作のアニメ制作はまさに英勉監督の作家性が最大限に発揮される作品でありました。
同じく女子が主人公となってアニメを作ることが主題となる作品では「SHIROBAKO」がありましたが、今作は英勉監督の作家性もあいまって、「SHIROBAKO」と「グレンラガン」が合わさったような、そんな作品だと形容できるでしょう。
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ファンタジーという言い方をしましたが、実写・アニメに関わらず映像作品というのは現実世界から隔離されていて、「虚構」とも言うことができるんですよね。
英勉監督自信がこうした「虚構」の世界を作る人なので、監督のアツい想いが主人公に宿り、観客にその熱意が伝わってくるのだと思います。
そうした監督の気持ちがひしひし伝わってくる作品が、つまらないわけがありません。
最高に面白かった、心からそう言いたくなる作品です。
会議シーンが全く飽きない!
英勉監督といえば作品を作るための「会議シーン」が映画の大きなウェイトを占めており、今作でも乃木坂の三人娘を中心に喧々諤々としたアツい議論を堪能できましたよね!!
人見知りだがアニメの事となると一口も二口も熱弁!絵コンテ・設定を担当する浅草、役者という猫をかぶりながらもアニメーターとしての熱意に溢れる作画担当の水崎、クールでみんなのまとめ役ながらも一番ぶっ飛んでいるプロデューサー金森。
そして、華厳の滝の音パターンをなぜか72通りも持っている音響担当の百目鬼ww
正直、このメンツで話がまとまるわけがない!
興味深いのは、4人という超少数精鋭のチームながらも「仲違い」するシーンが多々あること。
特にクリエイターと制作担当との考え方の違いというのを明確にし、「だからクリエイターは、、」と愚痴をこぼす金森を何度も観れたのが印象的で。
「前田建設ファンタジー営業部」でもコアメンバーは4−5人程度で、その中で激しい意見の対立や考え方の違いが浮き彫りとなりましたが、アニメ制作を主題にしながらも十人十色の心理描写を描いていくのは、実に見事だなと思います。
こうした会議シーンが多いのも、俳優が超豪華なのと予算やロケ地の関係もあって、ワンシチュエーションで撮影することが今の映画にはあってると思うんですよね。そりゃこんだけアイドルが出ていたら、ロケするのも大変でしょう。。
ただ、一見退屈そうに見える会議シーンであっても、浅草が考えたロボットを水崎が肉付けし、仮想現実的にロボットが現実に浮き上がってくるシーンがあり、常に「動き」を画に与えているため、全く退屈しないんですよね。
個人的に好きな会議シーンは、ロボット研と映像研が会議をするシーン。
100年も続く歴史あるロボット部なのに、ロボットの外見が全く変わらず、そしてロボットのくせに全く動かないというポンコツなオチ。それに激しくツッコむ映像研との掛け合いは爆笑しました。
にしても、ロボット部の日々の成果って一体何なんでしょうかw
様々な部活動は人間の多様性のメタファー
映像研以外にも多くの部活・研究会があって、多種多様なグループが形成されているのが本当に豊かですよねw
影武者部や身代わり部などあまりに活動が似すぎている部活動や、下水道部・上水道部など部活とはイメージしづらい奇妙な部活まで、本当に多種多様な人間たちを観ていると面白い!
個人的に一番気に入ったのは、「ゲバラ」という謎の部活をする連中ww
おいおいおい、「ゲバラ」ってなんだよw 部活なのかよw
何でも「◯◯部」とテロップを付ければ問題ない、そんな潔さが面白いんですよね。
またゲバラの話ですが、明朝体のテロップで「ゲバラ」と出るだけで少し笑ってしまいましたw
ものすごく奇妙な高校が舞台なんですが、逆に羨ましくも感じましたね。何故なら、どんな人間にも夢中になれるものがあって、イジメがあるわけでもなく、誰にも虐げられず活き活きとする人々を観ていると、なんだか元気が出るのです。
まとめ
はい、映像研を生まれて初めて触れたのですが、英勉監督の熱い気持ちがひしひしと伝わってくる良作でした!
予算やスケジュールの都合もあってか、照明や撮影にあまりこだわりを感じないのは、もうしょうがないことなんですよね。
逆に考えると、逼迫した制作時間の中で照明のセッティング時間を削り、キャラクターのアツい演技やカッコよいロボットをCGで見せるなど、実は非常に合理的で思い切りの良い制作をしているのも好感が持てました。
美しい映像を撮るのではなく、美しい映像を撮るために奮闘する人間たちを描くのですから、映画自体に映画的な撮影美は必要ないのでしょう。
その代わり、今作も乃木坂46から美女が沢山出演していて、、もうたまりませんでしたぁ。。はぁ。。
特に気に入ったのは山下美月さん演じる水崎ですね。本当に本当に、スクリーンで観る彼女は可憐で、目が離せませんでした。。。
映像研には手を出さないが、山下さんなら手を出したい、、
乃木坂の魅力に気付かされる一作でもあります!
沢山の豪華俳優が出演している商業映画的な一面もありながら、かつ自分の作家性を炸裂させている稀有な作品でしょう。
アニメが良い、漫画が良いと既存のメディアで映像研に満足しているそこのあなた、、
実写もいいぞ、実写も!!
80点 / 100点